Dynamics of a stressful encounter: cognitive appraisal, coping, and encounter outcomes
目的
コーピング過程の知見の確認 (理論しか説明されていない文献が多すぎるので具体的に学ぶ)
Abstruct
(アブストラクトが意味不明なので面倒だが読む)
Introduction
コーピングに関する研究の急増は、それがストレスフルな出来事とうつ病、心理学的な症状、身体の病気など適応結果との関係に影響を及ぼす主要因であるとの認識の高まりを示す
これらは、性格特性の研究 (コーピング行動が推測されるものだが実際に焦点を当てないもの) とは異なる
特性志向アプローチとプロセス志向アプローチの違いは、コーピングが行われる心理的・環境的コンテキストの重要性にある
特性志向アプローチは、コーピングは主として個人特性でありストレスフルな状況はあまり重要でないと想定される。一方、プロセス志向アプローチはコーピングは特定のストレスフルな場面への心理的・環境的要求への反応として考えられるため、コンテキストが重要となる
しかし、コーピングプロセスをコンテキストに関係なく用いる傾向があるため、コーピングに影響を及ぼすコンテキストの変数、特定のコーピングプロセスが発生する特定のストレスフルな状況に関する情報が不足している
そこで本研究では、様々なストレスフルな状況におけるコーピングを調査する個人内アプローチを報告する。下記のストレスとコーピングの理論にもとづき、認知的評価、コーピング、ストレスフルイベントの結果を測定してfunctional relationshipを理解した
Stress and Coping Theory
Lazarusの理論では、認知的評価とコーピングというぷろっせすが、環境の関係とその短期・長期的な結果の重要な媒介要因とされている
認知的評価とは、特定の環境場面が自分のウェルビーイングに関係するか、関係する場合はどのように関係するかを評価するプロセスを指している。
一次評価Primary appraisalでは、危険や利益があるかを評価する。例えば、コミットメント、価値観、目標において利益や害があるか、愛する人の健康や幸福が危険にさらされるか、自己効力感に利益や害があるか、などである
二次評価では、害を克服・防止するためまたは利益の見通しを改善するために何ができるか評価する。状況を変える、受け入れる、多くの情報を求める、衝動的で逆効果な行動を控えるなど
一次評価と二次評価は、人と環境の相互作用がウェルビーイングに重要だと判断されるか、その場合脅威なのか、チャレンジング (利益の可能性がある) かの判断に集約される
コーピングとは、個人の資源に負担をかけたり超えていると評価される特定の外部・内部の要求を管理するため、個人が絶えず変化する認知的・行動的努力
この特徴は、特定のストレス状況で個人が実際に何をするか、それがどう変化するか焦点づけている。その意味で、個人の安定傾向を強調する特性アプローチと対照的である
(すなわち、これ以降の研究でコーピングを特性として扱う傾向がないならば、コーピングを種々の場面で柔軟に使用されるものとみなさない個人の傾向とするアプローチや説明は根本的に誤っていることになる)
次に、文脈を重視するということは、特定の個人の変数と、状況の変数が相互作用してコーピングすることを意味している。
最後に、何が良いコーピングかどうかを事前に仮定しない。コーピングはその成否によらず環境からの要求をマネージメントするための努力と定義される。(複雑なので割愛するが、嫌悪刺激のコントロールとして定義される行為、現実検討の下でなされた場合のみ防衛反応ではないとして解釈する自我心理学との区別を試みている)
コーピングは、ストレスフルな情動の調整 (情動焦点型) と、苦痛の原因となっている問題のある人と環境の関係を変えること (問題焦点型) の2つの機能がある
即時の結果とは、ストレスフルな場面がどの程度うまく改善されたかという個人の判断を指す。これは、苦痛の原因となっている問題が解決されていなくても、その人がうまく要求にこたえられたと感じていれば好意的に評価される可能性がある。また、苦痛の原因が解決されても、それが本人にとってそう評定されない場合もある。
The purpose of this study
本研究の目的は、ストレスフルな場面における認知的評価及び対処プロセスとその結果のfunctional relationshipを明らかにすること
個人内アプローチにより、同一被験者について5回のストレスフルな場面を比較する。
(つまり、説明がしにくいが、被験者間の統計学的な特性ではなく、被験者内の変化を扱おうとしている)
本研究の第1/2の目的は、一次評価と二次評価に関するもの
以前に行われた二次評価とコーピング (Folkman & Lazarus, 1980)では、変更可能と評価された状況では問題焦点型が、変更不可能と評価された環境で感情焦点型のコーピングが行われた
本研究の第3の目的は、コーピングとアウトカムの関連である。
本研究の第4の目的は、認知的評価 (主として1次的評価) もアウトカムに関連するかである。例えば、自己効力感や自身の弱点への脅威は、仕事の目標に関する脅威よりも解決が困難な可能性がある。
Method
Sample
ある地域の少なくとも子供が1人いる85組の夫婦で構成
35-45歳の女性 (夫は26-54歳だが包含基準・除外基準には該当しない)
白人
プロテスタント・カトリック
少なくとも8年間の教育
家族収入が最低水準以上
手紙を受け取ったカップルの46%が参加に同意 (かなり高いと思われる)
女性の平均年齢は39.6歳、男性は41.4歳
教育年数平均15.5歳、世帯収入中央値は45,000ドル
男性84%、女性57%が有給雇用
調査拒否者は教育年数 (Median=14.3 years)
分析対象は75組の夫婦
6か月ごとに2回のインタビュー
Procedure
毎月1回、6か月間にわたるインタビュー
夫婦は別々のインタビュアーにインタビュー受ける
Measure
被験者が前週経験した最もストレスフルだった場面の自己報告を引き出すためのプロトコル
一時評価、二次評価、コーピング、ストレスフルな場面に関するインタビュー
一次評価:何が危険にさらされているかを評価する13項目
第一因子「自己効力感」(Cronbach's alpha = .78) は、①大切な人からの愛情を失う、②自尊心を失う、③思いやりのない人だと思われる、④非倫理的だと思われる、⑤大切な人からの承認や尊敬を失う、⑥無能だと思われるが含まれた。
第二因子「愛する人のウェルビーイング」(Cronbach's alpha = .76) は、⑦愛する人の健康、安全、身体的なウェルビーイングが危険にさらされる、⑧愛する人が世の中でうまくやってゆけなくなる、⑨愛する人の情緒的なウェルビーイングが危険にさらされる、が含まれた。
残りの項目は、⑩仕事や職場で重要な目標を達成できない、⑪自分の健康、安全または身体的なウェルビーイングへが危害にさらされる、⑫自分の経済的資源への負担、⑬他者への尊敬の念が失われる、が含まれた。
二次評価:対処の選択肢
5件法のリッカート尺度で評価
状況を変更または対処できる
状況を受け入れる必要がある
行動する前にもっと知る必要がある
やりたいことを我慢しなければならない
コーピング:実際の対処行動 (Folkman & Lazarus, 1985)
特定の状況で人々が内部及び・または外部の要求をマネージメントするために使用する認知・行動的な方法に関する67項目
0:当てはまらない、から3:非常に使用した、までの4件法
インタビュー前の7日間に起こった最もストレスフルな出来事について5回のインタビューを実施した
各回に改訂版のコーピング尺度を記入した
因子分析の結果、51項目について以下の印紙構造となった
Confrontation (対決):
状況を変えるための積極的な努力 (例:自分の立場を守り自分の望むことのために戦った、責任者の考えを変えさせようとした)
ある程度の敵意 (問題を引き起こした人に怒りを表明した)、リスク亭キング (大きなチャンスをつかんだり、非常にリスクの高いことをした)、も含まれる
Distancing (距離を置くこと):
自分を切り離す努力 (例:気にしないようにした、あまり考えないようにした、すべてを忘れようとした)
前向きな見通しを持つ (状況を軽く受け止めた、あまり深刻に考えないようにした、良い面を探した、物事の明るい面を見ようとした
Self-Controlling (自己制御):
自分の感情をコントロールする努力 (自分の感情を内に秘めようとした、状況がいかに悪かったかを他人に知られないようにした)
自分の行動をコントロールする努力 (関係を断ち切ろうとはせずオープンにしようとした、性急に行動したり最初の勘に従わないようにした)
Seeking Social Support (社会的援助希求):
情報支援 (状況についてより知るため誰かに話した)、
具体的支援 (問題について具体的行動を起こせる人に相談した)、
感情的支援 (誰かから同情や理解を得た)
Accepting Responsibility (責任の受容)
問題の自分の役割を認めること (自分を批判したり説教したりした、自分で問題を引き起こしたことに気づいた)
事態を正そうとする (謝罪したり仲直りのために何かした、次回は違うことを自分に約束した
Escape-Avoidance (逃避・回避)
希望的観測 (状況が消え去るか何らかの形で終わることを願った)
逃避・回避するための行動的努力 (食べたり飲んだり喫煙したり薬物を使って気分を良くしようとした、一般的に人と会うのを避けた、いつもより多く眠った)
Escape-Avoidanceは、距離をとろうとするDiscanceと対照的である
Planful-Problem Solving (計画的な問題解決)
状況を変える意図的な努力 (何をしなければいけないか理解していたため物事を進めるために倍の努力をした)
問題を解決するための分析的アプローチ (行動計画を立てて従った、問題に対するいくつかの異なる解決策を思いついた)
Positive reappraisal (肯定的な再評価)
個人の成長に焦点を当てて肯定的な意味を生み出そうとする努力 (良い意味で人として変化または成長した、経験を経て前よりも良い状態になった)
宗教的な側面もある (新たな信仰を見つけた、祈った)
スコアは各ストレスフルな事態に対して尺度合計得点を算出した
先行研究と比較して、同じ因子構造になるわけではないが、類似した構造をしめす
アウトカム:
対象者が継続していないと述べてたものについてのみ評価
解決されず悪化した、変化しなかった、解決したが満足のいくものではなかったと述べた者は不満足な結果と定義した
解決されていないが改善された、満足いくように解決されたとしたものを満足のゆく結果とした
Results
Primary appraisal and Coping
自己効力感への脅威が高い場合は、低い場合よりも、Confrontation、Self-Control、Accepting responsibility、escape-avoidanceを多く使用した
社会的支援を求めることが少なかった
愛する人のウェルビーイングが危機に瀕している場合は、そうでない場合よりもConfrontation、escape-avoidanceをより利用した
Planful-problemsolvingとdistancingが少なかった
他人への尊敬の喪失が脅かされている場合は、そうでない場合よりも、Confrontation、Self-Controlが多く使用された
経済的資源への負担がある場合、Seeking Social-Supportを多く求めることが示された
また、Confrontationは少なかった
自分の身体的健康への脅威は、Seeking Social-Supportとavoidance-escapeを多く用いることが示された
場面によらず、Self-Control/Seeking Social Support/Avoidance-Escapeが用いられる傾向があった
肯定的な再評価positive reappraisalは何とも関係がなかった
Secondary Appraisal and Coping
変更可能と評価した場面:
より多くAccepting Responsibility, Planful problem solving, Positive-Reappraisalを多く使用
受け入れる必要があると評価した場面:
より多くDistancing, Avoidance-Escapingを用いた
より多くの情報が必要と評価した場面:
より多くSeeking Social Support, Self-Control, Planful problem-solvingをもちいた
自分のしたいことを控える必要があると評価した場面:
より多くのConfrontation, Self-Control, Avoidance-Escapingを使用した
Coping and Encounter Outcomes
個人が満足する結果が得られた場合、
Planful problem solving, positive reappraisalのレベルが高い
不満足な結果が得られた場合、
Confrontive Coping, Distancingが多い
Appraisal and Encounter Outcomes
一次評価:満足のゆく結果を得られなかった場面の方が、誰かへの敬意を失ってしまうとの評価が強かった
二次評価:満足のゆく結果をえられた場面では、変化可能だとの評価が強く、やりたいことを控える必要性の評価が低かった。
Discussion
人々がセルフエスティームを脅かされる場面で社会的支援をあまり求めないのは、恥や当惑の可能性がある。これは、恥をかく可能性があり驚異的な場面において人は一人でいることを好む先行研究と一致している (Sarnoff & Zimbardo, 1961)
(自分が低く評価される場面を誰かに知られたくないという意識が人間には働くということなのだろうか)
(全体的に後続研究にかなり関心がわいたが
(あまりに膨大すぎてどこから始めればよいのか途方に暮れる
(というのも、理論としては素晴らしいが、実際に調査してみると外れている点が多いからである
(また、多くの後続するコーピング尺度が、この違和感を明確化したいモチベーションによって行われたことがよくわかる
(当たっていると感じる、でも実際に調べたらよくわからない、違うのかもしれない、この辺りを知りたい
Reference
Folkman, S., & Lazarus, R. S. (1985). If it changes it must be a process: study of emotion and coping during three stages of a college examination. Journal of personality and social psychology, 48(1), 150.
Folkman, S., Lazarus, R. S., Dunkel-Schetter, C., DeLongis, A., & Gruen, R. J. (1986). Dynamics of a stressful encounter: cognitive appraisal, coping, and encounter outcomes. Journal of personality and social psychology, 50(5), 992.
Sarnoff, I., & Zimbardo, P. G. (1961). Anxiety, fear, and social isolation. The Journal of Abnormal and Social Psychology, 62(2), 356.
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