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【非常に重要な職場いじめモデル】Conflict escalation and coping with wrokplace bullying: a replication and extension
概要
いじめとは、長期間にわたって系統的にひとを攻撃することをさす。ストレス理論にもとづけば、職場いじめは重大な社会的ストレッサーとなり、葛藤理論に基づけば、いじめは未解決の葛藤が高水準に達し、権力の不均衡が生じていることを示しています。いじめ被害者20名を対象とした半構造化面接と被害者149名及びコントロールグループ81名を対象としてアンケート調査を行い、被害者が葛藤解決方法を対照群より多く用いているか、対処できたものと対処できなかったものでコーピング方略に違いがあるか明らかにすることとした。その結果、対処に成功したものは状況は再び改善すると信じていた。質的データに基づけば、多くの被害者は最初は建設的なコーピングを用いるが、それを何度か変更し、最後は組織を離れた。多くの被害者が、同じ状況に遭遇したものに対して組織を去ってサポートを得るよう勧めると述べた。対処成功者は同じ方法で戦ったり、欠勤することが少なかった。彼らは葛藤のエスカレーションを避ける行動をとり、多くの失敗する被害者は正義・公正のために戦って葛藤がエスカレートしていた。
問題と目的
(概要を読むだけだと、葛藤状況に対峙するといじめがエスカレートするという文献)
(正しいかどうかは別にして現実に近い)
職場いじめの研究は、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドで始まり、ほかの国にも広がり、UK、Denmark, Netherlands, Austria, Switzerland, Germany, Hungary, Portgalなどで行われている
いじめの多くはストレス理論から論じられるが、葛藤理論からはあまり論じられない
本研究の主たるリサーチクエスチョンは、多くのいじめは葛藤がエスカレーションする中でどのように職場いじめに対応しているのか明らかにすることである
したがって、本研究ではいじめをストレスコーピング理論に加えて、葛藤理論の観点からもアプローチする
本研究のいじめの定義は、単回のイベントではなく、反復して(最低でも週一回は)長期間(最低でも六か月は)生じ、同等な組織やグループ間の葛藤ではないものとする
(いじめを定義するには少し緩すぎる)
しかし、本研究では、いじめは最低でも半年間続くもので、最低でも二年程度は続く傾向があるとしていること
いじめは葛藤がエスカレーションした状態であり葛藤マネージメントやストレスマネージメントが適応できない状況だとしている点で意義がある
現実的にその通りだからである
半年は続くものをいじめと定義するのではなく、いじめと定義されるような状態はおよそ半年は続くと考えられるというのが正確な表現
葛藤エスカレーションモデル (Laymann, 1993, 1996)
Leymnn (1993,1996) のモデルに準じる
第一ステージ (Critical incidents)では、いじめのスタートは、葛藤から始まるとし、この時期はとても短いとされる
第二ステージ (Bullying and stigmatizing)では、被害者はスティグマタイズされる
通常のやりとりならば攻撃性や排除を示すものではない様々な行動が含まれる (完璧にいじめをとらえてる)
日常的なやりとりの意味とは関係なく、単一のいじめ行動は、人を罰したり攻撃する意図を持つ
この段階では被害者がダメージを負う (ここまでは完璧)
第三ステージ (Personnel management) では、ケースが組織的に明らかになるとされる
この段階で、第二ステージで形成されたスティグマに基づいて組織は被害者を判断して被害者の悪印象が形成される (完璧すぎる初めてみたこの理論すごい初めて見た)
被害者は容易に集団から取り除かれ、言い換えればこれは人事権を持つものによる被害者に対する権利侵害である
加害者と人事権者は、いじめが生じた理由は被害者の性格的特徴によると説明する (完璧)
第四ステージ (Expulsion) では、組織から追放される
組織から追放するという脅しはいじめの被害者の心に重篤な影響を及ぼして医療あるいは心理学的な援助を必要とする状態にする
そして被害者の言い分を信じない専門家によって被害者は容易に精神疾患として診断されうる (完璧な理論)
Glasl (1982, 1994) モデル (段階的なエスカレーション)
![](https://assets.st-note.com/img/1710925630899-ZJ06kQQogK.png?width=800)
Glasl (1982,1994) モデルは職場いじめの研究がなされる前に指摘されていたモデルである
第一段階 (Rationality and Control) では、最初は葛藤から始まり合理的な解決方法を望むが、偶発的に上の段階に進む
(このモデルでは、葛藤は生産性にも結び付くために組織では生じてしまうものだとしており、いじめとは少し違うかもしれない)
第二段階 (Severing the Relationship) では、初期の葛藤が消えてグループ間の対立や緊張が強まる
不信、尊敬の欠如、敵意が表現される
葛藤の解決が困難だと感じて互いを排除し始める
第三段階 (Aggression and Destruction) では、対立が破壊的なものになる
相手への尊敬がなくなりよい成果はすべて妨害され、相手へのダメージや崩壊をもたらすために自分の幸福や存在を脅かすことになる
この段階に到達することはほとんどないとしている
職場における葛藤のマネージメント
葛藤マネージメント方法に焦点を当てた研究は少ない (それだよ問題はでもモデルがないから介入方法も言及できないんだろう)
葛藤マネジメント ( de Deru & van de Vliert, 1997; Thomas, 1992)
提唱されたマネージメントの技法は、管理者・同僚・部下が相互作用しながら、統合する、義務とする、支配する、避ける、妥協する方法が挙げられている
いじめの被害者がどの方法を用いているのか明らかにする
(このマネージメント方法の分類を使うのか、、、)
収まるまで見ているとか、葛藤がエスカレートしないように避ける方法がよく用いられる
それでもいじめが止まらないというのが本研究の仮説である
コーピング方略の中でコントロールは重要なモデレータだが、いじめの状況ではアクティブコーピングはほぼ使用できない
したがって、認知的再構成、リラクゼーション、否認、回避、なにもしないなどintrapsychological strategiesが主な方法になる
(ひどいが適切にいじめが記載されている)
(ほかの文献も記載されているが、いじめが終わらない場合はquitするというものが多すぎる)
Knorz & Zapf (1996) はいじめへの対処成功者と失敗者にインタビューした
成功者は、自ら明確に境界を引いていじめに関与しないときめて、短期間の病欠やカウンセリングサービスを利用し、マネージャーの関与により客観的な変化を起こした
成功したもののうち第三者の協力を得ずに成功したものはいなかった (ひどすぎる)
以上より本研究では下記をリサーチクエスチョンとする
職場いじめは葛藤状況がエスカレートしたとする証拠 (いじめの頻度がふえる) があるか
職場いじめの典型的な葛藤エスカレーションの経過はなにか
被害者が用いる典型的な葛藤マネージメントは何か (Thomas (1992) およびEVLN-model (Withey & Cooper, 1989)にもとづく)
いじめ被害者とそうではないもので葛藤マネージメントに差があるか
被害者はほかの被害者にどの方略を推奨するか
成功した被害者と失敗した被害者でコーピング方略に差があるか
方法
対象者
第一の対象グループは、新聞などで募集された96名のいじめ被害者 (平均年齢44歳、女性55%)、対照群 (スノーボールサンプリング、できる限り年齢・性別・教育歴をマッチング)
第二の対象グループは、いじめ防止に関するプロジェクトへの参加者118名 (平均年齢42歳、女性55%)
第三の対象グループは、質的調査と同じサンプルであり、20名のいじめ被害者 (35-59歳)、25%が公的機関で勤務し、25%は教育機関で勤務、15%は健康関連、15%はサービス業、10%が化学産業で勤務していた
併せて268名の対象者のうち、149名がいじめ被害者、81名が対照群となった
測定方法
Leymann Inventory of Psychological Terrorization (LIPT; Leymann, 1990)
組織でのいじめ、社会的孤立、プライベートへの攻撃、言語的攻撃、身体的攻撃、噂話で構成される
Rahim Organizational Conflic Inventory (ROCI II; Rahim & Magner, 1995)
葛藤マネージメントの5形態を測定する
コーピング方略 (Knorz & Zapf, 1996)
手続き
いじめの被害者を同定するために、最低6か月以上、いじめ被害が最低週に一回は受け、自分がいじめの被害者であることにどういするかを尋ねた
成功・失敗の分類は、いじめの状況があなたの行動で改善しましたか、という質問で分類した (成功者は9/149)
質的分析のインタビュー項目は32項目で、いじめについては例えば、いじめの行動、コーピング方略、経過、そのごのいじめ、コーピングの再評価、ソーシャルサポート、プロとしての将来の展望の変化について尋ねた
葛藤解決方法は、インタビューに対して、Rahim & Manger (1995)、Whitney & Cooper (1989) に基づいて評定した
結果
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職場いじめの経過
![](https://assets.st-note.com/img/1710941167212-gfXiNh7K1r.png?width=800)
職場いじめに関する葛藤マネージメント方略の経過
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結局はAvoidingに向かう
Dominating (自分のポジション守るなど自分のこと考える) にすら行きつかなくなる
職場いじめへのコーピング方略の経過
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最も多いのは、自らアクティブに問題解決に働きかけ、組織の力を借りたのちに再度立ち上がるが、力尽きて何もしなくなり、最後は退職する流れだった
職場いじめ被害者から被害者への助言
![](https://assets.st-note.com/img/1710941901237-TMS2NTyBGS.png?width=800)
第一位は、組織を離れること (悲しすぎる)
組織にとどまる方法としては、サポートを求める、限界を明確に設定する、エスカレーションする前に行動する、など
職場いじめの時間的推移
![](https://assets.st-note.com/img/1710942091500-OUsYMJVtMR.png?width=800)
基本的には増加するが、最初から噂話がひどい
悪評を口にする人は、加害者だと思って間違いない
葛藤解決方法の差 (いじめ被害者vs対照群)
![](https://assets.st-note.com/img/1710942242489-VOEVEzsPBh.png?width=800)
いじめ被害ではないもののほうが、Dominating (自己保身) が多い
コーピング方略の差 (成功vs失敗いじめ被害者)
![](https://assets.st-note.com/img/1710942394051-EMJBO2UWhJ.png?width=800)
うまくいった被害者は
加害者と話し合う割合が少ない
し返さない
仕事を休まない
他の仕事に移る
ということで、徹底的に加害者や組織とかかわらない
文献
Leymann, H. (1996). The content and development of mobbing at work. European Journal lf Work and Organizational Psychology, 5, 165-184. (葛藤エスカレーションモデル)
Zapf, D. & Gross, C. (2001). Conflict escalation and coping with workplace bullying: a replication and extentsion. European Journal of Work and Organizational Psychology, 10, 497-522.
コメント
職場いじめのモデル
とても意義のある内容だったが、防ぐという具体的な方法に至っていないのが課題
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