【Civilityの介入:CREW】Civility,respect,engatement in the workforce (CREW)
概要
問題と目的
本研究は、全国的に行われた退役軍人健康局 (VHA) における職場のシビリティ改善の介入成果を報告
シビリティは、仕事仲間 (一緒に働き同じ上司に報告する人々のグループ) 内での礼儀正しく思いやりのある行動を指す
シビリティのより具体的な内容は、同僚への個人的な関心と互いの敬意、同僚の協力とチームワーク、対立の公正な解決、同僚と上司の双方が個人の違いを尊重すること
Civilityの理論的背景
近年の研究ではシビリティの価値はモラルではなく経済的効果とされている (文献なし)
互いを尊敬する組織の風土は、仕事の要求や従業員の個人特性を超えて、アウトカムに影響を及ぼす (Ramarajan & Barsade, 2006)敬意のなさは、退職意図や実際の退職を促す (Pinel & Paulin, 2005)
病院でのチームワーク (シビリティのようなもの) は入院患者満足度を促進 (Meterko et al., 2004)
なぜなら、インシビリティ・シビリティは、個別の個人間の単一の出来事ではなく、状況に応じた文脈 (仕事仲間または組織全体) で生じる対話的プロセスと考えられるため
仕事仲間 (集団) によるインシビリティは、個人のインシビリティよりも仕事の満足度と精神的健康に影響を及ぼす (Lim,Cortina & Magley, 2008)
VHAでのシビリティの焦点化:組織的背景
Sirota Consultiong (2001) の調査では、自発的にVHAを退職した職員は同様の理由で退職しており、例えば相互の敬意のなさ、公平性のなさ、個人のアイデアを表現する機会のなさ、仕事の経過を改善する機会のなさであったHodgson et al (2004) によれば、67%が言葉による虐待を経験しおり、同僚 (上司や部下も含む) からのいじめ被害は15-35%ある
職場のシビリティが職場風土を決定づけている
CREWの介入モデル
目的は、シビリティに関する自分たちの強みと改善点の特定をサポートすること
改善のメカニズムは、シビリティの毎週のワークグループによるディスカッションを行うこと
変化の基本的な理念は、パーソンセンタード
したがって、介入グループ間でプロセスとフォローアップの詳細が大幅に異なることが許可されており、介入は地域ニーズや文化に基づいたものとなる
CREWとプロトタイプモデル
プロトタイプと同様に、従業員がシビリティを改善する案を提案する
次に関連するデータを収集して共有する
プロトタイプと同様に、変化に関する目標を支援するためにブレーンストーミングと明快で簡単に理解できる視覚的な方法が用いられる
安く、簡潔にすぐ使えて明快なフィードバックをもたらすツールを用いる
CREWにはインターベンション・ツールキットがある
VHAにおけるCREW:運営方法
対照群を用いた介入効果の予備検証
方法
対象者
本調査の2つのCREWのマネージメント (CREW1/2) には、全国のさまざまな規模と構造のVHA施設 (例、地方の小規模な病院と大都市圏の大規模な都市施設) が含まれた
介入前後に検査を行った
CREW1は8施設、それぞれ1ワークグループが参加し、6施設は対照群とマッチングできたため分析に使用された
CREW2は20施設から、1-5ワークグループの合計38グループが参加した。このうち17グループは介入前後で少なくとも10人の参加者がおり、対照群とマッチングできたため分析に使用された
参加ワークグループメンバーは多様な職業背景を持っていたが (事務員、秘書、監督者など)、全員同じサービス部署に所属していた (管理、臨床医療提供者、薬局)
専門的背景と施設の特徴は、対照群と対応する介入群で類似していた
対照群の人工統計的背景は、VHA全体と差がなく、属性は多様であった
介入手続き
地元のシセツコーディネータがVHA国立組織開発センター (NCOD) の支援と調整に基づきCREWを実施
NCOD実践モデル、地域の職場文化の相互作用により、同じ教育キットを用いるが内容はファシリテーターの裁量で使用される
NCOD実践モデル
クライエントは専門家とみなされる
実務者は人的プロセス・組織的プロセス・クライエントの行動促進に関する専門知識を提供
クライエントは意思決定者で変化の計画・実行に責任を負う
実施者はクライエントのプロセス・リソースとオプションを明確にし、地域のリーダーの支援、ファシリテータの訓練、対人関係及び組織プロセスとクライエントの評価の専門知識を提供
組織の成長はデータに基づく
NCOD実践者は資源の調整、ツールキットとCREW施設間の経験を交換する機会を提供
CREW実践者はカウンセリングのPhD/PsyD
ワークグループ内の従業員の会話が重視されるため、外部のモデルの指示と実行ではなく内部の会話が最優先
場所の効果
地域や場所によってシビリティの定義はことなる
介入の共有
NCODでは、サイト全体でシビリティを定義する際の共有する要素を作る
シビリティは職場での行動として定義される
シビリティは非個人的で、組織を代表するものとみなされ、個人的な関係を持つ人たちだけではなく職場全員に向けられる
シビリティは自身の対人的影響の認識に基づくものとして理解される
他人とのやり取りに自分の行動を監視し、他人がそれをどう受け取るかに注意を払う
職場での具体的なシビリティは介入サイトごとに定義される
拠点間でのCREW 介入プロセスの共通点は
CREW の理論的根拠とその運用背景の説明
シビリティの組織的関連性をサポートするデータの共有によるCREWリーダーの訓練
介入前調査はシビリティ尺度
介入前のスコアやツールに基づき各サイトでニーズにあうシビリティの特定分野を選択する
たとえば、一部のサイトでは、シビリティと敬意の定義について議論し、参加者間の基本的なコミュニケーションを改善することに重点を置く
他のシビリティスコアの高いものは、自分の背景を広く共有して職場の関係を深めることに重点を置く
CREWコーディネーターは、定期的なサイト会議を促進する
会議では、まずシビリティに関する基本データの共有と議論を行う全体的なシビリティ向上のための対策を決定し、作業環境改善の方法を開発
6 か月後の追跡評価は、同じシビリティ尺度
NCOD は、すべての現地コーディネーター向けにパイロットミーティングと月例電話会議を行う
(コーディネートと会議を手厚く)
教育ツール (Appendix A)
測定内容
①シビリティ (Meterko et al., 2007/2008; 8-item)
(スケールというよりも各項目による測定になっている)
(しかし驚くべきことに、項目尺度相関は.67-.83、Crobach alpha=.93であり一部ではなくグループ全体にシビリティは汎化されるのがわかる)
(また、シビリティが精神衛生や退職と関連することは述べてきた通りなので、上記の尺度を自己評定するだけでグループの雰囲気がわかる)
研究デザイン
CREWはCREW1/2で実施
CREW1は8つのワークグループ、899名の従業員を対象に実施したが、2つのワークグループは対照群とのマッチングができず、6つのワークグループ (プレn=425、ポストn=328)、対照群 (プレn=236、ポストn=407)を対象にした
CREW2は38のワークグループ、1295名を対象としたが、10人以上プレポストに参加し、、対照群とマッチングできた17ワークグループ (プレn=688、ポストn=647)、対照群 (n=607、ポストn=680)を対象にした
シビリティを介入のプレポストで評価
無作為割り付けではなく準実験
データ分析
2*2 ANOVA p<.05
結果
図表の通りなので解説は割愛
考察
CREWはプロセスコンサルテーションモデルに基づく (Reddy & Phillips, 1992; Schein, 1990)
文献
Hodgson, M., Reed, R., Craig, T., Belton, L., Lehman, L., & Warren, N. (2004). Violence in healthcare facilities: Lessons from VHA. Journal of Occupational Environmental Medicine, 46, 1158-1165.
Lim, S., Cortina, L. M., & Magley, V. J. (2008). Personal and workgroup incivility: impact on work and health outcomes. Journal of applied psychology, 93(1), 95.
Meterko, M., Mohr, D. C., & Young, G. J. (2004). Teamwork culture and patient satisfaction in hospitals. Medical care, 42(5), 492-498.
Osatuke, K., Moore, S. C., Ward, C., Dyrenforth, S. R., & Belton, L. (2009). Civility, respect, engagement in the workforce (CREW) nationwide organization development intervention at Veterans Health Administration. The journal of applied behavioral science, 45(3), 384-410.
Pinel, E. C., & Paulin, N. (2005). Stigma consciousness at work. Basic and applied social psychology, 27(4), 345-352.
Reddy, W. B., & Phillips, G. (1992). Traditional assessment: The way of the dinosaur. OD Practitioner, 24, 1-2.
Schein, E. (1990). Organizational culture. American Psychologist, 45, 109-119.
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