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Association between working overtime and psychological stress reactions in elementary and junior high school teachers in Japan: a large-scale cross-sectional study

概要

本研究の目的は、教師の超過勤務と心理的ストレス反応の関連を明らかにするものである。さらに、超過勤務の形態 (平日、休日、仕事の持ち帰り) 及び業務内容 (授業、その他、双方) との相互作用も調べた。日本の小中学校の教師を対象に、調査を行い、Brief Job Stress Questionnaireによるストレス反応をメインアウトカムとする横断研究を実施した。対象者は、平日・休日・自宅でどれぐらいの超過勤務を行っているか尋ねられた。また、超過勤務で授業またはその他の業務に従事しているかも尋ねられた。
欠損値の保管ののち、6135名を対象とする多変量重回帰分析を実施した結果、すべての超過勤務がストレス反応を促進していた。さらに、平日・休日の超過勤務において、授業とその他の課題の双方を行うものは、授業に関する業務だけを行うものよりストレス反応が高かった。
したがって、ストレス反応を減じるには、超過勤務を減らす必要があると考えられ、まずは授業以外の職務を減じる必要があると考えられる

内容

  • 教育は最もストレスフルな職業の一つであり、他の一般的な職業よりもメンタルヘルスの状況が悪い

  • 政府の調査によれば、教職員の51.3%が高ストレスを抱えている

  • 毎年3800名程度の教師が精神疾患で休職し、600名が退職

  • およそ70%の日本の教員が休日に労働しており、自宅で終わっていない業務を行っている (Nomoto et al., 2015; Tanoi et al., 2012)

  • しかし、自宅での仕事が精神的な苦痛を促すことは明らかにされているが (Bannai et al., 2015)、メンタルヘルスとの関連は明らかではない

  • また、教育と関係のない管理業務がどの程度ストレスや情緒的消耗を促進するかも定かではない

  • さらに、役割葛藤は教師のストレッサーになると報告があるため、教育と無関係な仕事がストレスに及ぼす影響を調べる (Papastylianou et al., 2009; Nakada et al., 2016)

  • 簡潔には、超過勤務の種類 (平日・休日・持ち帰りによるもの)、業務内容 (授業関連、その他、両方)と心理学的ストレス反応の関係を日本の小中学校教師を対象に明らかにすることである

仮説1:すべての超過勤務が心理的ストレス反応を促す
仮説2:仕事の内容はすべての種類の超過勤務とインタラクトして心理学的ストレス反応を促す

方法

研究方法及び対象者

  • クロスセクショナル

  • 日本の岐阜県の公立の小中学校 (548校)

  • 10824名の教師に配布され、7861名から回答を得た (反応率72.6%)

  • 除外基準:年齢60歳以上、フルタイムの教師ではない、校長・副校長・教頭・養護教諭である (1738名が除外)

測定内容

①心理学的ストレス反応

心理学的ストレス反応は、Brief Job Stress Questionnaire (BJSQ; Wada et al., 2013) で測定

②超過勤務の形態

  • 一日に7時間45分より多く勤務しているかどうかを超過勤務俊、

  • 平日に超過勤務しているか、

  • 休暇に超過勤務しているか

  • 持ち帰っているか

  • をたずね、該当する場合はそれぞれ一週間に超過勤務している程度の回答を求めた

  • また、もしも超過勤務をしていると回答した場合は、その業務内容を尋ねた

  • 教師の仕事内容は、(現在は閲覧できないウェブサイトによる分類によって)、教育に関する課題 (カウンセリング、授業の準備、補修や宿題、学力検査、学校行事、クラブ活動)、あるいはその他の学校の課題 (学校マネージメントのための管理的課題、会議の準備、教師・親関係、その他)に分類した

  • 仕事内容が、教育に関する課題のみ・その他学校の課題のみ・あるいは双方のいずれに該当するかチェックした

③社会的・仕事関連の変数

  • 年齢 (20-29; 30-39; 40-49; 50-59; 60-)

  • 性別 (男性/女性)

  • 婚姻状況 (未婚、既婚、その他)

  • 子どもの同居

  • 就業状況 (小学校の教師、中学校の教師、一貫校の教師)

  • 生徒の数 (>400; 301-400; 201-300; 101-200; under100)

  • 担任の有無

  • 上司のサポートの有無

  • 同僚のサポートの有無 (BJSQ; )

統計解析

  • 重回帰分析

  • 仕事内容と超過勤務のインタラクションタームを加えた重回帰分析

  • 各超過勤務タイプについてその時間と仕事内容のインタラクションタームを加えた重回帰分析でストレス反応を予測

結果

  • 教員は平日はおよそ3時間の残業、くわえて休日・持ち帰りともに2.5時間

  • 91%の教員が超過勤務を経験

  • 75%の教員が休日に働いている

  • 53%の教員が終わらなかった仕事を自宅に持ち帰っている

非標準化偏回帰係数から、すべての超過勤務がストレス反応を促進しているとわかる

また、すべての超過勤務形態において、超過勤務時間の増加がストレス反応を促進することもわかる

また、平日及び休日の超過勤務では、教育・その他の業務の双方を行うほうがストレス反応を促進することがわかる

さらに、平日・休日の超過勤務では、教育関連業務とその他業務の双方を行う方が、時間増加あたりのストレス反応促進の程度が強まる

考察 (必要か所のみ)

  • 本研究では、自宅に持ち帰る超過勤務も教職員のストレス反応を促したが、これは先行研究の結果 (Nagai et al., 2007) と矛盾するものであった

  • これは、前回のサンプルサイズは400だったが、本研究は6000を超えるため本研究の方が妥当だと考える (これはよく理解できない論理なのではないかとおもう

(この後の考察はあまり意味を感じないので割愛

文献

  1. Bannai, A., Ukawa, S., & Tamakoshi, A. (2015). Long working hours and psychological distress among school teachers in Japan. Journal of occupational health, 57(1), 20-27.

  2. Furihata, R., Kuwabara, M., Oba, K., Watanabe, K., Takano, N., Nagamine, N., ... & Sakamoto, J. (2021). Association between working overtime and psychological stress reactions in elementary and junior high school teachers in Japan: a large-scale cross-sectional study. Industrial health, 60(2), 133-145.

  3. Nagai, M., Tsuchiya, K. J., Toulopoulou, T., & Takei, N. (2007). Poor mental health associated with job dissatisfaction among school teachers in Japan. Journal of Occupational Health, 49(6), 515-522.

  4. Nakada, A., Iwasaki, S., Kanchika, M., Nakao, T., Deguchi, Y., Konishi, A., ... & Inoue, K. (2016). Relationship between depressive symptoms and perceived individual level occupational stress among Japanese schoolteachers. Industrial Health, 54(5), 396-402.

  5. Nomoto, M., Hara, A., & Kikuchi, K. (2015). Effects of long-time commuting and long-hour working on lifestyle and mental health among school teachers in Tokyo, Japan. Journal of Human Ergology, 44(1), 1-9.

  6. Papastylianou, A., Kaila, M., & Polychronopoulos, M. (2009). Teachers’ burnout, depression, role ambiguity and conflict. Social Psychology of Education, 12, 295-314.

  7. Tanoi M, Mizumoto N, Okubo I (2012) Work-life balance of junior high school teachers in Japan― In terms of timeuse and role conflict. J Home Econ Jpn 63, 725–36.

  8. Wada, K., Sairenchi, T., Haruyama, Y., Taneichi, H., Ishikawa, Y., & Muto, T. (2013). Relationship between the onset of depression and stress response measured by the Brief Job Stress Questionnaire among Japanese employees: a cohort study. PLoS One, 8(2), e56319.




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