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いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について(通知)

令和5年2月7日

  • いじめ防止対策推進法に基づき、学校及び設置者は未然防止や組織的対応を行ってきた

  • しかし一部では、法に基づく対応がなされず、被害児童がいじめを苦に自殺する等の最悪の事案も発生している

  • 学校全体で決していじめを許さず被害児童を守り抜くという断固なる決意で全力を尽くすこと

  • 犯罪 (触法) 行為は、生徒指導の範囲として警察通報せず学校で対応されてきた

  • しかし、児童生徒の命や安全を守るため、犯罪行為として扱われるべきいじめなどは直ちに警察に相談・通報を行い、適切な援助を求める

  • また、犯罪行為として扱われるいじめは警察通報を行うことを保護者に対してあらかじめ周知する

1 犯罪に相当する事案を含むいじめ対応における警察との連携の徹底

基本的な考え方

  • 日常的に情報共有と相談ができる連携体制を構築

  • いじめが犯罪行為として取り扱われるべきと認められる場合は、直ちに警察に相談・通報をおこない適切に援助をもとめなければならない

  • 児童ポルノ関連のいじめに関しては、一刻を争う事案も生じるため、学校は直ちに警察に相談通報を行い、連携して対応する

  • 犯罪行為としての事例はAppendix1に示すが、そうでなくても重大な被害が生じている・発展する恐れがある場合は警察へ積極的に相談・通報を行うこと

  • 法令上求められる対応を行った場合は評価されるものである

警察との日常的な連携強化

  • 警察署との協定の締結

  • 学校・警察双方において連絡窓口となる担当職員を指定

  • 窓口担当者は自殺予告などの緊急事態に対処できるよう休日など執務時間外の連絡体制の構築にも留意

  • 学校警察連絡協議会で共通認識の形成

留意事項

  • 警察では、重大ないじめ事案ではなくても、当該児童又は保護者が犯罪行為としての扱いを求める時は、明白な虚偽を除いて届け出を即時受理することとしている

実例

①警察からの聞取りによる事案解明

生徒が同級生の昼食代やブランド代を支払っていた金銭授受につき、学校からの聞取りでは否定したが、警察の事情聴取では認めた

②触法少年への指導

加害児童から髪を切られるなどの被害を受けた児童が、学校の対応に納得できず保護者とともに警察に相談した。警察の指導及び指導内容を聞いた児童と保護者は納得した

③加害・被害保護者への警察対応

生徒間での恐喝事案で、被害生徒の保護者が被害届を提出し、警察は加害生徒を逮捕した。学校が被害者加害者双方の保護者への連絡に苦慮したところ、警察から間を取り持たなくてよいと助言があり、警察が連絡・対応を行った

④SNS上での問題への対応

わいせつ画像拡散を防ぎ、拡散元を特定した

⑤警察と連携したネットトラブル防止教室

警察と連携し、定期的に児童生徒と保護者を対象にトラブル防止教室を開催し、未然防止につなげている

2 被害児童生徒への支援及び加害児童生徒への指導・支援の充実

被害児童生徒への支援

適切なアセスメントを行い、二次的な問題の発生を防ぎ、ケアを行うこと

加害児童生徒への指導・支援

加害児童生徒へは、教育的配慮の元、毅然とした態度で指導・対応を行って反省させる必要がある

児童生徒へのいじめ問題にかかる普及啓発、未然防止の推進

道徳科や学級・ホームルーム活動などの時期に、いじめの実際の事例や動画を見せて、自主的にいじめについて考えられるようにする

学校間・学校種を超えた情報共有・連携の徹底

  • 加害・被害児童が学校を超える場合は、守秘義務の元、本人・保護者の同意を得て各校のいじめ防止対策組織間で情報共有を行い連携する

  • 教育委員会・私学担当部局は橋渡し役を行う

3 保護者と学校がともにいじめ防止対策を共有するための普及啓発の推進

いじめ問題に係る家庭等への普及啓発・支援

  • 学校いじめ防止対策基本方針は毎年児童生徒・保護者に説明

  • 見直しには保護者や地域を参加させること

  • 保護者には、法に定めるいじめの定義、保護者の責務、重大事態調査の目的と範囲を周知する

  • いじめが犯罪に相当しうると認められる場合は学校としても警察への相談・通報を行うことを保護者に周知しておく

  • (このあたりの問題は、虐待と比較すればよい。児童虐待を教師が発見した場合、児童相談所に通告すると家庭には影響が生じて勝手に通告するな・家庭を壊したといわれる恐れがある。しかし、児童であろうと生命や人権を犯されるならば国・地域社会で介入が行われるべきだということである

  • (したがって、学校がいじめを見つけ、内容が犯罪に相当する場合は、被害児童の命や人権のために、国や地域で保護する必要があり、その専門機関が警察である

いじめの当事者となった児童生徒の保護者への対応

  • 被害児童生徒には、家庭訪問などにより、その日のうちに事実関係を伝え、徹底的に守り通すことを伝えて今後の対応の合意を得る

  • 対応は組織的に行う

  • 加害児童の保護者には報告していない事案が半数以上にのぼるが、学校は迅速に保護者に連絡して事実を正確に説明

  • 学校と保護者が共同で児童の指導を行う (これはかなり無理がある、児童がよくわからずいじめと受け取られる行動をしたのなら指導ではないし、指導するべきいじめを行う児童の家庭から協力を得られると考えにくい、この通達は検討しなおさなければならないだろう)

  • 保護者との信頼関係形成が困難な場合は、スクールロイヤーの説明で問題が解消することもある

4 いじめ重大事態における総合教育会議の活用及び首長部局からの支援

重大事態における総合教育会議の活用の徹底

  • 総合教育会議は、地方公共団体の長と教育委員会との協議・調整の場

  • 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」でも、児童・生徒等の生命または身体に現に被害が生じ、またはまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合などの緊急の場合に講ずべき措置の協議・調整のために総合教育会議を設けられると規定されている

  • しかし、活用されていない

  • 地方公共団体では、いじめ重大事態が認められる場合は速やかに総合教育会議の開催等を通じ、地方公共団体の長と教育委員会で十分な意思疎通を図り緊密に連携して対応する

いじめの重大事態における首長部局との連携・協力

  • 学校及び設置者は、平時からいじめ重大事態における調査組織を設置すべき

  • 都道府県教育委員会は、調査組織を設置できない地域を想定して、職能団体・大学・学会の協力をえる体制を整える

Appendix

警察に相談または通報すべきいじめの事例


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