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小説『美しい彼』を読んだ。

ネタバレは恐らくなし!!!
小説の感想というより日記です。


鬱病のせいか体力が無くなったせいか、ここ数年没頭して読書というものが出来ていない。
読みたい本はあっても集中力が続かないのだ。
幼い頃から私は本の虫で、図書館で毎日2冊本を借りて読み切っていた程だった。本が読めなくなったことは仕方ないと思いつつもどうしようもない寂しさを感じていた。

そんな中ドラマ『美しい彼』にハマった。映像作品は目で追いかけなくても受動的に入ってくるので比較的集中しやすい。
子供と大人の境目で揺らぐ青年たちの恋に私はすっかり夢中で、原作の小説も読んでみようと思った。友達が同じ作者の小説を気に入っていて、それも読む動機になった。

というわけで全巻買いました!!!ドドン!!!

まあとは言っても以前の私みたいに夢中になって読めることを期待してはいなかった。ただ、好きになった作品の原点をゆっくりでいいから読んで理解したいと思った。

まあ結果から言うとめちゃくちゃ夢中になって読めました~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!ピッピロピ~~~~~~~~~~!!!!!!
気がついたら半日で1冊読んでました~~~~~~~!!!!!!!!!!

逆に怖い。
体調不良の壁を乗り越える推し作品怖い。

こんなに没頭して読書できたのは何年ぶりだろうか。美しい彼の物語からは救いのテーマを感じていたが、『美しい彼』そのものが私への救いになるとは思ってもいなかった。

読書に限らず没頭できる趣味をひとつ失うというのは意外と個人の心の中では大きな事だ。思うように楽しめないストレスは少しづつ心に蓄積していた。
あの喜びを味わえないことが名残惜しくて集中できないなりに読書は続けていた。確かに名作は面白い、しかし登場人物に没入して本の中の世界に溶け込むように読むという体験はついぞ取り戻せないでいた。
昔の私はまるでその作品の世界を歩くように読めたのに、今の私は文字の表面を追うことしかできない。その事が悔しくて自分に落胆していた。

美しい彼を読んで私は久しぶりに小説の中を歩いた。登場人物に感情移入し、文章の美しさを噛み締めた。
本の中に移入するあまり苦しさすら覚えた。特に3作目『悩ましい彼』に描かれた苦しみは今の私に少し近かった。苦しくて何度も手を止めたが、その苦しさが嬉しかった。
作品の中の苦しさをそのまま感じれることが幸せだった。

そしてあっという間に幸せな時間は終わった。没頭すればするほど時間が早く流れ名残惜しくなる感覚も懐かしかったが、どうしてもわびしさが勝つ。
これからの読書で似た読書体験が得られる保証は無い。もしかしたらこの没入感は『美しい彼』限定で取り戻した感覚で他の作品では以前と同じ感覚のままなのかもしれない。

しかし、今の私にもこんなに没入できる作品があったということ、その存在自体が救いに思える。今の状態じゃ何も100パーセントじゃ楽しめないと思っていた私が、こんなにも楽しみ心を動かされた。私にとっての『美しい彼』は平良にとっての清居みたいだ。

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