見出し画像

SFとMV

子どもの頃、空想科学読本なるキワモノな書物が流行っていた。
スーパーヒーローたちの必殺技なんかを実現可能か、また実現には何が必要か書いてある代物で、
子どもたちはそれを喜んで読んでいたが、子どもながらに
「いやいや、それはフィクションですがな」
みたいな冷め切った目線を持っていて、メタ的な視点からそれを面白がっていたけども、逆にこの年になって
「地球は丸くないかもしれないって話、知ってますか?」
などと大して親しくもない人に言おうものなら珍獣扱いされることは避けられない。

かの騒動の中では様々な"憶測"が飛び交っていた。
僕は日常を奪われたような気がしたので、とりあえず様子を伺うスタンスだった。
立ち向かおうとする人や信仰に委ねる人などそれぞれのスタンスがあったように思う。
危機的な状況、終わりのない緊張感の中で、デマも飛び交っていた。
そんな中、ショックなことが起きた。
具体的な手記を残していたわけではないので、時期は失念したが、4月だったと思う。
好きなライブハウスが閉店してしまい、エンターテイメントから死んでいくんだなと強く感じた。
このことをキッカケにずっと書けなかった歌詞を書くことになった。
いつだって遊び心を忘れないのが悪魔のマナーなので、それに擬えて、キャッチーなタイトルをと完成した曲には『Science Fiction』と名前をつけた。

Science Fiction [Official Music Video]


この曲の中の合唱パートはSNSで音声ファイルを送ってほしいと募集し、送っていただいたもので構成されている。
みんなで作った感じがあると思い、せっかくならとMVを作ってみた。
友人へ依頼するのではなく外注したので、美談がとくにあるわけではないが、
依頼時に方向性を尋ねられ
「SF、サイバーパンク系でお願いします!」
と自身で思いつく最もシンプルな要望を伝えたところ、素晴らしい結果が返ってきた。

3DCGにしたのは近未来感というか、
あの奇怪なテクスチャーが今作に非常によく合うように感じられたからで、
冒頭からスケールが大きく、サビで今っぽい色味になるが、
個人的に気に入ってるポイントはそのあとで、
1:25〜からの怒涛の展開には声を漏らした。
残り数十秒のところで未だピンチのまま、
どのようにして結末を迎えるのかとハラハラするが、すんなり終わりを迎える。
ここでの人々の微妙なリアクションが秀逸なパンチラインになっていると個人的には感じている。
しかし、これを見て何を感じるのかは、ご覧いただいた方の自由なので、
是非とも存分に初のMVを隅々まで堪能していただきたい。

つづく

貯金はせず、音源やグッズの制作などにあてたいと思います。 よろしくお願いします。