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renal summer 2020/08/15(土)日記

7時半起き。4連勤ラスト・デイである。ピーカンの晴れという訳ではないのにめちゃくちゃに暑い。日傘ありがとう大好きだ、日焼け止め塗るの嫌いなのよね。


renal summer について書こうかなと思っています。ネタバレあり。

ところにょりさんという方が制作されたスマホゲームで、8/7にリリースされた。TwitterのRTで回ってきて、「あなたは犬の腎臓です」という文句が気になって始めたのだった。

あなたは犬の腎臓です。
犬は腎不全になっており余命幾ばくもありません。
腎機能を補助することで、あなたは犬を少しだけ長生きさせ、犬とおじいさんの生活の終わりを先延ばしにすることが出来ます。

ドット絵がかわいく、色合いも好きで、「見守ってやろうじゃねえの」という気概はありつつも、軽い気持ちでインストールした。ここからは日記形式でうろ覚えだけど、どういう気持ちでプレイしていたのかを記録していこうと思う。

1日目

夕方頃に始める。軽い説明書きがあるが、アプリ内でのチュートリアルはほぼない。己で感じろ系ゲームなのかなと思いApp Storeの説明を元にして操作を進める。操作といってもタップを繰り返すだけだけど。とにかく画面にあるだけの情報をすべて得ようと、あらゆる場所をいじってみた。

画面左上には西暦と時間。日付だけがないのに多少の違和感を覚える。そして謎の四角。タップすると縦横が切り替わった。(横画面状態はエンディングを見るまで通してほとんど使わなかった)

画面右上には7つの点。これが日付表示に代わるものなのかと考える。このゲームにおいて「何月何日か」は重要ではなく、「何日目」という事だけ分かれば良いのかも知れない。

画面中央には赤いバー。おそらく血圧メーター。真ん中らへんに区切りが付けられている。この区切りは何なんだろう。

画面左下には謎の細いボタン。押してみると引き出しのようにショップ(?)が開かれ、ここで何かしらの強化ができる事を知る。

緑色のブロックを壊して広告を見ると、ブースト状態に入る、そのブーストの演出に恐怖を感じてしまい、ブーストがあまり良くないものなのではないか、広告を見れば見るほど衰弱も早まるのではないかとびくびくしていた。なるべく手打ちでブロックを壊すようにするなどしていた。

この日に分かったことはこれくらい。ちょこちょこタップして、血圧レベルも上げつつ犬かわいーななんて思いながらその日は寝た。

2~3日目

ゲームを始めた日の翌朝、犬が気になって起きてしまった。2日目にして私の生活は犬を中心に回り始めたのだ。エンディングを迎える日までほぼ毎日5時半とかに起きていた。

このころから予定が結構詰まってしまっていて、とにかく休憩時間やケータイをいじれる時間に慌てて犬の延命処置をするという生活だった。

たしかドローンが届くようになったのはこのへんだな。なかみについての説明はない。食料か何かが届いているのかな、とこの時は思っていた。

4~5日目

血圧強化はしているものの追いつかなくなってブロックもかなり壊しづらくなり、だんだん元気のなくなってくる犬を見るのも辛くなって、ゲームを辞めてしまおうかなんて考えた。こうなることは分かっていたはずなのにね。

ここでアプリを思い切ってアンインストールしてしまえば、犬が死ぬところをみることもなく、このゲームのことはいずれ忘れていくだろう。でもここで辞めてしまうのが一番だめだ、犬を飼うものとして失格だと、おじいさん、犬、ひいては制作者に失礼だとなんとか思いとどまった。

バイトでケータイをいじれる時間も少なく、トイレに行くついでに無理矢理起動してぎりぎりで持ちこたえる、なんてこともやっていた。店長すみません。

このへんからストーリーがSFみを帯びてくる。そもそもドローンで運ばれてくるものはなんだ?おじいさんが寝る前に作っているのは?the dog timesを読むことでそれがだんだん明らかになっていく。

6日目

犬が寝たきりになる事がしょっちゅうになった。ごはんもほとんど食べられていない。おじいさんが食べてよ、と勧め、それに応えるように必死に、ゆっくりと腎臓サポートフードを食べる犬の姿を見るのが、一番辛かった。おじいさんは犬のことが本当に大好きで、犬もまたおじいさんのことが本当に大好きなのだということを痛感させられる一幕である。

芝刈りの時も苗木を植えるときも、おじいさんは犬を持ち上げて自分の膝や荷台に載せるようになった。かわいくもつらい。

7日目

一日中、本当に一日中、おじいさんは冬眠装置を組み立てていた。隣に寝ている犬は息はあるが、もう目を覚ますことはない。

始めたときからちょうど168時間(7日間)後くらいに、完成したマシンの中に犬をゆっくりと入れ、おじいさんはそれをみつめる。エンディング、スタッフロールが流れる。

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【よかったところ】

・音楽
これはもうほんと陳腐な感想なんですが音。リアルな生活音。BGMのメロディ。リアリティと儚さを増幅させる最高のエッセンス。だと思った。

・作業が淡々としていること
結局主体は犬とおじいさんであり、プレイヤーは沈黙の臓器として最初から最後まで地味な作業に徹する。連打は楽しいものではないが、血圧強化さえすればそこまで苦労するものではない。そこが冷めることなく続けられた理由なのではないかと考える。

・描画
粗めのドット絵ということで、細かい表情の変化はないものの、しぐさやちょっとしたまばたきから犬やおじいさんの感情がかなり伝わってくるのがすごいと思った火とか水とかも妙にリアルでよかったな。

・エンディング
救いがある。勝手に老犬だと思い込んでいたけど多分そういうわけではなく、それなら延命させることで犬も嬉しいと思ってくれるのかなあなんて思った。

・チーズ
チーズ棚すごすぎる。


【気になったところ】

・展開、およびエンディング
両方に同じことについて書く手法をとっちゃうぞ。自分の思っていることが伝わるかわからないけどとりあえず書かないことには始まらないからな。

創作物のストーリーにおける生き物の生死は、たぶん創作物の消費者からはすごく重要視されていて、生きる=良い 死ぬ=悪いと、本能的に思ってしまうことがあるんじゃないかと思う。私もドラマや映画を見る中であらゆる登場人物に死なないで欲しいと思ってることがある。

でも同時に、文脈によってそれはあるべき結末になるべきだとも思う。戦争の時代を描くドラマで、重要人物がひとりも死なないのには違和感を覚えてしまうのだ。

だからこのゲームで冬眠装置の話が出てきたとき、少しがっかりしてしまった。リアルな現代の生活と紐付けてずっとプレイしてきたわけだから、現代チックな文明のまま終わると思っていたし、それを見届ける覚悟が日に日に増していくように心に言い聞かせていた。から。

7日目も、冬眠装置を組み立てるよりも、最後まで犬を撫でて、嗅いで、肉球を揉んでいて欲しかったななんて思ってしまった。

まあでも今書きながら考えたらそれも私のエゴなのかもしれないな。「こうあったら死ぬべき」と、深層心理で考えてしまってるのかもしれない…恐ろしいけど。


とにかく、忘れられないゲームになった。賛否あるし人に勧められるゲームじゃないけど、あまり外に出られないなか、なかなかない経験ができたんじゃないかと思う。

長くなっちゃったけど終わりです。

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