『得意な事』と『失敗する事』は共存し得る。

最近「どういう基準で仕事を選べば良いのだろうか?」とか、「どういう副業をするべきでしょうか?」という問いに対して、「自分の得意な事をしましょう」といった回答が見られる事が多いように思う。

ここで言う『得意な事』とは、『周りの人よりも上手くできる事』あるいは、『周りの人より少ない労力でできる事』などを指す。

この『得意な事』を活かす、というのは仕事をする上で正しい戦略だと思うが、一つ多くの人が勘違いしていそうなポイントがある。

それは、『得意な事でも当たり前に失敗する』という事だ。

例えば、「ハリーポッター」シリーズで有名な、J・K・ローリングさんがいる。

ハリーポッターシリーズを書いたほどの人なのだから、『作家』という仕事が彼女にとって『得意な事』だという事に、異論はないだろう。

ところが、彼女がロバート・ガルブレイスという別のペンネームで、『カッコウの呼び声——私立探偵コーモラン・ストライク(上・下)』(池田真紀子訳、講談社)という本を書いたところ、Amazonのベストセラーリストの順位は4709位で、書評家たちから高い評価を受けていたものの、それほど売れてはいなかったという。

4709位という数字を『失敗』と捉えるかどうかはさておき、ハリーポッターシリーズを書いた人でさえ、文章の上手さや構成と言った『内容勝負』で必ずしもトップを獲れる訳ではないということの証明にはなるだろう。(ちなみにその後正体を明かした途端ベストセラーになったそうだ。)

もっと身近な例でいくと、テレビに出まくっている売れっ子のお笑い芸人さんでも、普通に大スベリする事もあり得る。

このように、自分の『得意な事』をしたとしても、失敗する事はある。いやむしろ、得意な事をしていた方が失敗にぶつかるという人も多いのではないだろうか。

テレビに出ている売れっ子の芸人さんも、売れる前は(ライブなどで笑いは取っているとは思うが)収入という意味では苦労した時期がある事を考えると、たくさんの失敗を積み重ねてきたのではないだろうか。

『失敗』を恐れてはいないだろうか?得意な事を仕事にしようと思ったとしても、多くの場合失敗はついて回る。この失敗とどう向き合えるかが、結局成功の秘訣なのではないだろうか。

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