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菖蒲と紫陽花(その1)

 
 
 ヘンリー・スレッサーという作家の短編に、「花を愛でる警官」というものがある。ショート・ショートと言ってもいいくらいの短い作品だ。
 しかしそのたった数枚の中にミステリーの謎解きがあり、また読後に主人公の心情を思って心を揺さぶられる「情緒」というものも含まれている。なんでこれほどまでに短い作品に、長編を読んだような醍醐味を味わせられるのだろう。そう首を捻ってしまう作品だ。
 
 この小説のなかに紫陽花が出てくる。花に興味のないぼくだが、この小説で印象付けられて、なんとなく紫陽花は旬の時期に注目してしまう。
 
 梅雨の時期がメインになる紫陽花は、どんよりとした天候を連想させる花だ。花と日光は友達だろうが、カッと日差しが降り注ぐ中に咲いているイメージはない。
 

すぐりnote北山7

 
 その、けっして開放感をいだかせない花を、ちょっと電車に乗って味わってきた。

すぐりnote北山の3

 
 東村山市にある、北山公園。東村山駅の西口を降りて15分くらい歩いたところにある、のどかな広場だ。ここでは毎年梅雨の時期に『しょうぶ祭り』を行っているが、コロナ渦で昨年、今年と中止になっている。
 
 それでも花は時期になれば咲くので、むしろ祭りの喧騒が邪魔だと思う人にはぜいたくな『しょうぶ祭り』になっている。
 

すぐりnote北山5

 
 今年は桜からつつじから、時期が早い。暖冬の影響で、植物はどれも早咲きだ。
 
 ぼくはしょうぶとあやめの区別もつかない花音痴だが、里山風の緑地帯に群生するさまを見れば、壮観だなぁと感じる。
 
 水の流れる音も、心地よい。
 
(その2)につづく


 
 

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