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さよなら、バンドTシャツ

今はライブに行く機会もめっきり減ってしまったが、少し前(・・・というかコロナ前)まではとにかく音楽ライブに行くのが好きで、近場はもちろん、フェスや遠征も楽しみにしている人だった。

ライブの楽しみといえばグッズ。中でもツアーTシャツ、アーティストTシャツを着るのが買うのが楽しみで、デザインが気に入ったものは普段でも普通に着ているような人だった。

で、コロナの自粛生活で超ヒマだったときにその枚数を数えたところ、その数100枚以上。1枚3000円だとして・・・計算したくない。中には10代の頃に買った思い出のものもあるし、うっかり未開封のものもある。今も現役のものももちろんあるけれど、サイズがあわなくなったり今は着たい気分じゃないなというものは、その時に全部洗濯して、ずっとクローゼットの奥にしまいっぱなしになっていた。数年前に数えたときそれくらいだったから、今はそれからさらに20枚くらいは増えてたかも。

そんな、ある意味ひとり「ヤバいTシャツ屋さん」状態の私に転機が訪れた。引っ越しである。引っ越しは嫌でも「捨てる」という作業と向き合わなければならない。私はTシャツだけでなく、とにかく物が多い人間なので、誰にかはわからないけれど「ごめんなさい・・・」と謝りながら捨てていく日々を繰り返していた。とはいえ大事なTシャツは当然そのまま持っていくつもりだったが、どうにもこうにも荷物が減らない。

ある日、いつも仲良くしてくれているハチワレさん(仮)に、引っ越しをするこということと、Tシャツが山ほどあるという話をしたところ、これを機に思い切って処分しようと提案してくれた。売れそうなものはメルカリに出してみましょう、と。

Tシャツを、売る。というか処分する。そんなこと考えてもみなかった。でも集めててもどうしようもないというのもわかっている。

「いつ処分するの?今でしょ?」と、ハチワレさんの林先生ばりの言葉が刺さる。ハチワレさん自身も、過去に野球やサッカーのグッズを大量に処分したことがあると聞いていて、本人も私と同じようなことを経験しているから言ってくれるのだ。

私はそれに乗ることにした。捨てるのはつらいけど、でも、着ないのだ。ハチワレさんはわざわざウチに来てくれて、売れそうなものを吟味し、「もうサイズの合わないものは諦めて捨てるッ!どうしてもというやつはダンボールにとりあえず持って行って1年開けなかったら捨てるッ!」と厳しい言葉を残し、メルカリで売れそうなTシャツを何枚か持って帰っていった。

実際メルカリにもすでに大量のTシャツが出品されているので、売れるとも限らない。ハチワレさんが帰宅したあと、私はそのしまいっぱなしになっていたTシャツを静かにゴミ袋に詰めた。自慢じゃないけれどピッタピタのXSのTシャツとかよく着ていたと思う(当時の流行りもあった)。どのアーティストかは言えないけど、まさに思い出がいっぱいで、でも処分する決断に至ったのは大人の階段をのぼった証拠、ともいえなくはないか・・・とにかく私1人では絶対踏ん切りがつかなかったと思う。

今回のように、私みたいな意志薄弱の人は、引っ越しの片付けは常に「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」と言い続けてくれるDIOみたいな人がいないとだめだな、と思った。

でも・・・またTシャツ買っちゃうと思うな。

(ちなみにTOP画像のTシャツは処分してないです)



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