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2021私的映画ベスト10

一昨年、昨年は忙しさにかまけて年末年始のエンタメまとめができていなかったので(とはいえもう年を越してしまったが)映画だけでも振り返っておきたいと思う。鑑賞直後に投稿しているフィルマークスの感想を適宜貼っていく。

⑩「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」
予算的に言えば逆立ちしてもアクションでは海外には勝てない。もちろん規模感では無理ゲーなんだが、そこをアイディアでひっくり返しにいってるのが本作。格闘技のライセンスも保持しプロからも絶賛され俳優の域を超える岡田さんの身体性とその能力を引き出す演出がすごい(のだと思う)。特に建設中アパートを舞台にした中盤のシークエンス(下記予告1:07〜)は圧巻の一言!真田さんの安定の存在感、一周回った安藤政信の色気、髪金クール美女がドハマリの木村文乃、目力でぐぐっと心に迫り飛躍を遂げる平手友梨奈、等見どころ満載の快作。

⑨「プロミシングヤングウーマン」
”前途有望だった”キャリー・マリガン演じる女性によるある事件の復讐劇。心が落ち着きそうになると思った矢先に斜め上に引っ張り上げる、遊園地のフリーフォールのようにぐいぐい感情を揺さぶってくる脚本が巧過ぎる。アカデミー賞脚本賞も納得の一本。タイトルもKVもセンスがダダ漏れ。本作プロデュースから娯楽大作キャラも演じるマーゴット・ロビーの振れ幅に唸る。

⑧「エターナルズ」
ただでさえスケールがデカかったアベンジャーズのそれを更に飛び越えてくる壮大過ぎる世界観に圧倒された本作。(とはいえそんなのもうやりようなくない?感はすごい)その上で大量新キャラ登場も各キャラやたら魅力的。ノマドランドでクロエ・ジャオ監督の見せた叙情的な語り口はマーベル大作でも十分発揮された感。そして銀幕久々登場のアンジェリーナ・ジョリーの存在感たるや!強く、美しく、かっこいいの三拍子揃い過ぎでは?

⑦「すばらしき世界」
傑作「永い言い訳」から5年ぶりの西川美和監督作品。社会のレールから外れながらもまっとうに生きようと悪戦苦闘する三上と彼を取り囲む人々の物語。鑑賞後、ずしりと重く心に残った本作。一度落ちた人間にこの社会はなんと冷たいことか、うまく生きられない人間はどうすれば良いのか。社会が求める「正しさ」とは何なのか。そうした正しさで割り切れない所を理解し、受け入れていくことが、すばらしき世界へとつながるのだろうか...そんなことを考えさせられた。

⑥「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」
自分とエヴァとの最初の接点は、中学の時に理科の先生が「あのアニメはしっかり電源プラグまで描いてるのが面白いんだよね」という言葉だった。(今思えばなんてニッチな視点...)あれから約20年。興奮と混乱を幾度となく与えてくれた本作の終焉。3.11、奥様とのご結婚を経て(と推測する)過去を認め現在を踏みしめ未来に向けて歩き出すという希望を描いた庵野監督の集大成的な作品。宇多田さんのエンディング「One Last Kiss」で涙腺が崩壊した。

⑤「007 NO TIME TO DIE」
2006年から15年に渡るダニエル・クレイグボンドの最終作。敵役のラミ・マレックを活かしきれてない感が半端なかったが、スリリングなアクションはじめダニエルボンドに求めていたものは満たされた作品だった。何よりも前作スペクターから連なる、感情を押し殺したスパイからより人間的な感情に突き動かされる男へと更なる変化を遂げたボンドの最後、図らずも涙が勝手に流れてきた。(シリーズを通してTOM FORDのスーツを纏う筋骨隆々激渋ダニエルボンドは最高にかっこよかった!忘れない!)

ちなみにダニエルボンド作品の好きな順位は
「Skyfall」>「カジノ・ロワイヤル」=「スペクター」>「慰めの報酬」
という感じ。
本作はC・Rとスペクターと同列かなと。

④「隔たる世界の二人」
32分。「差別」「平等」「多様性」なんていう上っ面な言葉がはびこる今の社会に、彼ら(白人と黒人)の分断の溝がいかに深いかを突きつける作品。どんなに信じようとしても裏切られまたスタート地点に戻るという負の循環を一人の黒人青年のタイムリープものとして描く、という「天才や、、」と言わざるを得ない構造の傑作短編。このテーマをこの短さに濃縮させることで、逆に溝の深さがより際立ってくるというのがすごい。もはや軽々しく彼らの関係性を理解したなんて言葉は口が裂けても言えない。

③「ノマドランド」
自らの家は所持せず、米国を放浪しながら生活するノマドたちを描いたある種ドキュメンタリーチックな本作。溢れる富。物質主義の経済。彼らのライフスタイルはこうした呪縛から一見解き放たれた様に思えるが、実はアマゾンで日雇い労働で賃金を稼ぐという厳しい現実を描く。資本主義に走る反動として米国の暗部を見せられた気がした。ただこうした貨幣・物質と幸せとのバランスは個人的にもこの数年間頭を回るテーマではあるので自分の価値観に響くものがあった。本編終盤の言葉も詩的で大好き。

②「映画大好きポンポさん」
映画作りにかける情熱と生き様、そして熱量が生き生きと伝わってくる90分。映像ならでは、アニメならではの演出がふんだんに盛り込まれており終始ワクワクしたし、最後の銀行のシーンは熱くなった。「幸福は想像の敵」「何かを残すということは、それ以外、犠牲にすること。」等いくつもパンチラインが炸裂する。個人的には映画製作のファイナンス面に踏み込んでいる点が素晴らしいなと思った次第。(もうこの予告編見るだけで熱くなる・・・)

①「デューン/DUNE -砂の惑星-」
公開前から楽しみにしまくっていた本作。一言で言えば格調高いスターウォーズ。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の世界観がドバドバで最高な一本。冒頭の主題の提示、どこを切っても絵になる構図、豪華過ぎるキャスティングと俳優陣の起用法、アクション面での新しい表現への試行。タイトルロゴは今年見た全てのロゴの中で圧倒的に美しい。(パンフのロゴはより砂感が表現されていて最高)ドゥニ監督は大作としての娯楽性と作家性の極めて高いアートディレクションとを両立させられる稀有な映画監督だと思う。(クリストファー・ノーラン監督が論理で世界観を構築する方とするとより感性派というか。その点「メッセージ」「ブレードランナー2049」は過去作に比べても好き。)映画館にいながらまるで美術館を回覧している様な感覚を初めて覚えたという意味で、「総合芸術としての映画を堪能した!」という読後感から私的年間一位に選定。

上記含め、
去年映画館で見たのがほとんどだが、新作鑑賞は約60本。
(旧作含めたら年間120-130作品位だろうか)

例年より少なくなってしまったので、今年は配信系も含め、
しっかりと追っていきたいものだ...。

ちなみに2022年一発目はネトフリ配信映画のこれ。

読後感は、アインシュタインの格言。「この世には無限のものが2つある。1つは宇宙、もう1つは人間の愚かさだ(前者は不確かだが)」。もうこの言葉にとにかく集約される。。こうならない良い年になるといいなあ...!

以上。

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