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クトゥルフと夢の階段TRPG DreamStairs ~超深層地下3000階への旅路、そして唐突に展開される確率論~

■え?今さら?——やり込みました。

 ゲームはやり込んでしまうのであまり買わないようにしている。結果、ピクミンやポケモンをやり込みまくり、モンハンやスマブラをほぼ知らない人間が産まれた。ちなみにカードゲームは大好きで、古のデジモンカード、ポケモンカード、デュエマを経て、今もデジタルでマジック:ザ・ギャザリングをやっている。

 そんな人間が、以前暇つぶしにとダウンロードはしていたものの全く手を付けていなかった「クトゥルフと夢の階段 DreamStairs」というテキスト系カードゲームRPGを、本当にふとした気持ちで開いてしまった。2020年3月リリースのゲームである。

▼製作者さまHP
https://scarletbox.work/

 そして、見事にやり込んだ。wikiも読み込んで、2週間で結構行くところまで行った。

 今回私がここに記すのは、「wikiに書き込むほどの新情報でも無いんだけど……」というレベルの知識(※超深層に特化)と、攻略に関わる確率論である。そのためこの記事は「何このゲーム?面白そう!」と思ってワクワク情報を調べている人間を門前払いにし、深淵までやり込もうとしている人間をまさに深淵へと陥れるためのものとなっている。なおこの記事では1000F越えの事を超深層と、勝手に呼ぶ。

■1000F越えの超深層に至るまでのあらすじ

 始めた当初は弱いステータスで何とか攻略するのがめちゃくちゃ楽しかった。シールドの硬い敵に毒や魔法でダメージを与えた時の快感が秀逸だった。この頃は回復も貴重で、「ドレイン」を周回持ち越ししていた。

 次第にINTを上げて宝箱を開ける確率を高めた上で、プリザーブなどでENEを溜めてALL杖あるいはALLフレアを放つデッキで数百階潜るようになり、赤石(勝手にせきせきと読む)を溜めていった。次第にダークサイド、火の精神、ライオンパワーでENEを溜め「希望」で回復しまくるデッキができていった。インスピレーションはとにかく入れまくった。ここに1-2枚の「戦略」を入れて繰り返し使いまくって敵の攻撃を無効化するムーブをするようになり、防御系装備や猫や猿をすべて捨てた。(ハイパーやる気ゴリラは自由に捨てられない罠。やる気ありすぎ。)

 その後ある時から引継ぎ武器をヘルギガントに持ち替えるようになり、ジャブを投入しまくりマーシャルアーツを入れる形となった。

 そう、結局行き着く先はマーシャルジャブデッキなのであり、これ以外では超深層へ行くことはできない。(結論パ) 指数関数的に上昇する敵のHPに対応するには、指数関数的ダメージを与えるしかない。

 ある所から1ターンキル以外あり得なくなり「戦略」を捨てた。またライオンパワー1枚でENE15上昇くらいできるようになってから(600Fあたりだったか?)、ダークサイドと火の精神を捨て、回復も要らなくなり「希望」を捨てた。(ENE上昇は計90くらいあれば十分。)

■超深層1000Fを超えていくと……

 このゲームは数値の上限が21億強であり、まず各ボスがHP21億になる。その後1500Fくらいからはすべての雑魚敵もHP21億になる。そのお陰でHPの桁数を数える必要がなくなる。ジャブが不十分な頃はx66を倒す為にトドメのストレートとして武器が1枚必要になるが、ここまで来ると、ヘルギガントでは「STR x 2 x 余剰ENE」ダメージが21億を越えオーバーフローするようになり、時に、敵が回復し始める。(そうはならんやろ) そのため雑魚敵のHPが億になったあたりで双剣である伝説二刀に持ち替える。

 敵のHPが21億一辺倒となれば、そこからはもう同じ動作の繰り返しとなる。伝説二刀以外のいずれかのカードをひたすら上にスライドして使用するようになる。その後ジャブが増えまくってx66をジャブだけで殴り殺せるようになってからは、伝説二刀も捨てた。

 そして3000Fを越えんとする私のデッキは下記の通りである。

デッキ総数 89
ジャブ 59
マーシャルアーツ 3
インスピレーション 20
フクロウの教え 1
ライオンパワー 6

 ちなみにステータスは下記の通り。

HP 550, SAN 925
STR 95, INT 34, DEX 46, CON 107, POW 184, ENE 32

 伝説二刀を持っていた頃は、伝説二刀を使用しないようにカードを避ける必要があったが、今となってはすべてのカードをただひたすら上にシャカシャカシャカシャカ無心にスライドし続けるだけで、なんか勝てる

■敵は「x66」か、「それ以外」。

 超深層での敵は「x66」か「それ以外」である。
 「x66」とは下2桁66の階に出てくる魚みたいなやつの事である。

 「x66」はデッキに混入された「溺死」7枚のうち6枚を引くまでにワンターンキルできるか?というゲームになる。
 「戦略」を入れて数ターンかけて倒す戦略はありだが、繰り返し引く溺死ダメージも地味に痛い。ヒールなどの繰り返し使える回復を入れるのもありだが、余計なカードが増え勝ちからは更に遠くなる。結局、ジャブを増やしまくってワンターンキルしかない。少し殴り足りなくても、伝説二刀でトドメを刺せる。そしてジャブが40枚を超えたくらいから溺れながら殴り殺せるようになり、伝説二刀を捨てた。

 一方で「x66以外」の敵は、ただのHP21億のサンドバッグである。x33ボスも同様。x99ボスはシールドも21億になるが、最後のジャブで15億ダメージを与えるのでもはや関係ない。何も見ずに画面スライドしまくれば勝手にライオンパワーとマーシャルアーツが発動して気付くと倒している。私の場合は右手の親指でカードを弾き飛ばす動作を繰り返し、さながら三味線をハイスピードで演奏する人みたいになる。
 ここまで来るとPCでYoutubeを見ながら戦いをこなせるようになる。(もはや何が楽しいのか分からなくなってきた)

■超深層に行く人の""許容""

 ここに夢をよそ見しながら下の階へ滑り下っていく異常者が産まれたわけだが、どんなにインスピレーションを積みまくっていても、手札事故はいつか起こる。
 マーシャルアーツとライオンパワーがダマになって手札が無くなる事故。ライオンパワーを引く前にENEが尽きてしまう事故。x66でマーシャルアーツを早く引けずに溺死する事故(事故に見せかけた殺人)。

 このゲームの仕様というか、裏技というか、意図的に設定された訳ではないであろう機能として、「タスクキルをすると、戦闘をやり直せる」というものがある。アプリをタスク一覧から終了させ、もう一度アプリを起動する方法である。カードゲーム的に言えば無限にマリガンできてしまうという事である。そしてこのタスクキルを許容しないやり方では、超深層、1000Fへの到達は難しい。

 例えばジャブを減らしまくって「戦略」を必ず引けるような、確実に事故らない構築は可能である。だがこれでは「HPが爆増したx66」に勝てない。(いくら戦略で攻撃をかわしても、数ターンで蓄積する溺死ダメージを耐え切れない) さらにタスクキルを許容しない人は(x66に安定して勝つために)マーシャルアーツの数を増やす必要が出てきて、結局ダマになるタイプの手札事故の可能性が上がる。つまり、どうもがこうと、手札事故はいつか必ず起こる。
 結論、タスクキルを許容しなければ1000Fを越える超深層には辿り着けない

 メタ的には、眠り直して夢を見直すような感覚だろうか……。超深層に行く気ならこの割り切りは必要で、タスクキルを許容できればマーシャルアーツやライオンパワーはさほど多くなくてよくなる。失敗したら、またタスクキルすればよい。これを許容できず冷めてしまうなら、記録挑戦はできない。

すべてのカードが程よく来てほしい(願い)

■ここまで来て、逆に、負ける要素とは?

 こうなると逆に、もう負けないのではないか?と思えてくる。答えはその通りで、理論上ではほぼ負けなくなる

 ここまでに訪れる最もあるあるな死は、x66で溺死しないような量のジャブを確保できなかった場合である。x66のHP上昇に合わせてジャブを追加投入できなければ、x66のHPを削りきる前に溺死6枚が手札に入ってしまう。

 またもう一つ恐ろしいのは道中イベントでのHPかSANのダメージ蓄積である。ただこれはちゃんと順調にCON POWを上げていれば、偶然が5回くらい重ならないと起きない。(無論、偶然が重ならなければ……)
 こないだ犬に3階連続遭遇し、更に33%抽選を3回外して噛まれまくって死にかけたが、宿屋に辿り着いてなんとかなった。ちなみに雑魚敵からのダメージは今や21億ダメージになってしまったので食らったら即死する。

 では、x66のHP21億をも攻略した今、何をすると負けるのか。ゲーム性とはもはや関係の無い、""操作ミス""である。

 眠くなってスマホが顔面に落ちてきてTURN ENDを押す。余計なスキルを誤タッチしてデッキが重くなり、x66で死ぬ。犬に3回噛まれたのに宿屋で回復せず立ち去る。間違ってヤベー本を読んでしまってデッキに3枚絶望カードが入り、x66で死ぬ。

 なんじゃそりゃと思うかもしれないが、ここまで来た私がもう今死ぬとしたら操作ミス以外あり得ないのである。

 2000Fあたりで死にかけたのは誤って「熱血」をデッキに加えてしまった時。このカード、""ドローした時に""ダメージを食らうカードであり、その時手にしたカードは(プラスが付きまくりなので)引くだけで「200ダメージ」食らうカードになっていた。HPが350しか無かったので流石にリタイアかと思われたが、幸い戦闘1回の後に偶然酒場が現れ、ポカンと忘れる事ができた。危なかった。酒はすべてを解決する。

引くと死ぬ熱血カード

 私からの具体的アドバイス。まずカードを開く時、指は「パス」の位置に置いておくべきである。何度かジャブを見逃してしまったが、「熱血」を得るよりは遥かにマシである。

 また盗賊や宝物守るマンを倒した報酬からは赤石が出ない事がある。金・赤石・カードの3項目があるつもりで連打していると、「赤石だと思って連打した所がカードになっていて要らないカードを得てしまう」事件が起こる。それがたとえば偶然「熱血」だったらあなたはどうしますか?(一敗)

 そして寝落ちしないよう睡眠をとる。眠くなったら、ゲームをしない。なんて健康になるゲームなんだ。(こんなやり込みしながら、真人間のふりをするな。)

 後は道中のイベントで食らうHPやSANのダメージをちゃんと回復する事。
 HP回復……宿屋で必ず全回復する。おじさんに誘われ飲みに行く。
 SAN回復……投資誘いマンの誘いを断って自信を得る。学校に来たら勉強もいいけど、外で遊ぶのも忘れずに。イヌを気合いであやす。ベッドで跳ねるとSANが1だけ回復する。宝箱守るマンに金を払って宝箱を壊すのも良い。本当に危ない時はクマに死んだふりをしてもいい。

 x99ボス(HP21億シールド21億のサンドバッグ)を倒すとSAN値を全回復できてありがたい。くれぐれも直前のおじいさんに1000円払ったりしないように。

 そして私はこのゲームに洗脳され、広告が流れる度に悦びを感じる異常者になった。(BAD END)

■ところで装備は何にする?

 ここまでの話も踏まえた上で。装備は他の方々の言う通り「盗賊の証」と「賢者の指輪」が必須と思う。
 賢者で初期手札が増えていなければマーシャルジャブが成立しないレベル(豪語)。また盗賊でジャブなどを当てるためのカードガチャ試行回数を上げるのが重要である。

 もうひとつの道具はやはり好みである。
 途中まで「爆運のリング」でサイコロの成功率をあげていた。が、INT DEXが34を越えPOWが50を越えればサイコロで勝ちたいイベントは無くなってしまう。「旧神/邪神の腕輪」でENEを上げるのも良いが、ここまで来るとENEが30もありあまり意味が無くなってしまった。
 今では道中で犬に3回噛まれたトラウマから、爆運のリングは捨てて「水のイヤリング」で微回復するようになった。もはやなんでも良いので、記念品として激レアの群馬指輪を付けても良い。

■負けなくなったその先へ

 雑魚敵のHPが21億に達した後、戦法も何も考えなくなりこのゲームは「ただひたすら記録に挑戦するゲーム」と化す。ひたすら深く潜っていく姿はさながらタイムアタック挑戦者だ。

 一方、手札事故をゼロにすることはできないという事は、タスクキルをゼロにすることはできないという事である。(小泉○次郎シンクロ率80%) しかしタスクキルが多く必要なデッキを組んでしまうと、時間の効率が悪い。

 つまり、タスクキルをすることで負けなくなるのは当然なのだが、いかにハイペースで戦闘をこなすかが絶対、重要になってくる。(※個人の感想です)

 そこで突然ですが、事故を限りなく少なくするための確率論を展開いたします。(敬語)

■ マ ー ジ ャ ブ 算

 題してマージャブ算。命題をクエスチョン形式で示し、それぞれの回答と導出方法を示す。

≫HP21億を倒すには何回殴れば良いのか?

 結論、48回。(クトゥルフ法律事務所) もちろん、マーシャルアーツの後のジャブの回数である。x99だけシールドがあるので49回になる。
 STRの""上り幅の上り幅""が大体1.5倍ずつになる(伝われ)。つまり宇宙ってコト(伝わらない)。初期STRに掛け算するわけではなく、初期STRを上げても効率は上がらない。もはやSTRに関しては赤石で初期強化する意味もない。また「地獄の力」でSTRを上げるくらいなら、ドローできる「ジャブ」を拾った方が良いと私は考える。(ここで200Fまでにジャブ1枚しか引けなかった地獄の記憶が蘇る)

≫[A]初期ENEが切れるまでにライオンパワーを引ける確率は?

 結論、下記の数式。

1 - (ALL-LP) Combination (5+ENE) / ALL Combination (5+ENE))
Cは組み合わせ、コンビネーションを計算する記号
ALL:デッキ総枚数 ENE:初期ENE量 LP:ライオンパワー(+ダークサイド)枚数

 初期ENEを使い果たすまでにライオンパワー(ダークサイド)を1枚以上引けないと、ENE切れになってしまう。これは「どのくらいの枚数のライオンパワーがあれば息切れする確率を下げられるだろうか?」という検討をするための式である。ただしここではライオンパワー1枚のENE増加が十分量であり、少なくとも1枚引ければENE切れにならなくなるとする。(超深層に来てない人はライオンパワーだとENE増加が足りないのでダークサイドで十分量のENEを稼いでください) また、初期手札は賢者の指輪ありきで5枚とする。

 各カードがデッキを""掘る""にあたってどのような役割を持つだろうか。ここでは計算を簡素化するべく確率をやや低めに見積もる近似を行う。
 ●ジャブ:1枚引く。
 ●インスピレーション:1枚から3枚引けるが……インスピレーションを大量投入するデッキでは結局1枚しか引けないことが多い。またこの検討ではライオンパワーを引けずに負けるパターンを最低の想定とするため、手札が減って2枚以上引ける場面は少なく、「インスピレーションは1枚引くカード」と仮定する。
 ●フクロウの教え:インスピレーション系。フクロウは2コストかかって1枚から3枚引けるが、かくかくしかじか(2コストかかって、当然2枚引けることもあるが、ENEが残り1でフクロウ使えない場面では普通にジャブを使って1枚引くことになるし……)でインスピレーションと同様に「1コストで1枚引くカード」と仮定する。
 ●火の精神:インスピレーション系。ゼロコストで1枚から3枚引けてENEが3回復する。ドローした上にライオンパワーが引けるまでの猶予をENE3つ分稼げる。だが超深層において、ライオンパワーのENE増加に比してENE+3は微々たるもので、更に超深層ではダメージを極力排除するため最終的には火の精神は抜くべきである。これも一応「インスピレーションと同様」と仮定しておく。
 ●ライオンパワー(ダークサイド):この検討の要であるENE増加カード。手札は1枚減る。
 ●マーシャルアーツ:この検討に必ず存在するカード。手札は1枚減る。ライオンパワーを引く前にマーシャルアーツを引いた場合、0コストで手札から抜けていく。一見ライオンパワーを引く邪魔をしているように見えるが……これは手札圧迫もENE消費もせずに手札から抜けるため、結局インスピレーション系のカードのドローが増える事となる。そのためデッキに数枚入れているだけの場合、実はライオンパワーを引く邪魔を(あまり)しないカード。
 ●伝説二刀、戦略、希望など:その他の手札が減るカード。超深層ではなるべく削りたいし、今回は無いものと考える。もしもデッキにこのカードがある場合、手札を圧迫するためインスピレーション系から十分なドローができなくなり、ここで計算した確率よりも低下するものと考える。

 この前提の上で、伝説二刀、戦略、希望などの不純物が入っていないデッキでは、ライオンパワー以外のカードはすべてざっと言うと「デッキを1枚掘り進める」機能がある事になる。つまり「初期手札5枚+初期ENEの数分のデッキを掘り進める事ができる」と近似できる。ALL枚のうち5+ENE枚を手札に加える組み合わせは① ALL C (5+ENE)通りである。一方、手札に入らないカード群の中にライオンパワーカードLP枚がすべて入ってしまう場合の組み合わせは② (ALL-LP) C (5+ENE)である。下図を見てイメージしてほしい。そして今回は手札に1枚以上のライオンパワーカードが入ってくる確率を計算したいので、「手札に入らないカード群の中にライオンパワーカードがすべて入ってしまう場合」の余事象を考える事になる。そのため、1-②/①が今回の問いの答えとなる。

「手札に入らないカード群の中にライオンパワーカードがすべて入ってしまう場合」を考える

 この確率を上げるには、①を上げて②を下げると良い。変数それぞれに注目すると、ALLを下げる、ENEを上げる、LPを上げる事で確率が上がる。

 例えば今の私の場合、ALL=89枚、ENE=32、LP=6枚である。計算すると、1 - ( 83 C 37 / 89 C 37 ) =96.50%であり、3.5%でライオンパワーを引けない。ここでライオンパワーを1枚増やしてALL=90枚、LP=7枚となると97.94%になる。3.5%と2.06%だとかなり違う気がしてくる。あるいは、デッキ総数を9枚削ってALL=80枚、LP=6枚にすると98.99%になる。もしかしてインスピレーションとジャブを増やしすぎたか……?

 じゃあデッキ総数を下げまくってENEを上げまくってライオンパワーを入れまくれば良いのか!……とはならない。まずENEを上げる事に関しては運まかせであり、意図的にできない。ではライオンパワーを入れまくるのはどうだろうか。

≫[B]手札が減るカードを引きすぎて手札が尽きてしまう確率は?

 結論が複雑なのでまずは説明から。ライオンパワーやマーシャルアーツを入れすぎると、今度は手札が尽きてしまってタスクキルする場面が出てくる。このような手札が減るカードとインスピレーション系カードはどのくらいのバランスで入れたら良いだろうか?手札が尽きてしまう確率を検討してみる。

 この検討における各カードの役割を再考察する。
 ●ジャブ:ジャブは「使う事で手札を1枚引く」わけだが、この検討においては「使っても手札の枚数が変わらないカード」と言える。
 ●[Dis]手札が減るカードライオンパワー(ダークサイド)、マーシャルアーツ、伝説二刀、戦略、希望など:使うと手札が1枚減るカードすべて。分かりやすいようにここでは初期手札5枚を残機のように考えてみる。ここで例えば初っ端から「手札が減るカード」を5枚引いてしまうと、手札は0枚になり、ゲームオーバーだ。
 ●[Draw]手札が増えるカードインスピレーション、フクロウの教え、火の精神:この検討においては先のライオンパワーの検討とは違い、手札が減るカードを引きすぎる場合を特に考える。手札が減るカードが重なって来た後、インスピレーション系で3枚ドローする場面は経験するだろう。ここでは「手札が2枚増えるカード」と考える。残機が2増える。無論これはあくまでも近似であり、タイミング次第では手札が増えなかったり、1枚しか増えなかったりする。極力ジャブがある限りはジャブを使う事でこれは改善する。また、希望や伝説二刀は序盤で使う事ができず手札を圧迫するので、インスピレーション系のドローが減る。

 まとめると、初期手札5枚に対して
  [Dis]手札が減るカード:-1
  ジャブ:+-0
  [Draw]手札が増えるカード:+2
 と増減を繰り返し、手札が0になったらゲームオーバーだ。なおこの検討ではライオンパワー・ダークサイドをちゃんと引いてきて(というかこれはまさに引きすぎて困っている場合を考える検討である)ENEは切れないものと考える。

 次に、場合の数/組み合わせを考える一つの手法を提示する。道順の最短経路の組み合わせを検討する場合によく使う格子の図を示す。一番左上の地点から一番右下の地点に辿り着く経路を考える。右にいつ行くか、下にいつ行くかで経路のパターンが複数発生する。とある格子点に辿り着くにはその真上か真左の点から進んでくる事になる。つまり、とある格子点に辿り着く組み合わせ数は真上の点の組み合わせ数と真左の点の組み合わせ数を合計して求められる。これを繰り返し各格子点にプロットしていくと、最終的に一番右下に辿り着く経路の組み合わせ数が求められる。例えば下図では右に12回、下に9回進む経路を検討しており、一番右下に辿り着く方法は293930通りある。これは下図にプロットして求める事ができるが、これを計算で考察する事もできる。(12+9) C 9 = 293930という式である。これは「21回""進む""行為のうち、どのタイミングで9回下に進むか?」という組み合わせを計算している。

道順の最短経路の組み合わせを検討するのによく使う格子の図

 これはもう少し頭を捻ると……「12枚の"Draw"と9枚の"Dis"をどのタイミングで引くか」という事象と同じではないだろうか?だが、ここで成立しない事象を検討してみる。例えばDrawを1枚以上引く前にDisを連続で5枚引いてしまうと、手札が空っぽになり、そもそも""道""として成立しない。ではここで道として成立していない経路を、橋を爆破して道を塞ぐかの如く、×印で示してみる。

辿れない道を爆破しました

Drawが1枚あればDisを2枚引く許容が産まれる。具体的にはDraw 0枚・Dis 5枚、Draw 1枚・Dis 7枚、Draw 2枚・Dis 9枚、、、の場合は手札が尽きて道が成立しない。そのため上記のような×の配置となる。これを地道にプロットすると291695通りとなる。(正気か?)

Draw枚数とDis枚数に対する「全通り」の組み合わせ数と「辿れない道を爆破した実際可能な道」の組み合わせ数を表で示す。

全通り
辿れない道を爆破した実際可能な道

ここで「辿れない道を爆破した実際可能な道」÷「全通り」をすれば、タスクキルせずに済む「手札が尽きない確率」を求める事ができる。(命題と逆になったがこの方が分かりやすい)

手札が尽きない確率

文字が小さすぎてSAN値チェックになりそうなのでもう少し実用的な拡大画像も示す。

結論、手札が尽きない確率

 これが結論である。
 例えば今自分はマーシャルアーツ3枚、ライオンパワー6枚のDis 9枚をデッキに入れており、Drawは21枚ある。(デカ過ぎんだろ……) 手元のExcelで計算すると99.90%で手札が尽きない計算になる。でも上表を見るとDrawは12枚まで減らしても99.24%の確率で手札が尽きないわけで、やはりインスピレーションはもう少し減らすべきかもしれない。

 ちなみに漸化式をこねくり回してこれを一般式にできたので、Excelなどで計算を叩きたい人は活用してください!!!

誰がこんな式のこと好きなん?
無理矢理シンプルに見せる結論

 例えばDraw x = 21枚、Dis n = 9枚なら……0≦m≦2であり、
Y(21,9) = 21 C 9 - Y(0,4) * 25 C 21 - Y(1,6) * 22 C 20 - Y(2,8) * 19 C 19
= 14307150 - 1*12650 - 5*231 - 25*1 = 14293320で、
 求める確率は 14293320 / 14307150 ≒ 99.90% となる。

≫[C]x66で溺死せずにジャブで殴り倒せる確率は?

 超深層最恐の敵であるx66での戦闘をおさらいする。まず最初に墓地へ7枚の「溺死」カードが入り込む。溺死カードは、ドローした瞬間にダメージを受け、コストが存在せずその引いたターンの間手札に居座る。溺死カードは狂気分類ではないため、狂気無効系カードで排除できない。とはいえ墓地に入り込むだけなので、最初はいつも通りデッキを回していく。問題が起こるのはデッキのすべてのカードを引ききってしまい、デッキが2周目に入った時である。墓地にあるすべてのカードがシャッフルされて新たなデッキとなる。つまり墓地に入ったジャブ(と戦略とフクロウの教え)と溺死を運任せにドローしていくことになる。

 HP 21億の敵を倒すには、マーシャルアーツを起動した後に、48回殴る必要がある。普段はデッキを2周も3周もできるので深く考えなくてよいが、x66をワンターンキルするには絶対にデッキ2周目で倒さなければならない。なぜなら溺死は7枚あり、手札上限の6枚を確実に占拠するからだ。

●検討例1:ジャブが24枚あり、手札猶予が6枚(つまり伝説二刀や希望無し)で、初手マーシャルアーツを引く場合を考える。
 初手にあるマーシャルアーツを起動した後、デッキの24枚のジャブを使い切っていくと、デッキはある所で2周目に入る。この後「溺死を6枚引く前に」(計48回殴らないといけないので)24枚のジャブを引かなければならない。
 デッキに不純物(戦略やヒールなど)が無ければ、概算でデッキ(と既に手札に持ってるもの)には24枚のジャブと7枚の溺死が存在する。これを引く全組み合わせ数は(24+7) C 7 = 2629575通りである。このうち6枚目の溺死の前に24枚すべてのジャブが存在する組み合わせ数を考えてみると、下図のように6枚目の溺死のに溺死5枚とジャブ24枚、6枚目の溺死の後ろに溺死1枚がある状況である。これはあたかも6枚目の溺死が仕切り板となってその前後にカード群を分けているように見える。よって(29 C 5) * (1 C 1) = 118755通りとなる。こうなる確率は118755 / 2629575 = 4.52%である。あまりにも望み薄だが、逆に言うとこんな状況で仕方なくx66戦を迎えても、タスクキルしまくれば4.52%でなんとかなる。

6枚目の溺死カードを「仕切り板」のように考える

●検討例2:ジャブが36枚あり、手札猶予が6枚で、初手マーシャルアーツを引く場合を考える。
 初手にあるマーシャルアーツを起動した後、デッキの36枚のジャブを使い切っていくと、デッキはある所で2周目に入る。この後「溺死を6枚引く前に」(計48回殴らないといけないので48-36=)12枚のジャブを引かなければならない。
 検討例1と同様に、全組み合わせ数は(36+7) C 7 = 32224114通りである。下図のように6枚目の溺死のに溺死5枚とジャブ12枚「以上」、6枚目の溺死の後ろに溺死1枚と「残り」のジャブがある状況である。このようになる組み合わせは、仕切りの前のジャブの枚数が12のパターン、13のパターン、14のパターン、、、、、、36枚全部あるパターンの組み合わせ全てを合計したものになる。なので(17 C 5) * (25 C 1) + (18 C 5) * (24 C 1) + ・・・ + (41 C 5) * (1 C 1) = 31882890通りである。よってx66を殴り倒せる確率は98.94%である。

仕切りの前にジャブがちょうど12枚あるパターンだけではなく……
仕切りの前にジャブが12枚以上あるパターンすべてを網羅した膨大な計算となる

 じゃジャブは36枚あればなんとかなるな!……と思ったかもしれないが、これはあくまでも手札猶予が6枚で(伝説二刀を捨てている)、初手にマーシャルアーツを引いている場合、である。タスクキルを繰り返してマーシャルアーツを初手に持ってくるマリガンをした上で、98%勝てるという事になる。ではマーシャルアーツはデッキからカードを何枚くらい引いたら手に入るだろうか。

●寄り道:マーシャルアーツはデッキからカードを何枚引けば手に入るか。
 先の「初期ENEが切れるまでにライオンパワーを引ける確率は?」で提示した近似の前提条件をここでも用いる。変数が複数あるので、下表ではまずデッキ総数60枚、マーシャルアーツ3枚の場合を示す。試合開始からデッキを引く枚数と、その枚数までにマーシャルアーツを1枚以上引く確率を羅列している。(引く枚数0枚=初手にある確率)

▲デッキ総数60枚、マーシャルアーツ3枚の場合

 初手にマーシャルアーツが来るのは23.33%に過ぎない。20枚掘ってようやくマーシャルアーツを引く確率が80%を越え始める。27枚引いて90%越え。当然これも運なので、40枚引いても1.33%の確率でマーシャルアーツをまだ引けない状況があり得る。では例えばデッキ総数60枚に対してマーシャルアーツが5枚ある場合はどうなるか、下表に示す。するとデッキを大体3分の1削れば90%を超える確率でマーシャルアーツが手に入る事になる。

▲デッキ総数60枚、マーシャルアーツ5枚の場合

 よしじゃあマーシャルアーツをたくさん入れよう!…………とはならない。当然、マーシャルアーツを増やせば増やすほど、手札が尽きてしまう事故が起こる。また、初期ENEが切れるまでにライオンパワーを引けない事故も起こる。
 しかもマーシャルアーツが早めにほしいのはあくまでもx66の時だけであり、他の雑魚敵ならば例えばデッキの一番下にマーシャルアーツがあったとしても、デッキを2周も3周も回してワンターンキルできる。なんならマーシャルアーツは1枚にしてしまって、x66の時だけゴリゴリにタスクキルしても良いのである。無論、1枚だけではマーシャルアーツ起動が遅くなり、道中の敵を倒す時間効率も悪くなる。

 結果、マーシャルアーツの適正枚数は、ライオンパワー確保の邪魔にならず、手札が尽きないようにも考慮しつつ、道中の雑魚敵をいかに早く倒したいか?、かつ、x66をいかに安定して(タスクキルを少なくして)倒したいか?という個々人の感覚によってしまう。そこで個人的にマーシャルアーツは3枚が良いのではないかと提唱しておく。ということは、デッキ総数60枚マーシャルアーツ3枚の項に戻るが、大体半分デッキを掘れば9割くらいの確率でマーシャルアーツを引ける事になる。

●検討例3:ジャブが36枚あり、手札猶予が6枚で、デッキの半分くらい(ジャブ18枚)を引いたところでマーシャルアーツを引く場合を考える。
 デッキが半分くらいなくなって18枚ジャブを使った所でようやくマーシャルアーツを起動できた。その後デッキに残る18枚のジャブを敵に打ち込む。デッキは2周目になり、デッキには36枚のジャブと溺死7枚がある。そして溺死を6枚引く前に(48-18=)30回ジャブで殴らないといけない。……あれ、結構シビアじゃないか?
 ここでは結論だけ書くと、x66を殴り倒せる確率は38.84%と低くなってしまう。ただ、逆に言うと何回かタスクキルすれば勝ててしまう。これを許容できるか否かである。

ジャブ36枚のうち30枚以上が仕切りの前にないといけない

●検討例4:ジャブが48枚あり、手札猶予が6枚で、デッキの半分くらい(ジャブ24枚)を引いたところでマーシャルアーツを引く場合を考える。
 最後の具体例提示とする。デッキが半分くらいなくなって24枚ジャブを使った所でようやくマーシャルアーツを起動できた。その後デッキに残る24枚のジャブを敵に打ち込む。デッキは2周目になり、デッキには48枚のジャブと溺死7枚がある。そして溺死を6枚引く前に(48-24=)24回ジャブで殴らないといけない。結論だけ書くと、x66を殴り倒せる確率は93.14%になる。これならかなり許せる気がする。
 実際はここにマーシャルアーツをどのタイミングで引くかという確率が絡み、確率の積和を求める事で具体的な命題[C]の確率を求める事になる。(すごく細かくなるので割愛するが、次項ではExcelで網羅的に計算して積和を求めて示している。) マーシャルアーツを早く引けた時にはx66を殴り倒せる確率はより上がる事となる。

●具体的な検討4例を踏まえて
 x66を殴り倒す事象の検討では、ジャブの枚数、マーシャルアーツの枚数、デッキの総数、手札の猶予枚数が絡むことが分かった。またマーシャルアーツの枚数は結論づける事はできず、個々人の道中のスタイルに合わせる事になり、例えば私は3枚を適正と考える。当然ジャブとマーシャルアーツを増やせば増やすほどx66を殴り倒せる確率は上がる。
 またジャブが少なすぎる場合には勝率(時間効率)を高めるために伝説二刀を構えておくケースも考えられる。ただしこの場合、手札猶予が5枚に減り、ジャブを打てる回数がかなり減ってしまう。計算では上記の図で示した「溺死6枚目=仕切り板」ではなく「溺死5枚目=仕切り板」と考える事になり、確率はかなり減少する。
 また「戦略」をデッキに入れている場合は、デッキ2周目で「戦略」を引いてしまうと手札が減ってしまうため、実質溺死の枚数が増えたかのようにふるまう。やっぱり「戦略」は抜こう。

≫これらの確率論を踏まえて

 ここまで提示したマージャブ算では、どのくらいの確率で[A]ライオンパワーを確保できるか、[B]手札が尽きないようにできるか、[C]x66を殴り倒せるかを考察してきた。[A]と[B]がx66以外の道中の安定性を担保するのに対して、[C]は特にx66に特化した事象である。なお、[C]が高ければ道中の雑魚敵を倒すスピードも若干上がる。この[A][B][C]すべての確率を上げる事はできず、どこかで折り合いをつける必要がある。人によって[C]をどこまで高めたいかは好みが分かれると思う。x66はあくまでも100Fのうちの1Fにすぎないので、タスクキル前提と考えるのは一つの手である。

 超深層に行くにあたって、そもそもまずはジャブをめちゃくちゃ回収する必要があるが、ではゴール地点はどこに設定すれば効率が良くなるだろうか。デッキの不純物を除いていき、これまでのように近似した計算を行えば、「初期ENE」と「4種のカードの枚数」の5変数で確率が定まる。そこで、下にいくつかモデルデッキを提示し、それぞれで[A][B][C]の確率を示す。(ALLはデッキ総数を示す。)

ジャブ48枚だと[A]も97%確保でき[C]も低すぎず良さそう(個人の感想)
ライオンパワー6枚あると[A]が97%もあり[B]も99%以上確保できている
マーシャルアーツ2枚以下は[C]が結構低くなる 4枚以上だと[B]が98%台に下がる
インスピレーションは12枚あると[B]が99%を越える [A][C]もバランス良さそう

……という事で初期ENE 25の場合の私の提唱する結論パは

初期ENE 25
デッキ総数69
ジャブ48
インスピレーション12
ライオンパワー6
マーシャルアーツ3

 これで[A] 97.28%, [B] 99.24%, [C] 92.21%の確率を確保でき、バランスが良さそう。
 更に、初期ENEが上がると[A]はかなり上昇する。(ENEが増えた分ライオンパワーを引けない事故が少なくなる。) 現在私はこれを書いている間に4000Fに到達しそうで、初期ENEが33とかなり上がってきた。下表の通り、色々いじりなおすと、どうもジャブを52枚にすると[A]も99%確保した上で[C]も94%とx66戦がかなり安定しそうだ。

初期ENEが増えると[A]がかなり上昇し、ジャブを増やす猶予が産まれる
ジャブが増えれば[C]が上昇する

……という事で初期ENE 33である現在の私にとっての結論パは

初期ENE 33
デッキ総数73
ジャブ52
インスピレーション12
ライオンパワー6
マーシャルアーツ3

になった。
 どうやらジャブとインスピレーションが多すぎたようだ。敵のHPが21億固定になるのだから、どこかでやめておくべきだった。今回の計算を基に、現在順調に酒場に通って飲みまくっており、この理想形に段々と近づいてきている。もう新しいスキルは要らないし、時間効率を更に上げるべく、海賊と宝物守るマンと宝物庫騎士は無視する事にする。(HPやSANが不足していると感じるようになったらまた考える)

■結語

〆の言葉だが、
このような確率論を考えている時間で、
もう1000F進めた方が効率よかった。(えぇ……)

じゃあなんでこんなことを考えたのか?

何でか分かんねぇけど……やりたかったんだ……どうしても……

私達は夢の階段から自由になることはできない。(HAPPY? END)

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