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初めて作る人事評価制度~個人目標設定編~

こんにちは!「すごい人事(※)」情報局のゆいです。
前回は人事評価制度の準備をするために必要な情報をそろえるというお話をしました。

今回は社員の準備として、個人目標を設定し運用をしていく流れについてお伝えいたします。

評価が社員にとってストレスをもたらすことはよくあります。評価が上からの押しつけになりがちで、社員の声や意見が反映されない場合、モチベーションが低下し、生産性が損なわれることがあります。
突然評価項目を設定して評価をし始めるのではなく、社員に評価対象にならない目標設定を行い、評価プロセスに慣れ親しんでもらう方法についてお伝えします。また、目標設定プロセスから現場感を取り入れ、評価項目にリアリティをもたらす方法も検討します。

※すごい人事…「内発的動機」でイキイキ働ける人が増える「強い組織」づくりができる引っ張りだこ人事!

【このシリーズを読んでほしい人!】
・初めて人事評価制度を作る人事担当者、経営者の方
・評価項目は何がいいのか悩んでいる人事担当者
・目標設定をさせたいがどうサポートしたらいいか分からない事担当者

【このシリーズを読むことでのベネフィット】
・明日からすぐ目標設定プロジェクトに取り組むことができる
・評価項目の下地になる情報を集めることができる
・人事評価制度プロジェクトを少し前に進めることができる

目標設定の前に:自己分析方法

自己分析は、社員が自身の強みや弱み、職務における興味や価値観を理解するための重要なステップです。前回の記事で紹介したヒアリングシートを使って、社員の現状の棚卸しのお手伝いができます。
ヒアリングをしても言葉が出てこない場合は、自己分析手法を使って情報を引き出すところから始めると良いです。おすすめは、業務の棚卸し・モチベーショングラフ・マンダラートです。

目標設定のポイント

目標設定に慣れていないと、今の業務の延長のみで考えてしまったり何も出てこなかったりしてしまうので、以下の目標設定をする際のポイントを社員に伝えてください。

具体的な目標の設定(SMARTの原則)

SMARTの原則は、目標設定やプロジェクト管理において使用される効果的なガイドラインです。この原則は、具体的で効果的な目標設定ができているかのチェック項目として使用します。SMARTは、以下の5つの要素を表す頭字語です。

Specific(具体的): 目標は具体的であるべきというものです。抽象的な目標になってしまうと、伴う行動も曖昧になってしまいます。具体的な目標は、行動計画を立てるのに役立ちます。

Measurable(測定可能): 目標は測定可能であるべきというものです。測定できるものでないと、目標を達成しているのか否かの判断ができません。目標が測定可能であれば、達成度を評価し、必要に応じて調整できます。

Achievable(達成可能): 目標は達成可能であるべきというものです。過度に難しい目標は現実的ではなくモチベーションを損ないかねません。少し背伸びしたら届く程度の難易度が理想です。

Relevant(関連性): 目標は関連性があるべきというものです。これは、目標が組織のビジョンと個人のビジョンや目的と一致していることを意味します。個人に寄りすぎていては会社で目標設定する意味が無いですし、会社に寄りすぎた目標では他人事感が出てしまいます。目標を達成したらどうなるのかを考慮しておきたいですね。

Time-bound(期限設定): 目標には期限が設定されているべきというものです。期限があることで達成するための手段を検討することができます。また、期限が設定された目標は、時間内に達成しなければならないというプレッシャーをかけ、プロジェクトや仕事の進行を助けます。

SMARTの原則は、目標の言語化と実現に向けた計画の立案の役に立つチェックポイントです。ぜひ活用してみてください。

長期目標と短期目標の区別

目標設定において、長期目標と短期目標の区別は重要です。長期的なキャリア目標と、日常業務における短期目標は役割が異なります。

長期目標は、自分のありたい姿を考え、その姿になるために達成すべきもので、キャリアの方向性を定めるのに役立ちます。一方、短期目標は、具体的なプロジェクトや業務に焦点を当て、日々の業務に関連付けられます。長期目標を達成するためのアクションに短期目標を検討します。

評価制度を運用することになった際は、半年ごとに評価をすることが多いと思います。そのため、今後のことを考えると、長期目標は半年~1年で考えることをおすすめします。
短期目標は数週間~数ヶ月単位で期限を区切ると良いです。1ヵ月で区切るとPDCAを回しやすいと思います。長期目標は一つに絞り、短期目標を複数用意しておくと良いでしょう。

目標の優先順位付け

目標を設定したら、次に考えるべきは、短期目標の優先順位です。目標の優先順位付けは、時間とリソースを最適に活用し、長期目標の成果を出すために重要なことです。
目標の優先順位付けには、次のような方法が役立ちます。

①重要度と緊急度のマトリクス
スティーブン・コヴィーの「7つの習慣」に基づいたアプローチで、目標を重要度と緊急度に基づいて4つの象限に配置します。重要で緊急な目標が優先され、非重要で非緊急な目標は後回しになります。

②目標の会社方針とのマッチ度
各目標が組織の戦略やビジョンにどの程度寄与するかを評価します。成果が会社にプラスの影響がなければ評価しにくくなってしまうので、会社方針に沿った目標を優先するように意識付けます。

目標設定の振り返り

目標設定が出来たら、期間を区切って振り返りをしましょう。
人事評価は半年~1年で実施することが多いですが、振り返りはもっとこまめに実施しないと、実態とどんどんズレてしまいます。特にスタートアップ・ベンチャーであれば、事業方針もガラッと変わることがあり、それに合わせてチーム・個人に求められる成果も変わることが多いですよね。最初に決めた目標とどれくらいズレていくのかもトラッキングしておくと、人事評価制度の運用時に役に立つと思います。
振り返り方法はいくつかありますが、私がおすすめしているのはKPT(Keep, Problem, Try)法です

KPT法(Keep, Problem, Try)は、目標設定と改善プロセスにおいて使用されるフレームワークで、問題の特定と解決、成功を維持し、新しいアプローチを試すためのツールです。

Keep(キープ)
ー "Keep" は、成功した要素やプロセスを指します。これらは現在の状況でうまく機能している部分や、良い結果をもたらっている要素です。
ー "Keep" の目的は、成功要素を識別し、それらを維持・強化することです。これにより、組織や個人は成功の継続性を確保し、強化できます。

Problem(プロブレム)
ー "Problem" は、現在の状況での問題や課題を指します。これは、達成すべき目標に対して障害となる要素や、改善が必要な領域です。
ー "Problem" の目的は、問題や課題を正確に特定し、それらに対処するための行動計画を策定することです。問題を解決することで、状況が改善されます。

Try(トライ)
ー "Try" は、新しいアプローチや解決策を試すことを指します。これは、問題を解決し、より効果的な方法を見つけるための段階です。
ー "Try" の目的は、問題を解決するための新しい方法や戦略を実験し、経験から学ぶことです。新しいアイデアやアプローチを導入することで、進化や改善が可能になります。

KPT法にY(やったこと)を追加すると、自分の業務を思い出しながら書くことができるので、振り返りが苦手な方にはYから書き出してもらうと良いでしょう。

振り返りを実施することで、目標に向けて適切に進捗があるかを確認します。行動に目が向きすぎて、何のために行動しているのかを見失うことがありますが、振り返りをすることで軌道修正することができます。また、一人ではなくチームや上司・先輩など誰かと振り返りをして、フィードバックをすることでKeepやTryの項目の効果が上がります。

人事評価をしていると、評価者が半年前のことは忘れてしまうという意見がありますが、振り返りをして記録を残しておけば、評価の時の参考になります。時間がない・めんどくさいと言われても実施することを強くおすすめします。

人事担当者の役割とサポート方法

目標設定のための材料を準備して、各所に説明をして「さあ、後はお願いします!」でプロジェクトが進めば苦労しないのですが、社員も経営者も目標設定が初めての場合は、慣れるまではうまく出来ないことが多いので、人事のサポートが必須になります。
私がサポートに入る場合は次のような内容を実施しています。

自己分析研修

恐らく、最初の自己分析から躓く社員は少なくないと思います。まずは自分で自己分析と目標設定をしてみて、一番説明しやすい方法を使って社員に対して自己分析の集合研修を実施してみてはいかがでしょう?
例えば、モチベーショングラフなら、何か書くものがあれば誰でも出来るので、オフラインでもオンラインでも複数人同時に実施できます。時間を取ってグラフを書いてもらった後、参加者同士で見せあって質疑応答をしてもらうと、質問によって深堀りを促すことができます。

目標設定シート説明会

次に、目標設定のシートを作成し、使い方の説明会を実施します。本記事に目標設定シートのサンプルを付けましたので、こちらもぜひご活用ください。

(準備中|サンプルは下記お問合せ先へご連絡をお願いしますmm)

目標設定をする本人だけでなくフィードバックをする上司・先輩にも参加してもらい、各項目にどのような意図があるかを理解してもらうとより効果的です。自己分析結果から目標設定に落とし込むところも難しいので、ここは個別面談でフォローをしていきます。

振り返り時のフォロー

振り返りの際も、メインは現場で実施してもらうとして、最初はフィードバックが適切にできているかの確認もかねてフォローに入ります。最初の長期目標の期限が終わるまではこまめなフォローが必要になるでしょう。

現場のサポート

フォローが必要な場面が多いですが、どうしても一人でフォローしきれない場合、現場の上司・先輩にサポートしてもらいます。この時、自分がどれくらい理解できていて、必要と思えるかどうかで協力してもらえることに繋がります。会社が力を入れているプロジェクトで、将来的に自分の給与に繋がる人事評価の基になるプロジェクトだということを理解してもらいます。

私の経験上、このような説明は人事からだけでなく経営陣が自ら説明することで説得力が増します。そもそも経営陣が力を入れたいと思っていないとただ大変なだけなので、経営陣の本気度は確認しておきたいです。

国家資格キャリアコンサルタントで技術を持った人事業務委託に頼るのもあり!

目標設定の社員フォローで全体的に言えることは、質問力が必要ということです。社員のキャリア感を引き出し、会社の方針を押し付けではなく腹落ちしてもらいながら目標に組み込んでもらうためには、質問によって社員が考えていることの言語化を手助けすることが重要です。

私はキャリアコンサルタントの資格を取得していたので、質問力には自信があり目標設定プロジェクトを実行することができましたが、もし自信がない場合や周りに質がいい質問ができる人がいない場合は、人事業務委託に依頼して補助してもらうこともご検討ください。

Crepeの「すごい人事パートナー」には、キャリアコンサルタント資格保持者で人事経験者が多数在籍しております。まずはお気軽にご相談ください!
ここまで読んでいただきありがとうございました。

ライター:西田ゆい
名古屋の老舗企業とベンチャー企業で人事を経験後、独立してフリーランスの人事になる。現在は5~6社に入り、採用・労務・組織開発など幅広い業務を担当している。「誰もが楽しく働ける社会へ」を個人ミッションとして日々邁進中。

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe
Crepeでは、「人事が変われば、組織が変わる」というコンセプトのもと、
・3年かけて1000名から採用率10%「即戦力」プロ人事マッチングサービス"すごい人事パートナー"
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