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難関校のビリと中堅校のトップはどちらが良いか?

皆さんは背伸びして実力以上の難関校に入学するのと、学校内で上位になれそうなレベルの学校に入学するのだったら、どちらを選びますか? 今回はTIMSSという4年ごとに行われる国際数学・理科教育動向調査を使って、生徒が属しているクラスの成績やクラス内順位が、生徒の勉強に関する自信(学業的自己概念)にどのような影響を与えているのかを分析した論文(Loyalka et al., 2018)を紹介したいと思います。

結論

全国順位が全く同じでも、クラス内順位が低いと統計的に有意なレベルで学業的な自信が下がる。 これを「小さな池の大きな魚効果(Big Fish in the Little Pond Effect)」と呼ぶ。(日本語だと鶏口牛後に近い概念) 小さな池の大きな魚効果は、ほとんど全てのTIMSS参加国で性別や国の文脈に関係なく数学と理科において存在した。

20220125_難関校ビリvs中堅校トップ

分析デザイン

手法 最小二乗回帰
X クラス内順位/クラスの成績
Y 数学と理科に関する自信(学業的自己概念)
コントロール変数 生徒(性別、家庭で話されている言語、移民の有無、家庭にある本の数、親の学歴など) クラス/教師の特性(教師の性別、経験年数、教育レベル、教師のコンピュータ使用、クラス内でのコンピュータとインターネットの利用可能性、毎週の生徒の宿題に費やす平均時間、試験の頻度など)

留意点、限界

この分析は2011年のTIMSSを使った分析であり、対象生徒はランダムに選ばれています。そのため、進学校と中堅校のみを比較した分析ではありません。

編集後記

 この論文は自信に焦点を絞った分析ですが、性別や国を超えて小さな池の大きな魚効果が存在するのはとても面白いと思いました。人はどうしても他の人と比較してしまう生き物なのですね。

文責 識名由佳

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Loyalka, P., Zakharov, A., & Kuzmina, Y. (2018). Catching the Big Fish in the Little Pond Effect: Evidence from 33 Countries and Regions. Comparative Education Review, 62(4), 542–564. https://doi.org/10.1086/699672

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