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レンジー ナントに行く(7):戦い終えて

 前回はこちら。

 声を枯らしながら戦った80分はあっと言う間だった。残念だったが、結果は27-39の敗北。

 負けた瞬間、なんとも言えない感覚を持った。悔しさと、やり切った思いと。
 自分としては、ノーサイドのあとでやりたかったのは拍手ではなかった。
 ただ黙ってブレイブブロッサムズのタオマフを掲げる。「感動をありがとう」ではなく、もちろんヤジるでもなく、ただ目の前の風景を心に焼き付けたかった。

 主将の姫野に先導されて、選手たちがグラウンドを一周。一礼していく。合わせて、「ニッポン!ニッポン!ニッポン!ニッポン!」コールが始まる。


 選手たちが去ったあと、気を取り直して始めたことがある。ゴミ拾いだ。
 これまた遠征サポの基本。遠征したとき、「あのサポが来た後はスタジアムが汚い」とか言われたくないので、近くのゴミは拾い集めて帰る。
 このときも、負けたからこそ、スタンドをきれいにしておきたかった。もともと、ビールなどを周りの客がこぼしてもカバンが汚れないように、試合中はカバンを大きなビニール袋に入れてある。その袋からカバンを出せば、ゴミ袋のできあがりだ。
 拾っていたら同じくゴミ拾いをしている子供がいた。アルゼンチンのジャージを着ていたがお父さんによればウェールズサポとのこと。良い子でした。

 一段落してからはけっこう忙しかった。なにせ目立つ格好して大声出してたので、近くのサポーターに覚えられてたのでしょう(笑)。いろんな人に頼まれて写真を一緒に撮った。こう言うのも楽しいもの。
 10人以上と撮ったのではなかろうか。一緒にゴミ拾いをしたウェールズの子たちとも撮った。「もしかしてテレビで解説されてる方ですよね?」と話しかけていただいた日本の方とも撮った。「キャラ違うけどいいですか?」とお返事しましたが(笑)。


 結局スタンドから引き上げたのはほぼ最後だった。引き上げるときには、ボランティアからゴミ集めのお礼をされた。

 スタンドを出てまず欲したのはビール。ただレンジーと一緒にいるとやっぱり至る所で写真撮影をおねがいされ(笑)、なかなかビール売り場にたどり着けない(笑)。
 どこか誰かのSNSに載ってるんだろうな~。

 ようやくビールにありついて、空き地に座り込んで飲んでいたら、アルゼンチンサポが近づいてきた。ジャージを交換しないか?と。体形も同じくらいだったし、試合後、今日は交換してもいいかな、と思っていたので申し出を受け入れた。

 着替えたあとのショット。ジャパンのジャージ、買い直さなきゃ。

 

 試合終了から電車の時間まで間があったので再びナントを散歩。

 開いていたカフェでチョコレートガレットを食べて時間をつぶします。かすかについた焦げ目が効いてて美味しかった~。隣のテーブルで、ブレイブブロッサムズのジャージを着ていたイングランドサポと雑談。うち1人のジャージには松島と姫野のサインが。聞いてみたら今日の試合後に書いてもらったとのこと。一緒に写真撮っておけばよかったな。
 彼らに私の旅程に呆れられながら、時間が来たのでお別れ。それから予定通りの電車でパリに戻りました。


 翌朝の出発は9時35分のフランクフルト行き。行き同様、直行ではなくフランクフルト経由のフライトです。タクシー捕まえるのに苦労してギリギリになったが、なんとか間に合って帰路に。
 フランクフルトからはアップグレードもしてもらえて睡眠時間を確保しながら帰国ができました。(寝落ちして機内スイーツは食べ損ないましたが(笑))


 出発は金曜の夜。帰国は火曜の朝。現地滞在はほぼ48時間。短くも濃密な旅でした。
 レンジーのおかげで、現地で他のサポとも交流できたし。短い時間でしたが、行って良かったと心の底から思っています。

 これまで旅行記に付き合っていただき、ありがとうございました。

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