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2024 J1 第9節 浦和レッズ vs ガンバ大阪 観戦記

いきさつ

 今シーズン開幕の町田×ガンバ戦は高倍率の競争を勝ち抜いてチケットを確保していたにも関わらず、やむを得ない事情で前日に放流する羽目になった。またニッサンスタジアムでの横浜FM×ガンバ戦は平日への日程変更のため現地観戦が不能となってしまった。そうした事情もあり、このゲームは今シーズンの初ガンバ観戦である。

 昨年のレッズには4戦全敗。まるで歯が立たなかったが、今年のヘグモ式は外連味の少ないオーソドックスな3トップを採用している。ポヤトスサッカーは4231とはいえ、2列目のサイドアタッカーはウイングである。両チームとも狙いとしては、下で組み立ててフリーのウイングに単騎突破をさせたい。そう考えると非常に噛み合わせがよく、互いに攻め合う好勝負が期待できそうである。

埼スタ

 昼過ぎまで快晴の天気はやや雲が出てきている。雨こそ降らないが試合中は曇りの予想。4月下旬ともなれば25℃くらいまで気温が上がるから日中のゲームは結構しんどいはず。16時開始ゲームで曇りであれば、いいパフォーマンスを発揮できるかもしれない。

ゲーム

 レッズ戦はどの試合でもグスタフソンが攻防の中心となる。レッズはいかにグスタフソンを生かすか、対戦相手はいかにしてグスタフソンにボールを入れさせないか。

 レッズはここまで岩尾以外が出場した時のインサイドハーフの働きが今ひとつでグスタフソンを生かし切れていない。そこを打開するために、今回は大久保をインサイドハーフに起用し、中島翔哉をウイングで先発させた。大久保は縦へ抜け、中島がスライドして中に入りながらボールを引き出しつつ前線と絡んでいく。そして中島が空けたスペースを渡邊が使っていく。そういうメカニズムでチャンスを作りCKを量産する。

 ガンバはボールを握りたいけど握れない。ボランチにボールが入った時にプレスを掛けられると前進できず戻す展開が多い。レッズとは噛み合うと思っていたが上手くいかず、ボールを握れずに耐える展開。最終的に引き込んだ相手の裏をウェルトンを利用してのカウンター狙い。単発ではあるが稀にシュートまで至るためレッズも気を抜くことはできない。

 ただ、両チームとも前半はスコアレス。レッズがボールを握り優位に進めていたが、仕留めるところまで持っていけなかった印象。


埼スタの屋根のシステムトラスはいつ見ても美しい

 後半の入りもやはりレッズが優勢。グスタフソンのシュート、伊藤のヘディングシュートのどちらかが決まっていれば試合結果は変わっていただろう。

 特にグスタフソンのシュートシーンはよかった。ホイブラーテンから対角へのサイドチェンジ。受けた前田がポケットを取った伊藤へパス。伊藤が空けたスペースへ走り込んできたグスタフソンがフリーで、そこへマイナスの折り返し。グスタフソンのシュートは惜しくも枠の上。形としてはおそらく理想形。

 風向きが変わったのはガンバが岸本を投入してから。比較的単騎突破を試みていた唐山と異なり、岸本はポジショニングとムービングがよく、ガンバ右サイドの機能性が向上する。

 続けて中野を左ウイングに入れてウェルトンを右に回す。岸本は右SB。すると中野のインターセプト、サイドチェンジからウェルトンのサイド突破。マイナスのクロスを坂本がワントラップで逆サイドに流し込んで先制ゴール。狙いの形でガンバがワンチャンスをモノにした。

 レッズも反撃に出るが、煮え切らない攻撃。CKは多く取るが、脅威を感じるほどではない。ガンバはここに至ってボールを握れるようになる。ピッチを広く使ってボールを回して無理をせず時間を稼ぐ。最後は山下が加入後初出場で爆速ドリブルに期待を抱かせながらタイムアップ。

チームレビュー

 レッズは大久保が上手くやっていたが、グスタフソンの所を締められるとやはり勢いがつかない。後半、最初の時間帯のチャンスをモノにしていたら違っていただろうけど、このゲームは運がなかった。ただ、前田にせよ松尾にせよいいウインガーがいるのに、その走力、突破力を生かせないのはもどかしい。片方に寄せて対角にサイドチェンジが基本となるのだろうけど、その展開にどうやって持っていくか。つまりは作りの問題で、後半のはじめのグスタフソンのシュートシーンやガンバのゴールシーンの類似形、こうした形をどれだけ作り出せるかが課題なのだろう。いずれにせよこのゲームは運がなかった。

 ガンバは岸本の投入が大きかった。決して上手い選手とは言えないが、ポヤトスの求める戦術的動きへの理解度と実行力が高い。それは鈴木徳真も同じで、理解力の高い選手が二人そろったところ、中盤の機能性が明らかに向上したのには驚いた。唐山はウェルトン並みに個で違いを作れないと岸本には及ばない。

 そのウェルトン。押し込まれている時間帯でもこの選手がいるだけで相手は全面攻撃に移れない。攻撃の連携に関していえば昨年から向上したとは言えないが、まともなウイングが一人いるだけで形にできてしまうのは大きい。

まとめ

 噛み合うとの戦前の予想に反して、8割がたレッズのゲームだった。ただ、勝敗を分けたのはウイングの活用法。レッズの前田は比較的前が詰まった状態でボールを受けることが多かったが、ガンバのウェルトンは前にスペースがある状態でボールを受けることができていた。その違いが最終的な結果につながったと思う。似たようなコンセプトの両チームで、チャンスメイクをウイングが担うだけにちょっとした違いが結果となって表れるのは面白い。

 レッズは勝利と敗北を繰り返していたがついに連敗。岩尾の早期復帰を望みたい。次節の名古屋は開幕三連敗後にやり方を戻して以降は6戦無敗。ついには絶好調の首位C大阪さえも破った。現状手を付けられないチームのひとつでレッズにとっては序盤の正念場と言えるかもしれない。

 ガンバは苦手の鹿島との対戦。こちらもある種の門番との対決で、ここを突破できれば上位進出も可能となる。攻撃の連動性は相変わらずないので、サイドアタッカーの単騎突破がカギを握る。ただ、鹿島はそんな簡単にやられる相手ではないので、さてどうかといったところ。

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