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200日の男性育休での気づき (前編)

私はこの2022年9月下旬から育休にはいりました。予定としては半年と少し。約200日の育休となります。

世の中的に、「男性育休」の言葉をメディアでもよく見かけたりしますが、男性の育休取得率はわずか14%。まだまだ少ないのが実情です。

取得期間も男性は1ヵ月未満が全体の約2/3。
3ヵ月未満が9割です。

そんな中での200日の男性育休なので自分自身の備忘として、またこれから取られる方へのヘルプに少しでもなればと思い、ここまでの気づきを整理したいと思います。

前提となる私の状況

長男がいま小学2年生。今回は第2子の誕生のタイミングでの育休です。第1子のときの自己評価として家族との時間をしっかりととり、育児に向き合ってきた”つもり”でした。

これは後で色々感じるところがでてきました…。

日常生活でいえば家事をこなし、小さい頃はミルクをあげたり、寝かしつけをしたり、離乳食を用意したり。

子供の送り迎えや遊び、家事育児を50:50でやれているので子供が2~3歳になるころには1週間ワンオペでもなんとかなるかなと勝手に思ったりしていました。

仕事もできるだけ就業時間内にてきぱき集中。残業は最小限。ここ2年くらいはリモートワークをフル活用して、家族や子供との時間をつくっていました。

そういう状況だったので、育休も何事もなく上手くやれるだろうと軽く考えてしまっていました。

ただ、実際はまったくそうではありませんでした…。

結論「男性育休は3ヵ月以上とったほうがいい」

経済的な面や、キャリア的に難しさを感じるご家庭もあると思います。なので男性育休は強要するようなことではありません。

ただ許されるのであれば少なくとも「3か月以上」とるべきものだと感じています。

企業や社会もそれを実現できるように進化していかなければならない。

これを書いているのはこどもが生後3ヵ月がみえたところ。

ようやく育児のペースをつかめてきた感覚です。もし自分が2ヵ月で職場復帰だったら…自分も家族も不安でいっぱいだったと思います。

仕事でいえば、会社にはいって3ヵ月は試用期間。状況がつかめて、うまく連携がとれて、ペースを掴んでいくにはそれぐらい必要なんだと思います。

そんなに育児ってやることあったっけ?

3ヵ月、パートナーと2人で育児をするってそんなにやることあるんだっけ?となるかもしれません。

実際に私も「育休はいったら何するの?」と多くの男性社員(ここはあえて男性と書かせてもらいます)から聞かれました。この質問の背景には、時間の余裕ができるだろうから、その間に何をするつもりなの?という意図があります。

自分も明確にこのときは答えられずに「家族と向き合います!」と言ってました。

でも今だったら「育児をします!」と答えます。

育児、めちゃくちゃ大変です。

俺、結構きちんと家のことやってるよね?

長男が小さい頃、自己評価では結構きちんと家のことやってる夫だよねって思っていました。

長男がまだ小さい頃はリモートもなかったので朝8時には家をでて会社をでるのが19時。それでも出産以前の自分と比べれば早く仕事を切り上げて帰っているつもりでした。加えて、土日は家のことをやる。

だから、自分だって十分に家事育児をやっているでしょうくらいに捉えていました。

今はそうは思いません。

19時に会社をでて帰ってこられても家事育児はほとんど終わっています。

夜も夜泣きがひどいときやミルクで育てていればヘルプはできるかもしれませんが、あとは週末の日中の時間だけしか携われないわけです。

赤ちゃんの育児は24時間体制です。

24時間×7日間=168時間のうち、土日の日中の約32時間。この時間をいくら一生懸命やったところで「赤ちゃんの子育て時間の2割にも関われない」のです。

掃除、洗濯、洗い物をいくらやったところで足りない。

当時、これがよく分かっていなかった自分がいます。あれもこれも十分にやってるよ、なんて思ってしまったことも…。

それに言いたくなりませんか?「いやいや、こっちは仕事してるじゃん。」と。

でも、それも言い訳にならないと私は思います。

パートナーは出産前の10ヵ月から出産後まで身体的に大きな負担を負います。精神的にもいろいろなものを背負います。仕事をしている方であればキャリアの分断のリスクを一方的に引き受けます。

そこにさらに育児の負担がのってくる。

もっと言えば、私は男だからこれまでの人生で生理に悩まされることもなく、薬を買ったり病院に行くコストもかかりません。

妊娠可能性に不安を抱えることもなく10年も20年も日々を過ごしてきているのです。

女性は妊娠出産のはるか前から、そうした身体的・経済的な負担を背負ってきています。

このことに思慮すれば自分は仕事があるからあとはよろしくなんて…言えません。今は長男の時にどれだけパートナーに頼り切った育児だったのかということを痛感しています。

自分が仕事も含めて、自分が何かを自由にできているとき。

趣味でもお出かけでも、自分の考えた計画通りに何かをできているとき。

それはパートナーが負担をしてくれているからだと気が付かされました。

圧倒的に不足している「知識」

子どもを授かること自体が奇跡。

そういう認識を男性側が持てていないことが多いのではないかなと感じます。これは私自身の反省です。

ただ、当事者に限らず、職場にいる上司や同僚についても言えることではないかなとも思っています。

自分はそうでした。悪気があってのことではないのですが、知識が不足していました。

ただ最悪なことに、この「男性側の知識不足」が職場でのハラスメントを生んだり、パートナーを傷つけるような言動のもとになってしまったりしているとも思います。

例えば妊娠率。

私はアラフォー世代ですが、1ヵ月で自然妊娠する確率は30代後半で18%。
40代前半は5%。

妊娠すること自体が奇跡的で尊いものです。

不妊治療をしている、あるいはしたことがある夫婦は5.5組に1組。不妊を女性の話題のようにとらえている男性が多いと感じますが違います。

原因が男性のケースは全体の1/4。
男性と女性両方にあるケースを含めると半分。

男性にとっても当事者性があります。

数字が分かっていれば、例えば職場でうかつに出産の話題(「結婚したんだね、次は子供だね」みたいな配慮のない発言)なんてできません。不妊治療の話題を女性のものだけのように話すこともできないはずです。

「育休」は出産前から始まっている

育休というと出産後のイメージがあると思います。

ただ、心構えや実際の準備という点ではもっと前から始まります。妊娠も奇跡ですが、出産までも長い道のりがあります。

流産率は30代後半で1/4。
40代前半では半分以上の確率です。

めちゃ高い確率です。怖くないですか?私は怖かったです。流産率が下がってくる12週を過ぎるまで不安で仕方がありませんでした。

自らのお腹に新たな命を抱えているパートナーはその比較にならないくらいの不安があったと思います。

母体はリスクにさらされ続けます。

妊娠高血圧症は30代前半までの人に比べて40代以上は2.5倍。
妊産婦死亡率20代に対して40代は10倍です。
授かったことは奇跡ですし、順調に大きくなることも奇跡。

その上、パートナーは24時間体制の妊娠期間を過ごします。

身体的な負担としてつわりや抜け毛、体の変化があります。精神的な負担もあります。キャリアも一時的に足踏みします。

男性側はその間どうでしょうか。

着たい服はきれなくなったでしょうか?
行動できる範囲が意図せず変わったでしょうか?
食べたいものを我慢する食事になったでしょうか?
お酒を飲めなくなったでしょうか?
やりたかった仕事を人知れずあきらめなければならなかったでしょうか?

なので「育休をとる」ということはもちろん大事ですが、その前から男性側も準備をしていってもよいのではないかと思うのです。

家事の分担を変える。気持ちのケアをする。調べる。学ぶ。

そのために仕事のペースを調整する。仕事の仕方を変える。チームのコミュニケーションを変える。仕事をしている中でもできることは色々ありそうです。

自分は実際に直面するまで、それがわかってなかったと痛感します。

出産予定日の1ヵ月前からは臨戦態勢

事前の私の計画としては、出産予定日の2週間前からは定例の会議からは抜けて、1週間前からは予定を全くいれず、ある程度身動きとれるようにと考えてました。

でもそんなにうまくいくわけがありません。出産日は早まることもあれば、遅くなることもあります。

私たちの場合は計画出産でしたので、ある程度出産日が予想できていました。

それでも緊急の入院もあったり、切迫早産だったりして、出産予定日の1ヵ月前からはほとんどドタバタした期間を過ごしました。

突発的に会社を休むこともしばしば。パートナーが入院すれば、必然的にワンオペで長男をみながらやっていくことになります。

ワンオペをすると、どれだけ家のことを「考えるタスク」を任せきっていたかに気が付きます。献立を考える。食材を準備する。料理する時間を捻出する。子供の宿題や遊びを一緒にやり、その上で仕事もする。

ワンオペできると思ってました。

でもひとつひとつのタスクができることと、実際に同時並行でやっていくことは別物でした。軽くパニックです。

準備をしていないことで、パートナーにも、会社のチームにも迷惑をかけてしまう。

なので、これから男性育休を考えている方には出産予定日の1ヵ月前には身動きがとれるように引継ぎや役割の確認は終わらせておき、自分がボトルネックになるようなタスクは綺麗にしておくことをおすすめしておきたいです。

絶対に大丈夫じゃない出産後の育児ストレス

私は第1子の時に知らず知らずのうちにストレスをためていて、ある日のランチで勝手に涙がでてきて止まらなくなるということがありました。

いわゆるパタニティーブルーです。

この時は転職したばかりだったというのと、初めての育児ということでそういう状態になっていました。今回は育休をとるし、2人目の育児だから大丈夫だろうと思っていました。

ですが全然ダメでした。

仕事上のストレス耐性は強い(SPIでもストレス耐性は強い)のですが、やっぱり別物なのだろうと思います。

なので男性育休をとられる際は、油断せずにストレスと向き合っていくことをおススメします。

「自分が無理をしない」ことは、家族にとっても大事なことです。

私にとってストレスの原因になっていた3大要素をあげると「声」「睡眠不足」「ペース」です。

(1) 声

赤ちゃんは泣くのが仕事です。

危険な状況にならないように、周囲の大人に気が付いてもらえるように大きな声で泣きます。頭ではそのようにわかっていても、実際に泣かれると相応のストレスがかかります。

手元の騒音計アプリではかると80デジベル前後の数字がでてきます。アプリなので正確性は幅があると思いますが、80デジベルというと救急車のサイレンの音です。

この音量を赤ちゃんを抱っこしている耳元で聞き続けているのです。

赤ちゃんだからそういうもの。それはわかってますが、心身には間違いなくストレスはかかっています。

(2) 睡眠不足

赤ちゃんは2~3時間ごとに授乳が必要になります。それは夜も変わりません。

夜に細切れに起きなければならない上に、1回の授乳ごとになんだかんだ1時間弱起きているので睡眠時間は大きく削られます。

夜中の0時に起きて、1時前にまた寝て、3時に起きて、4時前にまた寝て、6時に起きて、もう寝る時間がないからそのまま長男を起こして朝ごはんと学校の準備。

その繰り返しです。

赤ちゃんの睡眠中は心配なことだらけです。きちんと息をしているかな。寒くないかな。暑くないかな。

赤ちゃんは寝てる間もにぎやかです。唸ったり、泣いたり、きばったり、吐き戻したり、体をうねうね動かしたり。

なのでちょっとしたことでも目が覚めるようになります。常に寝不足のストレスが積み重なります。

(3) ペース

赤ちゃんはこちらの都合を聞いてくれません。

食器を洗ってたら、泣く。洗濯しようと思ったら、泣く。やっと寝てくれたからこの隙にコーヒーを一杯飲もうかなと思って飲み始めた途端に泣く。

あれこれやりたいなとおもっていたことが一つも終わらないうちに外が暗くなっている。

新生児期が終わって外出できるようになったとしても、カフェでお茶をするのも一苦労。席に座ってから3分で泣きだしてカフェを出ることも。

いつまでに何をしようという「計画を立てる」感覚がそのままストレスのもとになります。予定通りにいくことは何もありません。集中しようと思ってとれる時間はありません。

これがめちゃくちゃ見えないストレスになって溜まっていきます。

自分の場合は、平常時にやり続けていたルーティンが全部崩れました。最初はキープしようとしてたのですが、そのせいでストレスが自覚する以上にかかってしまいました。

ストレスはいつか爆発する

育児のストレス自体は仕方がないものだと思います。

赤ちゃんを育てるとはそういうことだから、ストレスとうまくつきあっていく方法を見出していくことが大事。そしてストレスをためないように考え方や行動を変える。

私は一時期、知らず知らずのうちに溜め込んでしまってました。そのせいで気力が湧かず、疲労感は抜けず、笑顔が少なくなり、背中は丸まって背が縮んだのかと本気で錯覚するほどでした。

どうやったら元に戻していけるかをパートナーと話して「生活の中のバッファをめちゃくちゃとる」ことで少しづつうまく回るようになってきました。

1日に10個のタスクをこなせるイメージがあったとして、実際には1~2個にとどめておく。

感覚的に1日1つのことが何かできたら良しとする感覚です。

仕事をしていた感覚からするとあれもこれもしなきゃ、とつい考えてしまいます。またそれくらいのことはできるでしょ。できないなんて自分のパフォーマンスがイケてないと思ってしまうことも。

ただ、それくらいのバッファを持たないと育児を乗り越えていく心の余裕は確保できない。

そういうマインドチェンジが大事だと感じます。

育児は圧倒的に「時間がない」

育休に入ると伝えた時に周りから言われた「育休中は何するの?」といいう無邪気な問いかけ。

自分自身もしちゃっていました。

育休中、せっかく時間あるんだから自己研鑽をしてみては?なんて。

そんなことを口にした過去の自分を恥ずかしく思います。

授乳をしたりオムツを替えたりでなんだかんだ1時間弱が1日に6~8回。加えて、お風呂にいれたり、泣いている間はあやし続けるなど、赤ちゃんの相手をする時間は1日3時間はあります。

それだけで10時間以上。
仕事をしている時間分は軽く吹っ飛びます。

しかも「ながら」ができません。「計画的」にもできません。

あやしながら洗濯はできないし、ミルクをあげながらごはんは作れません。お風呂に入れながら長男の勉強はみられません。

効率化できないのです。

1人増えれば家事の時間は増えます。洗濯も、食器も、買い物も、片付けも…。それを10時間以上の育児に加えてやっていかなければならない。

合間の時間で自己研鑽する?
合間の時間で筋トレする?
合間の時間でドラマを見る?

そんな時間はありません。
育休中は「育児」をしているのです。

ちなみにこのあたりは環境によっても変わるかなと思います。

私は親がそこまで近くにいるわけではないので基本は私とパートナーでまわさなければなりません。親など親戚や兄弟が近くにいてサポートしあえれば、また違うところもあるかもしれません。

育児は「お互いに初心者」

そんな時間に追われる育児、そして家事。

男性側の気持ちとしてはついつい「次は何をしたらいい?」みたいなスタンスになりがちです。

でも、それは違います。

女性だって自らが妊娠し、出産に至る過程で、通院する中で、いろいろな情報を自ら調べて、学んでいくのです。

実践するのも生まれてからが初めてです。

パートナーに教えられなきゃできない、というのは自ら関心を持って学んでいないだけ。自分がリードできることだってあるはず。

そして、育児において「相手にしてもらって当然」なことなんてない。共同で営んでいくもの。なのに、ついつい当然やってくれるものとしてふるまっていないでしょうか?

例えば授乳ができるのは女性に限られます。ただその分の負担を負っているわけで、やって当然というものではありません。

教えてもらって当然。やってもらって当然。

そうではなく、お互いに初心者だからお互いに調べて、学び、試していく。そういうスタンスが良いのだと思います。

妻と夫で育児がイコールになるのは18年

パートナーは妊娠0週から数えれば280日×24時間=6720時間も子供のことをケアし、負担を背負います。

私がこの時間と同等に家事育児をしようとおもったら、子供が15歳になるまでの間、毎日パートナーよりも74分多く家事育児に関わり続ける必要があります。

1日あたりの家事と育児にかける時間は夫1時間54分、妻7時間28分というデータがあります。

もし夫が74分多く負担するなら毎日5時間の家事と育児をするということになります。

つまり、仕事9時間、食事3時間、睡眠7時間、家事育児5時間で24時間です。

共働きかどうかでも多少変わりますが、ひとつ言えるのは「自分もやっている」「同じくらいやっている」では全く足りていないという心構えを持っておけると良さそうということです。

コミュニケーション不和が発生するのは必然

パートナー間でのコミュニケーションが大事ですが、この時期はどうしてもミスコミュニケーションが生まれがちです。

多大なストレスがかかる時期だということに加えて、ホルモンバランスだったり、生得的な反応でパートナーから強くあたられてしまったり、互いに感情の起伏が大きくなるタイミングでもあるからです。

産後うつ、がるがる期、更年期。それぞれのことをご存知でしょうか?私は恥ずかしながらどれも実際に育児にはいるまで知りませんでした。知ろうとしていなかった。

産後うつや更年期は女性に限る話ではなく、男性においてもある話。パタニティブルーもあれば、男性更年期もあります。

理屈や感情ではない身体の中の変化から、いつもの自分だったら考えられないような言動がでてしまったり…。

大事なことは、自分がそうなる可能性があるんだと自覚することだと思います。

大丈夫だと思わない。

自分の中の小さな変化を無視しない。

早めにパートナーに相談をする。

10分でもいいから外を散歩する。

太陽を浴びる。

それだけでも、少しまぎれるかもしれません。

色々書いている私も、全然このあたりができていなかったので、家族に迷惑をかけた場面がありました。

その後、自分の中の解消法として赤ちゃんをベビーカーに乗せて外を散歩する。散歩する間に寝てくれたらカフェでコーヒーを買う。晴れていたらちょっとだけ遠出をして自然を感じられる場所にいく。

そうすることでバランスを徐々に取り戻せました。

それでも素晴らしい子供との時間

想像以上に「育児」が大変だというのは自分にとって大きな気づきでした。

家族と向き合っている、家族のために時間を使っていると思っていた自分が、その認識が間違っていたことに気がつけました。

本当に大変なことをパートナーに押し付けて自分は今までの自分とほとんど変わらないままできていた。

それに気づき、パートナーにあらためて感謝をできている今があることが、「男性育休」をとってよかったことのひとつです。

そして何より育休をとったほうが良いと思うのは、「育児をする時間が、一度きりの自分自身の人生においてかけがえのない時間になる」と感じられるからです。

大切な子供との貴重な時間。

新生児、赤ちゃん、幼児の時期は本当に一瞬で過ぎ去ってしまう。その1分1秒でも多く、関われる時間があることは本当に尊いことだと感じています。

我が家は長男もいますので、向き合う時間が増えたことで、彼の成長を感じられることもありがたいなと思います。

1日1日が貴重で、大切にしたいのにあっという間に過ぎていく。

こうしたことを感じられる時間を過ごせていること。「育休」をとってよかったと心の底から思えます。

男女間の認識ギャップを埋めなければいけない

ここまで色々書いてきましたが、育児をしている女性、これまで育児をしてきた女性からすれば当たり前すぎることだと思います。

この当たり前すぎることが、やっていないことによって全然認識の仕方が変わってしまう。

それがこの男性育休を通じて分かりました。

育児に関わる男女の間で横たわっていた埋まらない溝の正体は「育児に対する認識の度合いの差」なのだと思いました。

そんなことは知ってる。

話としては聞いてる。

でも頭でわかっていることと、実際にその環境に身を置くことでは得られる認識が全く異なります。百聞百見一験にしかず、です。

男性だってやれば理解できますし、自然と感謝も生まれます。そして社会の不均衡にも気がつきますし、このままではいけないと危機感が生まれます。

なので男性育休という言葉が広がり始めている今は社会が変わる節目なんだと。この機にどんどん取得する男性が増えていかなければならないと感じます。

だからこそ、このタイミングで企業が果たす役割は非常に重要なのです。

企業が変化していかなければならないこと

私は人事ですので会社という観点でどうなっていくべきかも自分への備忘もかねて書いておきたいと思います。

(1) 情報開示を通して企業の姿勢を発信し、社会のクウキをつくる

幸いなことに私の場合は周囲に後押しされて育休にはいれました。ただ、ニュースをみているとそうではない環境もまだまだ多そうです。

日本社会の現状を見れば出生数は右肩下がり。

私が生まれた頃の出生数は150万人くらい。2022年は77万人しかいません。子供を育てやすい、育てたくなるような社会になっていかなければ日本社会は屋台骨から崩れていきます。

「企業は社会の公器」です。社会において子供を育んでいくことは不可欠とした時に、企業がこの男性育休を取ることが当然であるというクウキをつくっていくことは本当に重要だと思います。

積極的に取得を推奨して、その証左として関連する数字を開示していく。行動と結果を社会には発信し続けることが、世の中のクウキをつくると思います。

(2) 適切な知識の習得とバイアスへの対処を社内ですすめる

知識の不足からうっかりでてしまう言葉(休んでいる間に自己研鑽できるね!みたいなのも含めて)は減らしていかなければならないと思います。

たった一言で、育休を取ることに怖気付いてしまうことはざらにあります。
たった一言で、相談する気を削いでしまい退職など望まない結果につながることもあります。

そのたった一言を許容する組織は、受容性のない組織だと判断されます。

男性育休に限りませんが、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの促進のためにも適切な知識を身に付けることは大切です。

加えて、知識を得た上で無意識の思い込みにも気づき、改善していく。企業としてアンコンシャスバイアスに対処する方法を学び、身につけていくことを継続していかなければなりせん。

(3) 残された人に負担が載るだけにならない仕事の仕組みにしていく

男性に限らず育休の話になると残されたメンバーへの負担の話になりがちです。しわ寄せが誰にいくのかと。残された側の負担は考えないのかと。

これは個人で解消できる話ではありません。

個人が努力することは大切です。仕事をする上での信頼関係をつくっていくことや、引き継ぎに十分な時間をかけてスムースに移管することはやっていかなければならないとは思います。

ただその大前提として、1人抜けたとしても仕事がまわるような仕組みやプロセスを確保していくことが求められます。

いくつかのベンチャーで社長が育休をとるケースも目にするようになりました。

属人性の塊のような社長が不在になっても仕事の仕組みができていればビジネスはまわる。

属人性にかまけて、その人が不在になったらまわりが迷惑するような組織、仕事の仕組み、プロセスであってはそもそもがいけないのではないでしょうか。

仕組みがあった上で、残されるメンバーの不安や不満が最小化されれば、性別に関わらず育児や介護に向き合える人が増えていきそうです。

(4) 3か月以上の男性育休を社内で推奨する

理解や知識、仕組みがあった上での話ですが、企業として男性育休は3ヶ月以上を推奨してほしい。

子どもを育てていくことは社会において最も大切なことのひとつです。

それを会社が支援できるのであれば、そんなに望ましいことはありません。

制度はすでにあります。あとはそれを実際に取得できると思える環境をつくっていくことです。会社からの後押しは協力な支援になります。

より多くの会社が、本人が望めば3ヵ月以上の育休をとれるように仕事の仕組みを含めて進化させていく。積極的に推奨していく。

男性育休の取得期間3ヵ月以上が1割という現状から、3割を超えてくるようになると、社内のクウキも、社会のクウキも変化してくるのではないでしょうか。

ここからは育休の後編

ここまで自身の男性育休の前編として、気づきをまとめてみました。

ここからは残り3か月と少し。

育児の状況も少しづつ変化してくると思いますので、そこでの気づきはまたその時に整理してみたいと思います。

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