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博報堂生活総合研究所「みらい博2022」のキービジュアル制作に協力しました

2022年3月に公開された、博報堂生活総合研究所の研究発表イベント「みらい博2022」のキービジュアル制作に協力しました。おもに調査データの分析やビジュアルへの変換手法について助言を行いました。

「2040年を表す⾊と、その⾊から想起するイメージを教えてください」

生活総研が実施した「生活者1万人への未来調査」では、さまざまな質問のなかで、未来の色のイメージも質問しています。未来の色のイメージ1万人分を1枚のビジュアルに凝縮してあらわしています。完成したイメージは、「みらい博2022」のサイトで公開されています。

色の選択肢はぜんぶで40色あります。1万人分の色の回答をそのまま示しても、渾沌とした図にしかなりません。集計すると選択された色の比率を出すことができます。共通して明るい色が多いといった特徴がわかります。ただ、年代や性別で分けただけでは、全体の色の比率と大きくは変わらず、その属性特有の特徴は出てきません。

そこで、それぞれのグループで他グループよりも「選ばれやすい色」を算出してみました。そうすると、男性は黒色を選びやすいとか、60代男性は白色を選びやすいといった特徴が浮かび上がってきます。男性は赤色や黒色など原色に近い色を選びがちで、女性はメイクパレットにありそうな中間色を選びがちです。未来の色をイメージするという漠然とした質問に対して、日常生活でのファッションやメイクでの「色選び」の経験がなにかしら影響をあたえているのかもしれません。

このビジュアルには12人の人物イラストレーションの周りにカラフルな軌跡が伸びています。人物は、回答者を年代(10代から60代)と性別で分けた12のグループをあらわしています。軌跡の色は、その年代性別の「選ばれやすい色」の上位を抽出したものになっています。

調査では、未来(2040年)の色とそのイメージだけでなく、現在(2021年)の色もたずねています。2つの時代によって、どのように色が変わるのか、あるいは変わらないのかをあらわすビジュアルも作成しました。

イラストレーションとデータを組み合わせる

今回のビジュアル開発では、年代・性別をあらわした人物のイラストレーションと視覚化したデータを組み合わせるという珍しい取り組みにチャレンジしています。魅力的なイラストレーションは、小林ランさんによるものです。小林さんはキービジュアルだけでなく、「2040年の「ふつう」を揺るがすかもしれない8つの問い」をあらわすコンセプチュアルなイラストレーションも描いていて、今回の「みらい博」のトーンを作りだしています。

繊細な質感をもつイラストレーションと、無機質になりがちなデータを組み合わせるには、ことなる領域の専門家が同じゴールを共有する必要があります。小林さんはこの新しい試みを楽しんでくれたようで、問題なくすすめることができました。

イラストレーションとデータのかけあわせには、今回実現したイメージにとどまらず、おおきな可能性を秘めているに感じました。ひきつづきいろいろな挑戦をしていきたいです。

さて、「みらい博」はサイトだけでなく、紙媒体の成果物も制作されていますので、紹介します。

マップ

詳細な情報をすみずみまで見ることができる「マップ」(A1判のポスター)も制作されています。マップは、サイトからPDFファイルがダウンロードできます。

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書籍

書籍も発行されています。ビッカピカのホログラムカバーの豪華仕様!

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今回のプロジェクトにお声がけいただいた生活総研・伊藤耕太さんは、こちらの記事で、調査で回答された色名の傾向や言葉を分析しています。

ありがとうございました

今回、生活者1万人を対象とした調査、それも色をたずねるというユニークな調査のデータを分析する貴重な機会をいただきました。スタート時には、どのようなイメージができあがるかまったく予測できずスリリングな展開でした。

「みらい博2022」のキービジュアルは、生活総研のみなさん、とくにアートディレクターの吉田裕美さん、イラストレーターの小林ランさん、そして最終イメージを制作されたデザイナーのみなさんの力がいかんなく発揮されたチームによって生まれました。杉本もこの強力なチームに微力ながらお手伝いできたことを大変うれしくおもいます。ありがとうございました。

クレジット

調査・分析 / 博報堂生活総合研究所
アートディレクション / 吉田 裕美
編集協力・デザイン / 株式会社 セサミ 徳丸 英利 松井 梓 今井 英里香 野﨑 美琴 吉ヶ﨑 成実
イラストレーション / 小林 ラン
データビジュアライゼーション監修 / 杉本 達應
(書籍より抜粋)


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