SANTA日記「風にのって」

天空を見上げるサンタの耳に
風にのって 小さな微かな声が聞こえます。

「お腹すいたよ」
「怖いよ」…

サンタに届けられた一冊の絵本は

3歳になる男の子が 独り亡くなりました。
食べるものも無く 外に出ることも出来ず
暗闇の中で 光を見ることも無く
大地を歩くことも お日様にあたることも
海を見たことも 風に吹かれることも無く

恐怖とか憎しみとか  湧き起こる感情が
そんな言葉に置き換えられる前に
唯ただ押し潰される闇の重さに
耐え切れず 膝を抱えて 横たわりました。

誰にも声は届かなかった
誰もドアを開かなかった

「僕 何のために生まれてきたんだろう」
と そんな疑問さえ 置き換える言葉を持つ前に…

「誰か…」 と 叫ぶ言葉すら知る前に…

小さな声が遠ざかり 消えてゆきます
そして又 新たに声が聞こえてきます

風にのって漂う声が この惑星を覆っている。

サンタは天上を見上げて祈ります
もっと偉大なエネルギーが降りてくるように

もっと偉大なエネルギーが 愛 が降り注ぐように

サンタは祈ります


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