あんまり言いたくないけれど、10年前、13kg太っていたときの話
10年前、私は今より13kg太っていました。
当時の私は、ダイエットしようと思っては挫折を繰り返し、継続できない自分に自己肯定感が下がり、それがまたストレスになって食べてしまう、の無限ループでした。
そこから10kg以上のダイエットに成功したわけなので、一念発起したのだと思われた人もいるかもしれません。
が、実は逆です。
特別な努力は何もしていません(ダイエット方法に期待された方、ごめんなさい)。
やったことはとてもシンプル。
「小さな我慢」をやめただけです。
「小さな我慢」は逆効果だった
レコーディングダイエットやカロリー計算、ジョギング、炭水化物抜き、お菓子の買い置き禁止など、いろんなことをやりました。でも、どれもうまくいきませんでした。
根本的な原因は、たまにストレスで暴食してしまうことでした。普段はそれほど食べる量が多いわけではなく、むしろごはんはお茶碗半分くらいにしたり、外食はサラダランチを選んだりしていました。
ですが、たまにどうしても歯止めが効かなくなって暴食してしまいました。そうなると普段の我慢も全てパァです。後悔してさらにごはんを減らしたりするのですが、さらにストレスがたまって暴食を繰り返す、という悪循環に陥っていました。(本当に意志が弱くてはずかしい・・・)。
どう考えても、お茶碗半分のごはんを我慢するより、暴食をやめる方がやせるはずです。でも、当時の私はそんな簡単なことにも気づけなかった。いや正しくは、そんな簡単なことすらできない自分を認めたくなくて、気づかないフリをしていただけかもしれません。
ある日ふと、スタイルのいい友人たちが、甘いものを我慢せずに食べていることが気になりました。
やせてるんだから当たり前だろ、という気もしつつ、スタイルのいい人全員がストイックにカロリー計算などのメソッドを実践しているわけではないだろうと思ったのです。いや、もしかしたら陰ですごく努力している人もいたのかもしれませんが、それでも全員ってことはないと思います。
そこで、先の述べたようなダイエットの取り組みを思い切ってやめてみることにしました。具体的には、「減らす」「ゼロにする」をやめました。
まず、ごはんをお茶碗一杯しっかり食べるようにしました。我慢してサラダランチにせずに、食べたいランチを食べる。ディナーのあとデザートを頼みたいときは頼むし、気になったお菓子は買い置きする。レコーディングも一切やめました。
すると、飲み会の後のアイスクリームが減ったり、夜中のラーメンが減ったり、食事に甘いパンを食べたりすることが減って、少しずつですが自然にやせ始めました。
食べたいときに食べたいものを食べて満足することが増えたおかげで、「無性に食べたい」と暴食することを防げるようになったのだと思います。普段の食事量は少し増えましたが、「小さな我慢」をやめたことで暴食が減り、トータルで食べる量は減りました。
カラダが変わり始めると自己肯定感も上がり、「もうちょっと食べたいけどやめとこう」とストップがかけられるようになりました。好きな服が着られるようになり、写真を撮るのも楽しくなって、好循環に入っていきました。
甘いものを食べると太るのではなくて、甘いものを「たくさん」食べると太るわけです(超あたりまえのことを書いてごめんなさい)。なので「たくさん」食べることさえ防げればいい。そのために、私の場合は「小さな我慢」を減らすのが合っていました。
普通は「小さな我慢」の積み重ねがダイエットにつながると思われがちです(昔の私もそうでした)。でも、それは太っている原因によると思います。もし心当たりのある方がいたら、思い切って「小さな我慢」を「小さな満足」に変えることを試してみてもいいかもしれません。
運動で無理にカロリー消費しなくてもいい
運動面では、ヨガを始めたのもプラスでした。でも、ヨガの消費カロリーは大したことないので、それだけではダイエット効果はあまり期待できません。
では何がよかったかというと、体の変化に敏感になったことです。
ヨガで体を動かすことが習慣になると、体の小さな変化に気づくようになります。食べ過ぎれば体が重いし、逆に少しでもやせれば、体のラインの変化にいち早く気付いてうれしくなります。また、ヨガをしたことを無駄にしたくなくて、食べる量を自然に抑える効果もありました。
ヨガは、カロリー消費以上に、体のコンディションに敏感になり食事を意識しやすくなる効果が大きかったです(あくまで個人の所感です)。その他の運動は一切していません。
ちなみに、ちょっと水を差してしまうのですが、私の場合は約10年(正確には7年くらい)かけてゆっくり体重を落としたので、特に自慢できるものでもありません。ここまでの話は、短期間でやせたい人には何の参考にもならないです。ごめんなさい。
でも、生活習慣そのものが変わっているので、そう簡単にはリバウンドしないと思います。胃も小さくなったので、もう前ほど食べようと思っても食べられないです。本当に生活やカラダを変えるって、数年単位の長期戦だと思ったほうがいいかもしれません。
「ありのままでいい」と「今のままでいい」は全然ちがう
やせられなかったとき、そんな自分を認めたくなくて、
「見た目より中身を磨こう」
「欲求に従うのも自然だ」
などと思うことがありました。よく言えば現状肯定、悪く言えば現実逃避です。ありのままでいいよ的なJ-popが幅を利かせていたのも影響していたかもしれません(J-popは何も悪くないですが)。
でも、それは「ありのまま」を誤解していたと思います。
本当の「ありのまま」とは、自分の心からの「願い」(ちょっと大げさかもしれませんが)と「現実」の両方を直視することだと思います。
「願い」と「現実」にギャップがあったら、そのまま受け止めます。そこがスタート地点だと思うのです。「願い」と「現実」のギャップを見ないふりをしてその状態でよしとするのは「ありのまま」ではなく「今のまま」です。
ギャップが途方もなさすぎて、何も起きる気がしなくなってしまうこともあるかもしれません。それこそ、10kg以上のダイエットもそうかもしれません。
ここで、選択肢は二つ。
「現実」を変えるか、「願い」を変えるかのどちらかです。
現実を変えにいく場合、意志の力でめちゃくちゃ努力できるタイプの人は、全然問題ないです。
一方で、私みたいに少しずつしかできないときは、できない自分も「ありのまま」受け止めることからスタートするといいと思います。
できない自分を認めると、過度な期待がなくなり、ゆっくりですが現実を願いに近づけるための行動が始まるものだと思います。もしどこかで限界がきたら、それも「ありのまま」受け止めて、願いの方を妥協して折り合いをつければいいのです。
「諦める」という言葉は、「明らめる」が語源と言われています。
「願い」と「現実」の距離をきちんと把握した上で、あまりにも非現実的であれば、受け入れてすっと「諦める」ことができます。逆に、少しでも努力して実現する可能性があるなら、今日からがんばることもできます。
ちなみに、人より体重が重いことが悪いことだとは全く思いません。ふくよかな姿が「ありのまま」で魅力的な人はいくらでもいます。逆に、スタイルがきれいでも内面が不健康に見える人もいます。
人によって「ありのまま」は千差万別です。あくまで私の場合は、体型や食事にストレスを感じている状態よりも、もりもり食べて自分なりのおしゃれを楽しんでいる今の方が「ありのまま」に近かった、というだけです。(テレビなどのメディアから刷り込まれた面もあるのでしょうが、今回はそういった話は置いておきます)
たかがダイエットですが、「ありのまま」と「今のまま」をちゃんと区別することの大切さに気付くことができ、私にとってはいい経験でした。
いま、私にはできないことがたくさんあります。「願い」と「現実」に大きなギャップがあると感じることばかりです。
そんなとき、「ありのまま」から目を背けて「今のまま」を良しとしすぎていないか。
本当の意味での「ありのまま」を受け止めた上で、今日できる行動に向き合えているだろうか。
「ありのまま」を「今のまま」と勘違いしてしまうと、行動が起きません。それだと何も変わりません。
13kg太っていたときのことはあまり思い出したくないけれど、いろんな場面で「ありのまま」の本当の願いと現実を見つめることを助けてくれていると感じます。