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幼少期の残っている記憶①

幼少期の残っている記憶について綴りたいと思う。

朧げなので定かではないが、小学2年生頃の記憶。私には3歳年上の姉がいる。その頃母は出産のため入院していたと思う…父親の帰りも遅く学校が終わったら二人で家で過ごす事が多かった。

時期は確か12月頃で、姉が貯めた小遣いで

「アイスクリーム屋さんのおもちゃ」

を買いに一緒に行こうと言ってきた。この頃の年齢差は絶大で、とても大人に思えた姉と一緒に行く事不安は無かった。確か午後の3時過ぎ位に家を出て目当ての徒歩20分位のおもちゃ屋へ向かった。

そこでは目当ての「アイスクリーム屋さん」は売ってなくて、そこから歩いて30分以上はかかる隣町のおもちゃ屋へ向かう事になった。途中で雪が降り出してとても寒かった事を記憶している。2件目のおもちゃ屋でも売ってなくて、流石に疲れてたのと寒いのもあって、もう諦めて帰ろうよと言いたかったけども、なんか言えなかった…普段は理性的に思えた姉は諦める事が出来ず

「そう言えばあそこのおもちゃ屋なら売ってるかも!」

と三件目へと向かう事を決める。雪も深まってきて辺りも暗くなり始めている…ただこの三件目のおもちゃ屋の場所が姉も曖昧にしか覚えていない様子であった

深々と降り注ぐ雪の中
「多分あの辺だと思う…けど見当たらないね…」

普段の生活ではとてもしっかりしている様に見えた姉が不安そうにしている所を見て自分もとても不安になる。辺りもかなり暗くなってきたてんここで私はついに

「もう帰ろうよ」

と姉に訴えたが、姉は

「この辺りにそのおもちゃ屋絶対あるから!確か公園の前だったんだよね…」

と、訴えは却下。午後6時を回り雪が降りつける暗くなった街を彷徨い歩く幼い姉弟。もうそんなおもちゃ屋なんか存在しないんじゃない?あんな夕方から出かけなければ良かったのに思い始めたその時、姉が

「あそこだ!」

雪の中、滲んだ光を放つ小さなおもちゃ屋を見つける。希望の光!夢の世界に在る様なおもちゃ屋に見えた…私はこれでやっと帰れると内心かなりホッとした事を覚えている。凍える身体でおもちゃ屋に入店し

「すいませーん」

と店員さんを呼ぶ。居住スペースの奥から出てきた店員さんに

「あの、アイスクリーム屋さんのおもちゃありますか?」

と尋ねる姉

「あーそれは売れちゃって今は無いね…」

深い絶望である。途轍もなく姉はガッカリした様子で涙も浮かべている様に見えた…そんな姉に店員さんが

「このシリーズは今売れててね…あっでもこっちのスパゲッティ屋さんならあるよ」

と提案してくれた。本当は「アイスクリーム屋さん」が欲しかったであろう姉はだが、ここに辿り着くまで苦労、私を付き合わせてしまった事なども考えたのだろうか

「じゃそれを下さい…」

と小さい声で店員さんに伝える。

「スパゲッティ屋さん」のおもちゃを買って店を出る。外は完全に夜の雪空になっていた…雪が降り注ぐ中家路に着く。欲しい物を手に入れられず妥協した事に対する何とも言えない空気感(あまり嬉しそうでは無い感じ…)に包まれていた。

雪がは一向に止まず、積もり始めた雪を踏みしめながら誰も居ない家に着いた。もう夜の7時30時頃だったと思う(そう言えば子供の時は夜出歩くことは途轍も無く怖かったな…)

その後スパゲッティ屋さんで二人で遊んだけどもやっぱりあまり楽しそうでは無かった姉。

結局半年後位に再度貯めた小遣いで「アイスクリーム屋さん」を買い直していた…それで遊ぶ姉は心から楽しそうだった事を覚えている。今は疎遠になり合う事も無くなってしまった姉との記憶である。


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