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『放課後のプレアデス』

 アニメ好きの知人に「一番好きな作品は何か」と聞いたところ、この『放課後のプレアデス』を紹介された。既に放送から七年も経つ作品であるが、視聴の記録としてここに記事化しておく。
 『放課後のプレアデス』は日本のアニメーション作品である。2011年にネット配信アニメとして制作され、2015年にテレビアニメシリーズ化されている。制作会社は『新世紀エヴァンゲリオン』や『ふしぎの海のナディア』を代表作とするガイナックス(株式会社ガイナックス)、監督は現在放送中のアニメ『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』の監督として知られる佐伯昭志が担当している。
 物語はいわゆる「魔法少女モノ」と呼ばれるもので、宇宙船の故障より地球に漂流した宇宙人によって選ばれた5人の少女たちが、その宇宙船を直すために必要な「エンジンのカケラ」を協力し探し集めるといったものである。
 そして、この『放課後のプレアデス』には他のアニメ作品とは一線を画する特徴といったものがいくつか確認できる。ここでは私がその中でも特に重要と考えた二点について取り上げたいと思う。
 その一つ目の特徴は、このアニメが企業のプロモーションを目的に制作されたということだ。『放課後のプレアデス』は富士重工業株式会社(当時、現・株式会社SUBARU)とガイナックスの共同プロジェクトとして制作が行われた。たしかに、企業が販売促進の一環としてアニメを用いることは珍しくないが、自動車製造を主軸とする企業のプロモーションに「クルマ」が登場しない作品を制作した事実は非常に興味深い。
 そして二つ目の特徴は、物語中で描かれた独特な「多世界解釈」である。『STEINS;GATE』をはじめ過去のアニメ作品にも一人の登場人物を視点に複数のありえた未来を描くといった物語は多く存在するが、この物語のようにさまざまな世界線から呼び集められた人物たちが一つの世界線上で活躍するといったストーリーは非常に珍しいものだと言える。
 以上二点が私が『放課後のプレアデス』をユニークな作品であると考える理由である。このような一般企業の販売促進を目的とし制作されながらも、一つの作品として新たな表現を追求したアニメといったものを私は他に知らない。この作品もまた日本アニメ史にその名を残すアニメ作品であると言えるのではないだろうか。

<参考文献>

ITmedia ビジネスオンライン「スバル×ガイナックスの異色コラボ、できたアニメはクルマなし!」2011年2月1日 https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1102/01/news017.html (2022年8月31日参照)

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