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この涙はなんのため?


人前で泣くことの無い私がボロボロ泣いたんです。何故だと思いますか?

実写を映画館で見るのは何年ぶりかと言うほど久しぶりだったのが、演者も気になるということで都会まで出向きました。そこそこ満員の状態で、若者からおっさんまで男女問わずいた印象です。


元々美大生が病む漫画って噂を耳にしていたんです。そうそれ、ブルーピリオドっていうんですけど。

結局一発で藝大に受かっちゃって、才能じゃないと言いながら才能じゃん…って絶望しちゃうのかなとか考えていました。

私は、美大生でもないし、美大受験もしてないんです。でも、ずっとこの作品から目を背けてきました。

きっと悔しくなるから、羨ましくて拳を握りしめてしまうから。藝大に合格する八虎が羨ましいんじゃないんです。



1年ほど前、ショート動画で流れてきたあるセリフが、ずっと心にささっていました。

好きなことに人生の一番大きなウエイトを置く。これって普通のことじゃないでしょうか

これを聞いて、凄く羨ましいなぁと思ったんです。

絵は趣味でいいとか音楽で食べて行ける人は少ないとか、周りの大人ってなんとか手に職を付けさせたり学をつけたりに躍起になっていて、私もそうやって育ってきたものですから、小4の頃にはもう他人の夢を否定する最悪な子供が出来上がっていました。

声優になりたい!とか医者になりたいとか、今みると可愛い夢なんです。だって小学生なんて、これからあと10年以上夢を叶えるための猶予があるんですよ。

それを私は、なれる訳がない・もっと現実を見た方がいいみたいなことを言っていました。そういう子供でした。

高校生だってまだ無限の可能性を秘めている。それに気づいたのは既に10代を終える時でした。

進路についての話は前にしているとして、私は美術の学校で絵を学びたかった過去があるのに、その道に進めなかった理由は、

好きなことをやってもいいのだと知らなかったから

です。
将来どんな仕事に就くかは別として、勉強したいことを勉強するという選択肢が私にはありませんでした。

将来何になるかは決まってないけど、導かれるままに行くしかないんだと思っていました。理系は苦手だから文系を選んで、場所から大学を選んでその中でちょっと興味ありそうな学部を選んで、適当な一般職に就いて結婚して…みたいに生きていくのかなって思っていました。(想像と現実は違いましたが)

美術を勉強してもいいというアタマがハナからなかったんです。私が選んでいい道だと思っていなかったというか。選択肢になかったというのが正しい。それが今凄くコンプレックスとなってわかだまっている。

八虎は、高校2年生という何もかも間に合う状態でこのことを気付かされている。事前に懸念していた通り、これがめちゃくちゃ悔しくて、羨ましかったんです。


案の定劇中ボロボロ泣いてしまって、それは八虎の想いに同調したとか受験を思い出したとかではなく、悔し涙でした。

隣のおっさんも一緒にしとしと泣いていましたが、彼がどんな理由で泣いていたのかは誰にも分かりません。

劇場で泣いている人はちらほらいましたが、それぞれが何を思って、何に泣いたのかきっとそれぞれのドラマがあるんでしょう。

コンプレックスがどうとかいいつつも、八虎が絵を描くことが本当に好きなんだ!と泣きそうになりながらお母さんに伝えた時、めちゃくちゃ泣きました。苦しいけど、本当に絵を描くことが好きだ!どうにかして絵を描いていたい。久々にそういう気持ちを思い出しました。

本気で絵が好きな人間なら、きっとみんな思うところがあるはずです。

これを30代・40代…ともっと上の人が見たら、いやお前まだ20代なのかよ!とツッコミたくもなるでしょうが、今もひねくれた現実的な自分というのが邪魔してくるんですよね…人生と現実というのは難しい。

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