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インドの改名と背景

インドが自国名を「バーラト」と表記

2023年9月、インドの首都ニューデリーでG20が開催。
年に1度開催される、世界経済の重要課題を話し合う国際会議の場で、密やかに波紋が世界に広がった。
議場では各国の代表は国を代表して円卓に着いており、各代表の前には国名が記載されたプレートが置かれる。(日本の岸田首相の前には「JAPAN」と記載。)
そんな中、開催国のインドのモディ首相の前に置かれたプレートには、「INDIA」ではなく。「BHARAT(バーラト)」と記載があった。

開催前に各国首脳宛に送付される公式な招待状の送り名にも「President of BHARAT」と表記がされており、大国の改名に各国は驚いたことでしょう。
その改名の背景について。

インドとはどんな国

人口は14億人を超え、中国を超えて世界1位に。
ユーラシア大陸の南側に位置し、北はヒマラヤ山脈。南はインド洋に接している。国土面積は世界7位と大きい面積を有し、中国やパキスタンなど7か国に面している。
公用語はヒンドゥー語と英語だが多民族国家であり、インドの有名なことわざに「*15マイルごとに方言が変わり、25マイルごとにカレーが変わり、100マイルごとに言語が変わる」というものがあるくらい、400を超える様々な言語が介在し方言を含めると2000を超えると言う。
また宗教は、ヒンドゥー教徒が8割ほどで、イスラム教徒が15%の構成である。

*1マイル=1.6kmなので、
15マイル=24㎞(東京-横浜市間)、25マイル=40㎞(東京-千葉市間)、
100マイル=160㎞(東京-静岡市間)

インドとバーラトとは

インド(INDIA)は、元来*サンスクリット語の「shindhu(シンドゥ)」に由来し、*ペルシャ語の「Hindu(ヒンドゥ)」を経て、ギリシア語の「Indos(インダス)」となったとされ広域に広がり、現在では英語の「India(インディア)」となったとされている。

「shindhu」は水や大河を表し、紀元前2000年ごろに現在のインドの辺りで栄えていた文明を、そこに流れる大河を意味する単語から「インダス文明(大河のほとりの文明)」と呼ぶ。

新たに用いられる事となったバーラト(BHARAT)とはサンスクリット語から来ており、古代インド地方の聖典に記された架空の領域「Bharatavarsa(バラタヴァルサ)」から派生した語と言われている。

「Bharatavarsa」は紀元前2000年頃のインド地方で記された聖典である「リグ・ヴェータ」に記されており、その時期にインド地方の覇権を握った英雄「バルタ王の持つ土地」という意味を持つ。
リグ・ヴェータは今のヒンドゥー教の聖典ともなっており、現代言語のヒンドゥー教の「Bharat」も英雄、英雄の土地の意味を持っている。

*サンスクリット語:古代インド地方で用いられていた言語。今でも話者はいる。
*ペルシア語:イランを中心とする中東地方で用いられる言語

改名の背景

インド(当時ムガル帝国)は19世紀から第2次世界大戦の終戦までは、英国の統治下にあり、戦後独立するまでは英語圏の支配下にあった。

インド国内の憲法では元より正式な国名として「バーラト」が使われていたが、英語圏の表記「インド」を公式な国際の場では今まで使用してきた。

しかし、今回「バーラト」を使用した背景には、現首相のモディ首相が来年に実施される議会総選挙にて、支持率を多く確保するために、ヒンドゥー教の英雄を表す語の「バーラト」を公的に使用し、有権者の8割を占めるヒンドゥー教徒の指示を集めることが理由と考えられる。

モディ首相は10年前の選挙演説でも、「1つのバーラト、偉大なバーラト」をスローガンとして掲げており、その際も国内のイスラム教徒から多少の反発があった。多民族国家のインドで1つの言語、1つの宗教を贔屓することに、今後どのような波が広がっていくのか注目である。

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