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ほぼ、いつも肩ぐるまです。

「たまらない」と柊ちゃんが言ったらしい。と、柊ちゃんのママに聞いた。ママは僕の娘だ。「え、どういうこと?」と僕。僕がお迎えにいって、大井町に行くのが、たまらなく待ち遠しいらしい。

だいたい、夕方に保育園にお迎えに行く。たっぷり遊んだ後だからか、甘えたいのか。4歳なのに「抱っこして」とせがまれる。少しだけ抱っこすると「じいじの抱っこは気持ちいい」とうれしそう。最近、太ってお腹まわりがぷよぷよ気味なので、それはそうだろうと納得。もしかして、ぷよぷよのせいで抱っこから卒業できないのかもしれない。

でも、もう重くて、抱っこはつらいので、すぐに肩ぐるまに切り替える。「柊、肩ぐるまスポットを探して」。いきなりは辛いので、段差を見つけてもらうのだ。柊ちゃんは慣れたもので、すぐに段差を見つけてくる。そうやって、肩ぐるまに切り替える。それに、大きな道路脇を歩くときは、約110センチの柊ちゃんと約180センチの僕では、お互いの言葉が聞き取りづらく、会話が成り立たない。そういう意味でも肩ぐるまは有効だ。

その日は、柊ちゃんは僕の頭の近くで歌っている。「ミックスジュース、ミックスジュース」。僕らのミックスジュースって歌らしい。最後に、ちゅんちゅんと歌うんだけど、それはお友だちがふざけて加えたらしい。「ちゅんちゅんって、変じゃない」と言うと、爆笑しながら「こうりんくんが歌ってて、くせになっちゃった」との返事だった。いつもながら、楽しそうだ。

翌日、柊ちゃんは僕の家から送っていくんだけど、わりと強い雨。雨のときは、問答無用で肩ぐるまだ。肩ぐるましている柊ちゃんが傘をさす役目。そうしないと、柊ちゃんは、とぼとぼ歩いて、傘でまわりも見えないから、とてもつまらなそうなんだ。暗いし、危ないし。肩ぐるまで歩いていると、木があると傘でつんつんと触ったりして、当然、水滴が落ちてくる、僕は濡れてしまう。柊ちゃんはゲラゲラと笑っている。そうでなくても、濡れるているなと思うと、傘がひっくり返っていたりする。

道のりは長く、僕はかなりお疲れだ。柊ちゃんは元気まんまん。「じいじ、しりとりしよう」と言って、「ディンゴ」「フクロモモンガ」「オリックス」「スプリングボック」「ボンゴ」と、大きな声で動物の名前を叫ぶ。しりとりにはなっていない。僕は、続けて同じ動物の名前を言う。そして「ここから早くなるよ」と柊ちゃんは早口で言い始める。僕は、続けて早口で同じ動物の名前を言う。そうして歩いていると、柊ちゃんの家へ到着した。「おつかれさま」と自分に言った。


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