戒厳信仰
週刊誌の表紙と、AVのパッケージを眺めるのが結構好きだ。
何にもやる気が出ない時、何にもすることが無い時、ごくたまに「AV パッケージ」と検索を掛けている。またコンビニに行って人を待つ時、大体週刊誌の表紙を見ている。双方に共通するのは目を引く原色と、踊り狂う文字だろうか。どちらも男性向けに作られているので、表紙を見れば世の男性の頭の中が透けて見えるという訳である。
週刊誌を見る限り、男性諸君の脳内というのは政治3割、エロ3割、陰謀論2割、薄毛対策2割である。これが女性向け週刊誌になるとスキャンダル3割、節約・ダイエット3割、政治2割、イケメン2割になる。イケメンをエロと捉えていいのか疑問だが、男性向け週刊誌がグラビアかフルヌードなのに対してイケメン達はキチンと服を着た状態でインタビューを受けていたりするから、女性向けの方が節操はある気がする。ただ、スキャンダルに関しては女性向けで顕著に見られる話題だから、人の不幸で井戸端会議を開いているのかと思うと頭が痛くなる。
AVのパッケージは週刊誌よりもっと明け透けに欲望が書いてある。アレは構図がどうとかシナリオがどうとか言うより(実際導入部分は飛ばすという紳士諸君も多いのではないだろうか)、直感的にコレだ!と思う物を選ぶので、純粋に文字の量で如何にシチュエーションを伝えられるかに全振りしてあるのだろう。なろう系小説の長文タイトルはAVタイトルの長文化から転じた物ではないかと踏んでいる。
AV自体はそこまで好きじゃない、というか、見ても特に感情が動かないのでたまに冷やかし半分でXvideosを開くくらいだ。時が止まっている筈なのに室内を縦横無尽に走り回る犬(しかもその横では女性が蹂躙されている。当たり前だが、時々彼女も動く)や、古稀名打つ割には若過ぎたり逆にランドセルを背負うには無理のある女性が画面の奥で眉を顰めている様は、正気のまま見るにはちょっとシュール過ぎる。零コンマで「18歳以上ですか?」の問いにyesを押す割には、本当にシラフなのか疑いたくなる精神状態だ。ちなみに選考基準はシチュエーションと肌の綺麗さです。
週刊誌にフルヌードとグラビアが並ぶ限り、この国は平和なんだろうなと思う。これがウラジーミル君の顔面とかに変わると、それこそ不味い時期なんじゃないだろうか。グラドルだかコスプレイヤーだかAV女優だか分からない彼女達が日本の平和の象徴と言っても過言ではないのだ。
彼女達が週刊誌の奥で、或いは画面の奥で笑ったり啼いたりしているうちは、とりあえずエロより大切な差し迫った危険はない。どうかそのまま健やかに。
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