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退職金の5年ルールとは?中小企業経営者必読の税金対策!

今回は、退職金の支給の際に存在する
「5年ルール」について、解説します。

このルール、あまり馴染みがないかと思いますが、
知らずにいると、思わぬ税負担増となりますので、
中小企業のオーナー社長は
必読の内容となります。



まずは、制度の内容

制度の内容ですが、
以下の国税庁ホームページに
記載されています。

この内容ですが、
退職金を2ヶ所以上から受け取ると
源泉所得税と控除額(退職所得控除)の計算に
調整が加わりますよ
という事が書いてあります。


「そんな事あるの?」と思うかもしれませんが、
あり得るんです。

2つの会社に勤めていて、
ほぼ同時期に退職することもあると思いますが、
1ヶ所の会社に勤めていても、
企業年金基金などから退職手当等と同等の
一時金が支払われることもあるんです。


なので、意外と該当者はいらっしゃいます。


それが何か問題なのか?

退職金の支給を受けた場合、
「退職所得控除」を受ける事ができます。

その退職所得控除が、以下の表です。

支給された退職金から
勤続年数が20年までは、1年あたり40万円
20年を超える期間は、1年あたり70万円
を退職金から引いてくれます。

そうです、無税になるのです。

では、10年働いた会社から
500万円の退職金が支給された場合、

①退職金:500万円
②退職所得控除:40万円×10年=400万円
③①-②=100万円

このように、500万円から
400万円を引いた100万円が
所得税の対象になるのです。

なおかつ、1/2にもしてもらえます。

具体的には、以下の計算です。


このように、退職所得は、
税金計算上、あまり税金がかからないよう
優遇されています。


これを上手く使えば、節税も可能

ここで懸念されるのが、
2つ以上から退職金をもらった場合、
どのように計算するかですが、
別々の退職金について、
それぞれ別々に退職所得控除を
計算していいかというと
「期間がダブる部分」は調整が必要となります。


当然と言えば、当然なのですが、
別々に控除を受けられません。


では、期間を空ければいいのか?

ここで疑問が出るのが、
同じ年に退職金をもらわなければいいのか?
という事ですが、それも「×」です。

それは、この部分が影響します。

◆退職所得控除額の計算
勤続年数を基にして退職所得控除額を算出します。なお、本年分の退職手当等が前年以前に支払われた退職手当等の勤続期間を通算して計算されている場合や前年以前4年間に他の支払者から支払われた退職手当等がある場合には、本年分の退職手当等の勤続期間と前年以前に支払われた退職手当等の勤続期間とが重複する期間の年数(1年未満の端数は切り捨てます。)に基づき計算した退職所得控除相当額を控除した残額が退職所得控除額となります。

太字になっている部分が
前回の退職金からの年数が記載されています。

前年以前4年間に支払われた退職金について
退職所得控除の計算の場合
重複期間は一緒に計算しなさい
となっています。

これが、5年ルールというものです。

よって、5年空いていれば
別々で計算できますが、
実際には、あまり多くはないと思いますが、
キャッシュインは大きく違うので、
もし受給時期をずらせるなら
一考の価値はあるかと考えます。


具体的な計算方法

では、具体的な計算方法を見てみましょう。

◆A社 就職日:平成24年4月1日 退職日:令和3年3月31日
退職手当支給月:令和3年5月
退職手当支給額:400万円
「退職所得の受給に関する申告書」を支払者へ提出します。

◆B社 就職日:平成26年4月1日 退職日:令和3年7月31日
退職手当支給月:令和3年9月
退職手当支給額:180万円


◆A社の計算

①退職金:400万円
②退職所得控除:40万円×9年=360万円
③(①-②)×1/2=20万円
④(③×5%)×102.1%=10,210円

◆B社の計算

①退職金:400万円+180万円=580万円
②退職所得控除:40万円×10年(9年4ヶ月)=400万円
③(①-②)×1/2=90万円
④(③×5%)×102.1%=45,945円
⑤45,945円-10,210円=35,735円

勤務期間の通算がポイントです

先程の計算例ですが、
後から支給を受けたB社の計算が複雑です。


退職所得控除の計算は、
基本的には、「最も長い勤続期間」で
計算をします。

今回の例では、A社の勤務期間「9年」です。


しかし、B社の勤務期間のうち、
A社の勤務期間に重複していない期間
(令和3年4月1日~令和3年7月31日)

が存在します。

この重複していない4ヶ月を足して
9年4ヶ月となり、
1年未満を切り上げて「10年」となります。


この年数10年をもとに
A社とB社の退職金合計580万円より
税額を計算します。

あとは、A社の退職金で納税した
10,210円を差引き、残額35,735円が
追加で納める税金となります。


このように勤務期間が
重複している期間は、
合算して計算するような仕組みに
なっている事で、二重に控除を受ける事が
出来ないようになっています。


なお、先程も述べましたが、
この支給時期が今回は4ヶ月しか離れていませんでしたが、
5年経過していると別々に計算ができる
という事です。


まとめ

今日は、退職金の5年ルールと
退職所得控除の計算について、
紹介しました。

なお、iDeCoの場合は、
さらに期間が長くなっておりますので、
より注意が必要となります。


この退職金の退職所得控除ですが、
計算の仕組みを知っているのと
知らないのでは、大きな違いとなります。

なかなか自分自身で時期をコントロールする
事は難しいかもしれませんが、
可能な場合は、事前にシミュレーションしましょう。



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