愛らしさのヒミツはねっ!
みなとみらいに行ったとき、95%くらいの確率で入るお店陳麻婆豆腐。舌がマヒするほどの麻婆豆腐を食べていると、おもむろに奥さんが声をかけてきた。
「わたしね、子どもたちが愛らしい理由がわかったの」
おぉぅ、なんと突然な。これまでの会話の流れとは関係のない話題が挿し込まれてきた。が、意外と興味がある。「へ〜、なんなの?」とぼく。
「それはね、予測不能な行動をするところだと思うの」
「ほぉ〜、どういうこと?」
「ここに来る前にもね、ちっちゃな子どもが歩いているのを観察していたの。そしたらね、よちよちと一生懸命に歩いていたと思ったら、急にふらふら〜とななめ左に向かって歩いていって、また急に右に進行方向を変えて歩きはじめたと思ったら、また左に・・・」
みたいなことを指を使って、子どもがどんな風に歩いていたのかを教えてくれた。そして、こう続けた。
「大人のひとはまっすぐな道では、まっすぐに歩くじゃない。でも、子どもはそうじゃないの。まっすぐに歩かないのよ。そういう予想外の行動をしちゃう姿に目が吸い寄せられて、目を離せなくなるの」
「そっか、まぁたしかにそうかもね」
なんて、興味深く聞きつつも、軽く返事をしていた。のだが、みなとみらい駅の改札近くで、事件は起こった。短髪のおしゃれな服に身を包んだ若いお父さんと、2〜3歳くらいのちっちゃな子どもが歩いていた。
ダッ!
子どもは左手の肘を曲げて、天に向かって勢いよく突き上げる。
ダッ!
今度は右手の肘を曲げては、天に向かって突き上げる。
ダァーーーーッ!
と思ったら、急にパタパタパタパタと走り出す。
ダッ、ダッ、ダァーーーーッ! の一連のかけ声と動きを何回か繰り返していた。と思ったら、急に歩く向きを変えて、学生の頃によくやった行進のように手と足を高くあげて元気よく規則的に歩きはじめる。そうして、角を曲がり、ふたりの姿は見えなくなってしまった。
遠くから、じぃ〜っと見入ってしまった。そして、隣にいた奥さんにつぶやく。
「さっきの話、ほんとうだったね」
「でしょう」
もしかしたらぼくたち大人のなかでも、予測不能な動き( 発想 )をする人に注目してしまい、目が離せなくなることってあるのかもしれない。
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