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うそのないことばを探して。

ときには書きたくない夜もある。

こう書いてみてから、ベットに仰向けになってみたり、携帯をいじってみたり、机に戻ってみたり、頭をかきむしってみたり、歯を磨いてみたり、かれこれ2時間近い時間が経過していると思う。が、その時間さえ定かではない。とにかく時間ばかりが、ぼくという人間を通り抜けて流れ去ってゆく。

気がついたら、こんな文章を書いている。

ここで、ぼくのスイッチは切れる。いつの間にか眠りについていた。現実の世界と夢の世界の境界線があいまいな形で、ごくごく自然に。

気がついたら、外は薄明るくなっている。遠くのほうでカラスが鳴く声が聞こえる。大型トラックが通り過ぎる音もかすかに耳に届いてくる。パソコンをぱたぱた打ちながらも、まだまぶたが下に降りてこようとする。そうしてまた、ベットに突っ伏して眠りについてしまいたい衝動にかられる。目をこすったり、頬をパチパチ叩いたりして眠気に抗う。

気がついたら、こんな文章を書いている。

頭のなかには、「これを書こうかな」というネタはいくつかある。文章にしようと思えば、できないことはないだろう。だけれども、それを書こうとすると、表現することばにうそが混じる気がするのだ。そのテーマやことばに体重が乗せられない。

じつはその理由もわかっている。ぼくのなかにある、ひとつの感情が原因だ。その感情を消化できていない。その感情が体なのか心なのかを支配している。だから、今日のエッセイを書くうえで、ぼくにとっていちばん身近で適切な話題は、その感情について、なのである。

その感情のことについて書くことも考えた。しかし、手が進まない。消化し切れていないものを書くのもまた、微量のうそが混じる気がして。

だから、そんなぼくの有り様を描写することにした。現実の描写にはうそが入り込む余地がないから。

ぼくなりの、今日の、うそのないことばはこれだったのだ。

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今日はこれから歯医者さんに行ってきます。できるだけ、痛くなる前に通いたいものですよね。治療より予防。

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