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The day a burden was lifted.④

消化できない感情に蓋をした結果編

※注意⚠️
以下、アーティストに関して一部否定的な感情を書いた部分があります。
決して、アーティスト本人を批判する意図はありません。
いち個人ファンが感じた感情、という前提でお読みください。
また、コロナ禍の当時の感情、状況も書いております。
不快に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
その時は、ページを閉じて、ここから離れてください。



・思い出せない日々

コロナ流行がジワジワと世の中を変えて行ってしまう中、介護福祉業界の仕事についていた私は、正直、あの頃のことが思い出せない。

毎日報告される陽性者の数に神経を尖らせ。
隔離隔離隔離、感染防止のためのパーテーション、ソーシャルディスタンス。
店頭からも流通からも無くなる衛生用品。
高騰するマスク。
家の外に出て買い物することにも気を使い、外から帰ってきて家族と食事をすることすら感染の原因になりはしないかと心配になり、ひとり別部屋で夕飯を食べたりしていた。
島の外に遊びに行くなんて、もってのほかだ。

自分が感染源になって、高齢な利用者さんにうつしたりでもしたら、生命にかかわる…。
そんな不安と緊張感ばかりが胸を締める中、それまで1番の心の癒しだったコブクロの音楽から、だんだん離れていってしまっている自分に、その頃は気づいていなかった。

あれだけ島外へ飛び回っていた私は、一歩も島の外に出ることができなくなっていた。


・行き場のない感情

コロナ流行の収束が見えない中、ある日、ひとつのニュースをSNSで目にして、心が凍った。
大好きなアーティストの、不祥事。
(…どうせ、また、デマだろう)と、スルーしたものの、後日公式から謝罪のお知らせがupされた。

大好きなアーティスト。
それ故に。
好きだったから、こそ。
数えきれないくらい、彼等の音楽に感動を貰ってきたからこそ。
その件は、衝撃だった。


この時、私は、怒れなかった。
ことの詳細を、根掘り葉掘り知る気も起きなかった。
百歩譲って独身の身ならまだしも…
「一体何をやってるんだ💢」と思う自分の感情すら、認めたくなくて、湧き上がってくる様々な想いを、見て見ぬふりをした。
何に対して?誰に対して嫌な気分になっているのか?
怒り、というより、落胆?失望?どんな単語もしっくりこないような、複雑な感情。

これまで、楽曲を通して受け取ってきた、愛や誠実さや信頼は?今まで彼の歌を好きだった自分の感情すらも、受け入れ難くなり。
自分が悲しいのか、怒りたいのか、考えるのすら苦しくなって。
わざわざその話題をスルーすることも難しく、ライブ友さん達とも、気軽な話すらできなくなってしまった。

一方的に私が長年アーティストに期待して、勝手な理想像を押し付けていて、その身勝手さを棚に上げて「裏切られた」と思ってしまったのだと思う。

(チラ、とでも「自分の行動で、ファンを悲しませることにならないか」という思いは、よぎらなかったのだろうか。あぁ…彼にとってファンの存在というのは、己の行動判断基準に全く関係ない、そんなものなんだな。じゃあ、別に私が応援する必要なくない?)
という類いの思考に着地した私は…

自分の中の感情を整理できないまま、もう見ない、聞かない、言わない、と強引に心を閉じてしまうことしか、できることはなかった。


・好きだったものを、嫌いになりなくなかった


心を閉じて、自分の中のドス黒く渦巻く感情に蓋をした後は、彼等に関連する全て、目にするのも耳にするのも、過去の思い出すらも辛くなり。

そこから私は、彼らの楽曲を一切聴けなくなってしまった。
曲を聴くことができない、そのことに加えて、ファンの方々と築き上げてきた沢山の幸せな記憶、感情すらも、思い出せなくなってしまった。


あれだけ私の中を埋め尽くしていた大好きな曲を、再生することができない日々。
一向に収束が見えないコロナ禍にも疲弊し、だんだんと音楽を楽しむこと自体から離れていってしまった。


・手放し

2021年の7月にリリース予定だった新曲。
早々に予約していた新譜CDが、後日届いたけれど、封を開けることもできず、手放した。
あんなに新譜を受け取って悲しくなったのは、初めてだった。

そして。
今まで集めてきた、インディーズ時代から2021年までの過去の全てのアルバム、シングル、VHS、DVD、楽譜集、ツアーグッズたちさえも…ほぼ手放し。

ファンコミュニティのClubもTeamも、EMTGチケッティング会員も、全て退会してしまったのだった。

たぶん、このまま「昔、好きだった」カテゴリーで、全て忘ていくんだろうな、と思っていた。
自分ひとりでは、あのぐちゃぐちゃの感情を、整理することすらできなくって、放置していたのだから。
まさか、自分が、あの時の感情を受け入れることができる日が来るとは、思っていなかった。

→⑤へ続く


同じ「好き」を通して出会えた人たちに支えられた日々の話はこちら🫱

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