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近所の人と挨拶しますか?

朝5時。暑くならないうちにゴミ出しに行こう、とドアを開けた瞬間、牛乳パックを下げた男性がこちらに向かって歩いてくるのが目に入った。同じフロアの住人だろう、と見当をつけ「おはようございます」と挨拶したが、相手は無言。顔見知りではないが、ちょっと嫌な気分になった。
相手は、お向かいのご主人だった。引っ越し当初に粗品を持ってお互いに挨拶をしたのが20年近く前。それ以降付き合いはない。道で顔を合わせても気づかない関係だが、挨拶くらいすればいいのに、と思うのは古いのだろうか。

・管理組合の総会で、小学生の親御さんから『知らない人に挨拶されたら逃げるように教えているので、マンション内では挨拶をしないように決めてください』との提案がなされた。

・この提案にたいして、年配の住民も賛同。あいさつをしても相手から返事がなかったため「気分が悪かった」として意見が一致。最終的に「あいさつ禁止」のルールが明文化されることになった。

・管理組合の役員と称する投稿者は、「世の中変わったな」と理解に苦しんでいると感想を述べている。

挨拶、する? しない? 両者の意見は?

suumoより

2016年11月の記事。以前は「良い人ですよ。会えば挨拶もするし」というのが定番だったが「鬱陶しいですね。挨拶はこちらの時間を取られるし、相手が不審者か判別できないし」という風潮にシフトしているのかもしれない。

現在、マンションの理事を担当しているが、明らかに十数年前よりもクールな関係になっている、と感じる。

管理会社が「連絡を取るためにメアドを集めましょう」と提案したところ、過半数が「個人情報だから、住民同士で共有したくない」と拒否(私は捨てアドを提示するのは構わなかったが)。

理事会でも、参加者の氏名と部屋番号以外の情報は知らない。おそらく皆それすら記憶していない。世間話は一切ない。本当に「集会」だけの関係だ。
さくらももこ風に言うなら「ホテルで出会ってホテルで別れる他人同士」の関係に近いかもしれない。
外部会場での打ち合わせが終了すると皆バラバラに帰る。向かう方向は同じでも、雑談しながら帰る人は見かけない。私も常に一緒にならないように、気を遣って退出している。

個人宅に不具合がある、という理事がいた。
理事長「居宅に入られるのはお嫌でしょう。僕も他人様の家に入りたくないです。こういうご時世ですから。修繕対象の写真を提示してください」
理事「ええ、妻が嫌がりますので」
こういう展開になる。
お互いに干渉しないようにと、必要以上に先回りしながら距離を取っているように感じる。

挨拶をしないのも、この概念が根底にあるのだろう。

正直なところ、近所付き合いが密すぎて、勤務先や子どもの通学先、財産額や認印の場所まで知り尽くしている関係よりは、立ち入らない関係のほうが好みではある。距離が近すぎるのも良くない。

個人的には、挨拶くらいは交わし、立ち入った会話を避ける程度の関係が良いと思うのだが・・・。理由なく無視されるのは不快だが、挨拶しないのも気持ちが悪い。先述の記事どおり「マンション内での挨拶はしないこと」と明文化してもらったほうが気が楽だな、と思う。

マンションから出たら(スーパー、デパート、電車内、道端等で)知らない人に挨拶しない。マンション内もそれと同じと思えばいいのかもしれない。

対人関係に正解はない。
自分が気分よく過ごせることを主軸にし、現在の常識に合わせるだけだ。

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