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僕と妻のポーランド日記14

 ベランダから見える森は完全に晩秋の色になったのに、僕のポーランド語はまったく上達の兆しさえ見えません。少し落ち込みながら、授業前に教員休憩室に立ち寄ると、女性の先生がいました。「ジェン ドブレ(こんにちは)」と言い合って沈黙。英語で話しかけてみたが、わからない様子。ちらっと彼女が持っていた本を見ると、フランス語のようです。思い切ってフランス語で話しかけたら、フランス語が返ってきました。
 30年近く、フランス語とイタリア語を教えているポーランド人の先生でした。「ポーランド語は難しいですね」と言うと「そうですよね。あなたは日本人? ここの生活に慣れるのは大変だったでしょう」と気づかってくれる。「いいえ全然。パリに比べたら、みんな親切で」(ちょっとパリをディスりぎみに)と答えたら「そう、確かに(セ シュー)」と大きく頷いてくれました。たったこれだけの会話なのに、僕の方はちっとも上手でないのに、フランス語が優しく聞こえ、包み込まれるように胸に響きました。バルバラ先生、これからもよろしく。

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