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碧き海終演。お疲れ様でした。

新幹線から乗り換えて、ようやく最寄り駅へ。
ただいま東京。そしてありがとう山口。
ここ最近Twitterではふざけまくっていたので、終演後の余韻があるうちに、真面目な事も書いておこうと思います。
この1週間、稽古も入れれば一ヶ月、僕は佐野圭介という人物を必死で生きました。

本当に辛かった。

別に座組が嫌いとか、人間関係がとかそんな事ではなくて。
むしろ大好きだからこそ本当に辛かったです。

考えてみて下さい。

戦えない自分の代わりに、仲間が死んでいくんです。
そして僕達整備兵の仕事はそんな彼らを立派に死なせてあげる事なんです。

回天のお芝居、僕は今回が3度目で、全て整備兵として出演しています。
そしてその度に、考えさせられます。
生き残る者の義務ってなんなんだろう、と。

佐野圭介は、会津の人間です。
会津にとって山口、つまり長州は怨敵とも言える存在でした。
その嫌いっぷりといえば凄まじく、僕の祖母の代にすら残っていたくらいです。そしてよくよく考えて見れば、祖母は、久村と、佐野と同い年でした。

ご観劇頂いた方は分かると思いますが、佐野は会津弁と標準語を使い分けています。
基本的には作戦行動中に訛りのせいで周りに迷惑をかけないように、というのと、これは僕個人の考えなんですが、きっと佐野は怖かったんだと思います。山口の人達が、長州や薩摩の人間が。
だから、仲良くなった久村たちには自分の本当の言葉で話せたんじゃないかなと思います。

そうすると今度はそんな怖がりの佐野が、なんで志願したのかな?と思いました。
でも案外すんなり落ち着きました。
何度も言いますが、佐野は会津の人間です。
戦争で敗けた側がどんな目に遭うのか、知っていた。だからこそ、佐野は志願したんでしょう。そんな事あってはならぬと。臆病な彼なりに。

そしてクライマックスに、彼は搭乗員達を送り出します。
僕にできたのは目を逸らさずに直立不動で、特攻隊員達が、仲間が死ぬ瞬間まで見届ける事だけでした、生き残った者の義務として、僕にできた事はたったそれだけでした。
でもそのたったそれだけで毎日全身筋肉痛でした。
稽古の時、若さんがよく言う言葉があります。
「魂でやって下さい。」
スキルやアートと呼べるほど、僕は大層な役者ではありません。
声が枯れても、泥臭くても、下手でも、魂でやり抜きました。
ただただ、あの場所で必死に生きて参りました。
ご来場頂いた皆様。応援してくださった皆様。
本当にありがとうございました。

スヅキハヤツ/村田勇人

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