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第3次日本アニメブームはいつ終わるのか?

「日本アニメが海外で大人気!」といったニュースは新聞やテレビでもよく取り上げられるので、いまではよく知られた話です。
一方で日本アニメが、これまで海外で常に人気だったわけでないことはあまり知られていません。輸出が始まった60年代から2020年まで約50年間、日本アニメの海外での人気はかなり波があります。

わかりやすく話すために、僕はこれを勝手に「第1次日本アニメブーム」、「第2次日本アニメブーム」、「第3次日本アニメブーム」と分類しています。ちなみに第3次ブームは、今現在です。

第1次ブームは、1970年代後半から80年代にかけて南ヨーロッパが中心でした。『UFOロボ グレンダイザー』がフランスで圧倒的な視聴率を獲り、『キャンディキャンディ』が一世風靡をした話はこの頃のものです。
ただこの時は多くの視聴者は、番組が日本製であることはあまり意識してなかったようです。逆に日本アニメが大量でテレビ放送されると認識されると、暴力表現などを理由に80年代後半に放送規制が入り、ブームは収斂していきました。

第2次ブームは1990年代に米国で始まりました。特撮の「戦隊シリーズ」(『パワーレンジャー』)のテレビ放送をきっかけに、90年代終りに『ポケットモンスター』、『ドラゴンボール』、『美少女戦士セーラームーン』が次々にヒットしました。さらに米国の放送局のネットワークに乗って、世界中の子どもたちに人気が広がっていきました。
もうひとつ別の潮流もありました。こちらは1989年末の『AKIRA』が源流で、90年代末に『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』やOVA作品、深夜アニメがクリエイターやコアな学生層に刺さります。2000年代前半は、このふたつの流れが重なり大きなムーブメントに育ちます。
ところが00年代半ばに一気に勢いを失います。キッズ向けはテレビ放送枠の減少、ヤングアダルト向けは海賊版の急増で海外の日本アニメ配給会社が次々に立ちいかなくなった影響が大きかったのです。

日本アニメの海外人気はもう終わりかと思われたなかで、2012年頃から始まったのが第3次ブームです。大きな役割を果たしたのが動画配信です。廉価で簡単に日本と同時に、世界中でこれまで日本アニメを見たこともない人たちが日本アニメを見だしました。
世界的な盛りあがりですが、第2次ブームと同様に米国企業(今回は配信会社)の役割が大きいのは見逃せない点です。ただ今回は新たに中国も大きなハブになっています。中国の巨大な動画配信会社が次々に日本アニメを購入し、配信しているからです。

過去10年近く、日本アニメの産業規模は右肩あがりに成長しています。その原動力は海外と言われます。つまり第3次日本アニメブームに支えられてきました。

しかしそれがブームである限り、終りはあるはずです。実際に第1次ブームも、第2次ブームも、意外に単純な理由で去っていきました。
現在の問題は、第3次ブームがいつ、どのように終わるのかです。それはこれまでと同様に作品流通の変化かもしれません。あるいは他国のエンタメとの競争の結果かもしれません。

ただ仮にブームがどこかで終わるとしても、文化として着実に根を張ればブームと関係なく持続します。また新たなブームが来ることもあるでしょう。大事なのは、いまの波を生かしていいかたちで未来につなげることでないでしょうか。

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