読書メモ 「吉本興業の約束 エンタメの未来戦略」を読んで
この本は、凄いの一言です。
色々凄すぎるので、まずはぜひ読んでみて欲しいんですけど。
とにかくメモが積み上がってしまいました。
この数年懇意にさせてもらっている坪田さんと吉本興業の大崎会長のトークショーの内容が本にまとめられたという事で、早速読んでみたらあまりの面白さにグイグイ引きこまれて、しかもメモしながら戻って読んでと熟読してしまいました。
人に読書のメモを晒す事なんて殆どないんですけども、この本を読んで自分自身がめちゃめちゃ刺激を受けたので、書いたメモを人様にお見せできる部分を再編集して公開したいと思います。
この本はエンタメではなく、資本主義の未来について書かれた本
読書メモなので、あんまり解説めいた事は書きたくないんですけど、この本を読んだ事がない人もこのnoteは読まれると思うので最初だけ、ちょっと本の内容について書きます。
まず、タイトルに騙されてはいけないです。
この本に書かれている事は、全くエンタメの枠に収まっていないです。
吉本興業の大崎会長と坪田さんがトークショーで様々なゲストを迎えながらやり取りをしてる、その内容はエンターテイメントという世界の枠を軽々と超えて行き、僕も含め多くの人が感じてる、行き詰まってきた資本主義の次の未来像についての具体的なイメージが提示されています。
読み進めるとスケールが異様に大きな本だという事に気付かされます。
天才の頭の中を解説付きで覗く構成
第一部 『吉本会長が語る理由』と題して、この本が語り出されます。
文字通りトークショーを本にしているので語り出されちゃうのですが、その軽妙なやり取りから、金言が飛び出しまくります。(もう線引きすぎたので、これはぜひご自身で読んで確認していただきたい)
で、第二部 『大阪を元気にしたい』はハイヒールのお二人をゲストに迎えて、昔話をしながらも吉本興業の成り立ちや、芸人とマネージャーの関係性についてど素人の僕でもわかるように話が入ってきます。
そして、ズルイのが第三部 『タレントとの理想の契約』からです。
ズルイと思わず言ってしまうくらい、すごく面白いです。ズルイです。
ゲストに吉本興業を非公開化した時のCFOである中多広志さんがいらっしゃってお話をしていきます。
昨年問題になった契約の問題について、アメリカのエンターテインメント業界はどうなっているか?何が問題の本質か?について物凄く踏み込んで書かれています。
ここだけでも、エンタメに携わる全ての人が読んだ方がいいくらいです。
でも、僕がこの本で痺れたのは第四部 『吉本が考える地方創生』です。
ここには相当重要なキーワードが満載でして、なぜ吉本興業が地方創生をやろうとしているのか?どんな方向性を考えているのか?ゲストの清水義次さんが加わり、話が展開されていきます。
最後の第五部 『コロナ後に吉本が向かう未来』で、少しだけDXについて語られています。
この本は、大崎洋さんという天才の頭の中をビリギャルの坪田さんやゲストの方が少しずつ解説してくれてる本です。
この本の作り方が、もうヤバイと思いました。
何が?ってめちゃくちゃ分かりやすいんです。
このトークショーは一つ一つ単体でも、面白いはずです。
でも、それをこういう順番で、こういう構成で聞くと全てが一つの繋がったストーリーのように浮かび上がってくるのです。
僕が言えるのはこれくらいで、もうあとは読んで頂きたいです。
ホントにお勧めの一冊です。
属人化は悪なのか?
最近ふと思う事があるんです。
みんなシステムやモデルやデザインについて考え過ぎていませんかね?
仕組みよりも、人の方がよほど重要なのに。
DXなんて仕事をしていると属人化という言葉が悪のように言われていて、なんとも言えない微妙な気持ちになるんです。
僕が思い描いているDXは、人を機械のようにするのではなく、その人の良さを引き出すものでありたいし、居場所を見つけて才能や情熱を発揮しやすくする事だと考えてるんですよね。
それに向けて日々格闘しております。
プロデュースこそ属人の付加価値
本来は、起業家も大抵のビジネスマンも仕事の価値の本質はプロデュースにあると考えています。
プロデュースとは人を活かしてモノやサービスや仕組みを作る事です。
そして、その仕事は極めて属人的です。
皆さんも実感してるはずです。
イケてる人と仕事すると、楽しいし仕事も早い
そうじゃない人と仕事すると・・・
このイケてる人は、総じてプロデュース能力が高い人達だったりします。
ただ、残念ながらこの能力は意外と一般的なビジネスの世界では言語化されていない事が多く、極めて重要なポジションにプロデュース能力の低い人を配置してしまうと大変な事になってしまいますし、そういう光景を何度も見てきました。
今、新型コロナによって多くの業界が危機に陥っているわけですが、この危機の時ほどプロデュース能力が問われてきます。
そんな時に、天才プロデューサーである大崎さんの頭の中や考え方は、参考になります。僕も全く真似できる気はしませんが、メモは異様なまでに積み上がりました。
とにかくこの本を読んでみて欲しいのは、どこか行き詰まってるとご自身で感じてる方にお勧めしたい本なんです。
究極の属人化だけが新しいモデルを作り上げる
今コロナもあって、いろんなダメージを受けている業界をなんとかしようとお会いする事が多いです。
ただ、そういう業界ほど今新しい挑戦ができない状態です。
金銭的な問題はもちろんそうなんですが、本当に重要な事はマインドです。
「どうせやってもうまくいかない」
「本業が上手く行っていないのに新しい事なんてやっていいのか?」
いろんな声が出ます。
これ僕が、グロースハックして行く上でも、DXを推進して行く上でも、常に本当に毎日垣間見る反応なんです。
それでもやってみようと挑戦する人達は、リスクや規模を小さく始めて行きます。皮肉な事に全員を説得しないといけないような正しくて合理的で大きな取組は今日上手くいかない事の方が遥かに多いのです。
一度始めてしまうと日本人の特性なのか、チャレンジャーの特性なのか、面白くなってきて、周りが巻き込まれて拡がっていくというプロジェクトに何度も立ち会いました。
今は大きな取組も、最初はほぼたった一人の属人力から始まっていることを忘れてはいけません。
そして、それが本当に突き抜けていく過程で仕組みがないと大きくならないので、一生懸命仕組みを考えるという順番なのです。
仕組みから考えてもなかなか上手くいかないんです。
そして属人から始まるんで、意志が必要なんです。
自戒を含めて、この順番を間違っている人が多いなぁというのが、改めてこの本を読んで思った事です。
コロナを突破するための属人力のヒントがここに沢山ありました。
面白くて刺激を沢山もらえる本でした!
頂いたサポートは、災害地域やいくつかの支援を必要としてる社会的なプロジェクトに寄付させて頂いております。