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マーケティングの成果を分ける2つのスキル

※この記事は、マーケティングはプレイスが全てという私が以前書いたMediumを基に再編集をかけたものです。

マーケティングに関するご相談をよく頂きます。

その中で、最近マーケティング の成果が大きく2つのスキルによって大きな差が生まれているのではないかという仮説を持ち始めています。

そのお話をしたいと思います。

全く色褪せない4Pの重要性

僕は、素直に告白すると出来が良い学生とは言えなかったのでマーケティングについて覚えてる事といえば4Pがあるんだよということだけでした。

Product、Price、Place、Promotion

非常に古典的な切り分けですし、最近では、ジョブ理論、オムニチャネル、UX、People-drivenだ!とこういう切り分けをMixして、統合して考えるのが主流ですし、その重要性は疑う所がないんですけども、僕自身はこの古典的な切り分けで結構物事を考えております。(古い人だからかもしれないですけど)

で、この中でもPlace(流通)戦略が最も重要だと身を以て実感している訳なんですが、それがなぜか?という事について、少し真面目にまとめておきたいと思います。

250億円以上マーケティングに使ってみてわかった事

書いていく事前情報として私自身の経歴を書いておきます。

公式には、下記のように書かれております。

2003年に早稲田大学を卒業後、株式会社リクルートに入社、同社のマーケティング部門、新規事業開発部門を経て、アドオプティマイゼーション推進室を立 ち上げ、株式会社リクルートマーケティングパートナーズ執行役員として活躍。その後、2013年にKaizen Platform, Inc.を米国で創業。現在は日米韓台の4カ国で事業を展開。Webサイト改善や動画広告改善を簡単に計画・実行できるオンラインソフトウェア「Kaizen Platfrom」「Kaizen Ad」と、 8,800名を超えるネット専門人材のネットワークから、あなたのマーケティングチームをクラウド上で提供する「KAIZEN TEAM for X」を提供。エンジニアやデザイナーがいなくても実現出来るWebの継続的な改善が市場に受け入れられ、すでに大手企業300社以上、40カ国 3,000カスタマーで活用されている。

元リクルートで若くして執行役員になったということが、注目されることが多いので、さぞや優秀だったんだろうと思われるが、残念ながら僕自身は1円も利益を上げませんでした。

最初の3年間は、マーケティング局という部署に配属され、「カーセンサー」や「じゃらん」などの市販している情報誌のマーケティングプランナーとして60億円くらいの予算を預かり使いました。

次の3年間は、新規事業開発室という部署で「ドコイク?」や「スゴイ地図」「R25」というメディアをつくり、累計で60億くらいのお金を使った。この間、求人部門に兼務で在籍していたが、リーマンショックで自分をリストラするくらい厳しい時代でした。

その後の4年間は、アドオプティマイゼーション推進室という新規事業で累計120億くらい使いました。売上ももちろん作ったけど、まあ知れております。

ということで、1円も利益を上げなかった執行役員っていうことで恥ずかしいなと言う気持ちは持ち合わせています。

そして、その後も米国で起業し約25億円くらいの資金調達をして順調に使っています。

社会人になって今年で、15年くらい経つわけなんですけど、僕が唯一誇れるとすれば、この使ってきた250億円以上のお金だと思います。

ある時は、マーケティングの予算、ある時は新規事業開発の予算、ある時は、事業経営や投資のための予算。お金というのは、それぞれ目的に沿って使っていくわけなんですけど、それによって必ず見えてくるものがあります。

その見えてきたことが最も重要だと思ってる。これだけ使うと何が見えてくるのか、何を考えてきたのかをわずかばかり共有できたらと思います。

実践で学ぶマーケティングと利益の関係性

私が大学を卒業し、リクルートで最初に配属されたのはマーケティング局という部署でした。

当時のリクルートの売上は、まだネットよりも紙が中心で、それもフリーペーパーよりも、有料で販売している雑誌が最も売上を支えていました。

で、その雑誌は全て広告モデルでして、いかに雑誌を販売してカスタマーにリーチする事で、資料請求や問い合わせや応募や予約を増やすか?というのが私の仕事でした。

で、マーケティング と言うのを駆使していく訳なんですけども、Productと言うところで関与できるのが、特集のタイトル付けや表紙のデザインでした。

これは、衝撃的に販売部数を左右しますので、恐ろしい程にPDCAを回します。

それからもう一つ重要なのが、紙と印刷部数です。

用紙代と言うのは、かなりのコストに影響を及ぼす要素でして、これと印刷部数によってその後の流通戦略に大きな影響が出ます。

それからPriceで言うと、雑誌の価格やマージン戦略も関与することができました。

それからPromotion、TVCMでいくのか?電車の中吊りなのか?新聞の全五段なのか?それとも販売促進費をかけて、付録を付けたり、POPを付けたりするのか?

そして、最後にPlaceです。

どこにどれだけの部数を流通させて面を確保し、販売するか?コンビニか?書店か?それとも駅の売店か?

何にどれだけお金をかけるか?これらの全てが変数です。

これらを企画し、設計し、実行し、そして販売部数を最大化しながら、そこから生まれる効果を元に広告収益を伸ばし、利益をMaximizeする。

これが私の社会人になって初めての仕事でした。

流通戦略を中心にしたお金の使い方

上記の仕事を通じて、私はとても面白い経験をすることができました。

普通の会社ではプロダクトとプライスとプレイスとプロモーションはそれぞれ別の部門で別の担当者が決めていることが多い訳です。

しかも、それらがウォーターフォールのように流れてきて、マーケティングの段階になって、「なんでこんなクソみたいな商品になってるんだ!?」と憤っているマーケターの方も少なくないと思います。

私が担当していた情報誌は、中身こそ編集長がつくりますが、表紙やタイトル、価格や流通、プロモーションに至るまで広範囲にマーケティングプランナーが携わることができました。

つまり製造工程の上流からマーケティングの観点を入れて、販売してカスタマーの手に届けるためのすべてをハンドルする経験をさせてもらいました

これが面白くないわけがありません。

出版不況の中、担当雑誌の販売部数を毎年20~30%伸ばす

そこで、出版不況と言われながらも、同じ予算で販売部数を毎年20〜30%伸ばしました。担当する雑誌30誌くらいのほとんどすべてで、それを実現しました。しかも2年連続で。

そこで私がやったことは、とてもシンプルなことでした。マーケティング予算はほぼ横ばい。ただ前年を踏襲した予算の置き方をしないということだけを決めました。

・毎月毎号ただ出稿していた新聞や中吊りを、朝日と読売のラテ欄下(テレビの番組欄の下、これだけ新聞読まれない時代でもテレビ番組欄だけは主婦層を中心にかなり見られていました)に振り返る。
・ただし金額が高いので隔月で、しかも朝日と読売をそれぞれ交互に入れました(こうすれば、どちらの読者にも4か月ごとにリーチできます。何回も連続で同じほうに出すと少しずつ効果が低減するので、ケチな私は交互に実施していました。代理店、新聞の方、すみません!)。
・ラテ欄は、当時そもそも一見さんでは買えないという敷居が高い枠だと言われましたが、年間できちんと安定出稿する計画を提示することで出稿させてもらいました。
・ラテ欄が入らない号は付録を付けました
・当時は付録を付けている情報誌なんてほとんどなかったので、棚が取れるし、新聞出稿で売れた号の次号予告に必ず付録の告知をして引っ張ることができました。
・用紙を値段が安く束厚が厚いものに変えてボリューム感を出しました。
・下げたコストから雑誌の販売価格を下げて、その分流通や小売に落ちるマージンが減らないように販売奨励金で小売や流通に戻すようにしました。

以上のような施策を丁寧に少しずつ順番に実施していきました。これらを一気に実現することはできなかったんですけど、一つの雑誌で成功事例をつくって、それをコツコツと横展開していきました。

良いXXを長く確保できれば勝ち

月刊誌だけじゃなく、週刊誌もムックも同じ予算で販売部数を伸ばしていきました。

価格を下げたので販売収入は落ちましたが、コスト削減で賄い、販売部数を伸ばして広告収入を増やしました。

印刷にかかる費用、配送費用、流通マージン、小売マージン、広告宣伝費用、販促費用、3年間で大体60億円くらいのお金の使い道を少しずつ変えながら、プレイスをいかに抑えるか、に頭とお金を使いました。

戦略ゴールをXXとおいたのです。

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