気候変動によって変化する観光の在り方|エシカル通信
このnoteは、一般社団法人エシカル協会主催の「エシカル・コンシェルジュ講座」の参加レポート記事です。
エシカルコンシェルジュ講座の第一回目は、国立観光研究所の江守正多さんで、「気候危機のリスクと社会の大転換」というテーマでした。
地球温暖化の実態から、京都議定書・パリ協定などの気候変動に向けての国際社会の対応、脱炭素、それから経済成長派vsグリーン成長派vs脱成長派といった経済に対しての考え方まで、気候変動が社会に与える(与えてきた)影響を軸に幅広い内容をわかりやすく講義してくれました。
今回はその講義の内容を踏まえて、「気候変動によって観光の在り方はどのように変化していくのか」をテーマに考えていきます。
(地球温暖化や気候変動を詳しく知りたい方は、江守さんが地球温暖化の仕組みについてわかりやすく解説されている、下記の動画がおすすめです。)
気候変動によって予測される環境の変化
まずは、気候変動によって起こりうる私たちが生きる地球環境の変化から話していきます。
ご存知の通り、20世紀後半の世界平均気温の上昇は、人類による温室効果ガスの排出が主な原因とされています。温室効果ガスは、主には二酸化炭素のことを指しますね。
人間活動によって排出された二酸化炭素が、今までの自然状態ではありえないほど多いため、人類の活動が地球環境の状態を左右する。このような時代のことを人新世ともいいますね。
それでは一体、世界の平均気温が上昇することでどのような変化が起こるのでしょうか?いくつかを以下に列挙してみました。
・海面上昇による、沿岸での高潮被害
・大都市部への洪水の被害
・極端な気象現象によるインフラ等の機能停止
・熱波による、都心部への脆弱な層における死亡や疫病
・気温上昇、干ばつによる食料安全保証への脅威
・水資源不足と農業生産減少
・海洋生態系の損失
・陸域及び内水生態系がもたらすサービスの損失
怖いですね。。。
人類が今までに体験したことのないような状況が起こりうるリスクがあります。まさに想定外のことが起こりえます。
近年の異常気象による日本各地で発生した大雨などは、特に想像しやすいのではないでしょうか。
こういったリスクを踏まえた上で、今のうちにどのような行動をしておくのか、今できる準備は何かと考えることが重要です。
観光においても、このリスクを回避するために、今のうちにできることはいろいろとありそうですね。
気候変動によって予想される社会の大転換とは?
世界中で気候変動によって起こる被害をできる限り和らげ、そのリスクを回避するために、様々な対策が行われています。
2015年のパリ協定において採択された気候変動枠組み条約では、「産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑える。加えて平均気温上昇「1.5度未満」を目指す」ことを目標にしました。
2020年12月に日本政府が発表した「2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにする」という目標もその内の一つです。いわゆる、脱炭素化です。
その実現性においてはさておき、「気候危機のリスクを避けるためには、社会の大転換が不可欠」と講義内で紹介されていました。
ここでいう、「社会の大転換」とは、単なる制度や技術の導入ではなく、人々の世界観の変化を伴う過程のこと。
また、その変化が起こる過程には次の5つのステップがあると主張されています。
1:科学 (一部の研究者がある事実を発見)
↓
2:倫理(社会の一部の人が主張)
↓
3:制度(ルールや法律に反映)
↓
4:経済(利益を生み出すアドバンテージに)
↓
5:技術(誰もが使えるように)
人類は今までに沢山の「社会の大転換」を行ってきました。例えば、産業革命によって労働者vs資本者という考え方が生まれたり、インターネットの誕生によってどこでも・誰とでも繋がれるようになりました。
コロナさんによって、「会社に行くのが当たり前」という価値観も覆されつつありますね。(これもまた、上記の5つのステップに当てはめて考えるとわかりやすいと思います)
脱炭素社会、持続可能な社会、誰ひとり取り残さない社会においては、今までの常識が非常識になっているかもしれません。
カーボン・オフセットであることが当たり前になったり、サーキュラー・・エコノミー(循環型経済:廃棄物の発生を最小限に抑える経済システム)から生まれた商品でないと消費者から選ばれなくなる、という世界になる未来もありえますね。
【まとめ】今までの観光の当たり前を疑ってみよう。
ここまで、気候変動によって生じるリスクと、それを起点に起こりつつある社会の在り方の転換について説明しました。
最後に、これからの社会における観光の在り方を考える上で、今回の講義を受けて学んだことをシェアします。
今の観光の当たり前を疑ってみることが重要と感じました。なぜなら、科学技術の発展により、「今」の常識は「未来」の非常識になる速度がどんどん高まっているから。
<沖縄観光の今の当たり前>
・宿泊先は沖縄西海岸のリゾートホテル
・主な移動手段はレンタカー
・ツアーの質よりも安さ
など
そんな当たり前もブロックチェーン技術により各個人がもっと繋がりやすくなり、島全体が一つの宿泊地なり誰でも観光客を受け入れらたり、自動運転技術の発達により移動手段の価値観が変わったりと、非常識になっているかもしれません。
「エシカルな旅」を沖縄に広げるためにも、今の観光の当たり前を疑ってみる必要があるかもしれません。
【エシカル通信とは】
エシカル通信は、琉球・沖縄のメディアファクトリー合同会社SUDERUが、「沖縄の観光をエシカルな旅へ」をテーマに発信するnoteです。
▼「エシカルな旅って何?」という人へ
https://www.us4iriomote.org/ethical-tourism
▼SUDERUの日常
https://www.instagram.com/suderu_ryukyu/
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