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データの数字を何も考えずに見つめていませんか?

私は個人的に「解析」「分析」するのが得意(?)で、好きな分野の話ですが、マーケットの数字だとか、業績がどうのこうのとか、そういうのは一般的なエンジニアはなかなか遠い話かもしれません。とはいっても、私も専門的に学んだわけではないので、その筋の方達と比較すると、豆鉄砲程度かも知れません。

ですが、普通にソフトウェアを開発しているエンジニアやマネージャーであっても、数字に触れないと言うことはありません。

一番よく目にする機会があるのは、「進捗」と「不良件数」ではないでしょうか。

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たとえば、これは何年も前に実際にあった比較的大型トラブルプロジェクト…に、火消しで参画した時に個人的に作って管理していた、不良発生経緯とその分類の内訳、そして消化件数をまとめた資料のグラフ部分です。

このように同じ数字でも、「分類」と「可視化」を行うことで、見えてくるものはたくさんあります。

このグラフには、そもそも進捗状況が書かれてはいませんが、そちらのデータと比較すると、「残作業ボリューム」と「不良発生の増加傾向」から、収束状況が見て取れます。逆に、スケジュール終盤に急に不良件数が大幅増加した場合などは、類似の調査では発見できなかったような新しい問題が発生した可能性が見えてきます。「今のチームはどういった部分のエンジニアリングが弱いのか?」がわかれば、重点的に見直さなければならない範囲も見えてきますし、これらを機能別に再分類すれば、優先度や影響度なども予測できるようになったりもします。

もちろん、問題対策だけでなく、次のプロジェクト活動をするうえで、このチーム編成の場合、何を重点的に押さえておけばよいか?も特定することが可能になります。また、それが個人依存の課題なのか、それともチーム構成の偏りが原因なのか、あるいは技術要素とメンバーの相性の問題なのか等、色々なことが検討できるようになります。

こういった数字を漠然と見ているだけでは、成長機会を逃してしまい、勿体ないケースが多々あります。


他にも、部課長クラスであれば、予算の年間目標などがあったりすると思いますが、こういった会社が立てる目標値にも、その背景をどれだけ認識しているかで全く意味合いが異なります(まぁ、企業によっては、何も考えず「前年度比〇%UP」とか掲げているところもあるでしょうけど)。

本来、目標数値の背後には、市場の傾向や顧客の動向がたくさん含まれているものです。それを分析すると、今後の戦略に役立てることができます。

会社の年間売上は、1月、2月……12月と、月別の売上に分けることができます。たとえば、前年度、前々年度の売上/利益の数値と、今年度の数値の積み上げ推移グラフがあったとします。

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こうして、月別の売上や利益を見ていくことで、どこに集中しているのかがわかります。

 「10月や4月の伸び率が低い理由はなんだろう」
 「3月が特に売上が高いのはどうしてだろう」

……と分析することで、翌年の要員計画等に役立てることができます。企業にもよりますが、ある月に納品したとして、翌月請求としているのであれば、売り上がった月の前月が納品月で、エンジニアにとってはもっとも繁忙期であるかも知れませんね。部署ごとに並べてみた時、傾向に一貫性が見えるようなら、会社全体が、あるいは業界全体が同じような時期に、「繁忙期を迎えやすい」と言うことがわかります。それが、今のようなの季節であれば、インフルエンザなどのパンデミックは予測の範疇になりますし、企業としてはそれを避けるための対策をあらかじめ講じておくこともできるようになります。

逆に、売上金額が少ないと言うことは、派遣業であれば「空き要員」が多数出ている可能性がありますし、請負業であれば「納品作業」が少なく、プロジェクトの最中で安定期(比較的、上流に近い工程)が集中している可能性があります。あるいは、まだプロジェクトが立ち上がったばかりで、検収されるまでまだまだ期間があるのかもしれません。プロジェクトのスケジュールを全て並べてみれば、プログラマー、エンジニア、リーダー、マネージャーなんかの層ごとに繁忙/閑散期が手に取るようにわかるようになりますし、営業活動もしやすくなるでしょう。

毎年の傾向が変わらない場合は、定常顧客の都合でプロジェクト単位がそうなっている可能性が高く、翌年も、その次も、延々と同じようなサイクルになる可能性さえ見えてきます。

また、お客さまを年代別や性別で分けることも考えられます。

「全体の売上=派遣の売上+請負の売上」と分け、さらに月別で組み合わせて調べれば、「ここ3カ月間、請負が減っている」といった傾向が見えてくるかもしれません。社員には、派遣が得意(苦手)なメンバーもいれば、請負が得意(苦手)なメンバーもいます。両方とも卒なくこなせるメンバーもいるでしょう。そういったリソースをきちんと管理していれば、どの月に、どういった組み合わせで、どんな戦略を立て、どのマーケットを押さえればいいかも、見えてくるようになります。

他にも、顧客別や販路別、時期別、新規・既存顧客別など、さまざまな切り口が考えられます(頑張って新規客を獲得しても既存客が逃げてしまっていることはよくあります)。

これらの引き出しが多ければ多いほど、データの特徴や傾向を見つけやすくなります。

また、多くの会社や店では、売上を「客数×客単価」または「案件数×要員単価」に分解してチェックしています。

たとえば、今月の売上が8500万円で、70人の従業員稼働があったとしたら、平均単価は120万円です。もし売上が減ったのであれば、

 引合いそのものの数が減ったのか
 単価(要員あたりの仕事)が減ったのか

を見極めて、正しい対策を選ぶ必要があります。

このように考えると、より漏れや見落としのない分解ができます。「売上が落ちています。案件獲得に力を入れましょう」「売上が落ちています。より高単価の案件に力を入れましょう」ではなく、売上を客数と客単価に分解したうえで、

 「単価は落ちていませんが、案件数が減ったため売上が落ちています。
  単価を維持しながら案件獲得に力を入れましょう」

と主張すれば説得力が増します。


個人的には、こうした数値的データは多ければ多いほど、ワクワクします。時間さえ許せば、いろんな角度から、いろんな分析をおこない、そのうえで、自分の分析が正しかったのか確認したくってしょうがありません。

たまに、普段の自分では気づきもしなかった切り口とか、教えてもらったり、自分で見つけたりすると、さらに楽しくなってきますね。私の身の周りにも、こういうことで盛り上がれる同僚とか、縁故があるといいのですけど、今のところそういう人たちとの出逢いはなさそうです。

こうした考え方は、日頃の視点とは全く別の考え方を求められます。

だからこそ、強制的に異なる視座の高さや、異なる視野の広さを求められるので、無理をしてでも取り組んでおくと、自分自身の見識がギュンギュン広がって成長を感じられるのではないかと思います。

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