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品質の分析 -2- (動機的原因)

品質…と言うか、不良、欠陥、ミス、抜け・漏れ、etc.…プロダクトだけでなくプロセス、ビジネス、行動、判断等の問題についても同様に必ずすべてのことに『質』というものがついてきますが、先日はその質における「技術的原因(何が起こっているのか)」について触れました。

もちろん技術的原因からでも多くの情報が読み取れます。

QAのような品質保証あるいはQMと呼ばれる品質管理をする担当であればこうした問題一つひとつはもちろんのこと、統計的なデータをもとに

 「改善すべきプロセスはどこか」
 「即是正すべきポイントはどこか」

等を割り出します。そうしなければ品質が保証できないだけでなく、今後も同じ問題を起こし続けますと言っているようなものだからです。

もちろん、現場で活動している担当者本人がそれをできればいいのですが、業務に集中しなければならない関係上、どうしてもそこまで目が行き届かない…と言うこともあるでしょう。そのために専門性の高い「品質」という分野においてのエキスパートとして、QAやQMというポジションの人がいるわけです。

まぁ…エキスパートとは名ばかりで、技術的専門性を知ろうともしないでマウントを取りたがるQAやQMも多いし、経営者にいたっても品質保証部門と言うと前線で活躍できない人や、集団活動が難しくなってきた高齢者の置き場所として用いる…そんな扱いにしがちな傾向が強くなっているらしく、なかなか適切な活動ができるエキスパートが存在しない…と言うのも確かです。

以前も少しお話したかもしれませんが、実際私の周囲でも本当に「品質」のことについて語れる人というのはごく僅かでした(5人いなかったかも)。

技術的原因からは、多くの場合「プロセスに不備がある」と言うことが読み取れます。あまりにも酷い場合、端的に言ってしまうと

 ・企業として、確固たるプロセスが構築されていない
 ・リーダーやマネージャーは、プロセス構築が杜撰である

と言うことが明確になる…といっても良いでしょう。ですが、技術的原因だけでは「改善すべきポイント」の特定はできるのですが、「どう改善することが望ましいのか」までわかりません。それを特定するために必要となってくるのが"動機的原因"です。

動機的原因

こちらは組み込まれた問題そのものに対して「なぜそんなことをしてしまったのか」を特定します。『動機』という言葉が示すように、ここはプロセスの過程において

 「人の思考、判断や決断が大きく関与する」
 「人の能力などに左右されやすい」

ポイントです。

それだけに「人の思考や判断、決断に依存することが正しいプロセスなのか?」が問われていると言っても過言ではありません。人の思考であれ、判断であれ、決断であれ、それらは必ず脳内で何かしらの基準によって進められ、決定されているはずです。そう、つまりは"アルゴリズム"があるはずなのです。

たとえば、新人の電話応対などはわかりやすい例で、

アクティビティ図0

新人ごとにルールがあるわけでもありませんし、企業ごとにルールを定めていいものではありません。世の中で標準化されていてもおかしくないものになっています。当然、このようにアルゴリズムにすることも可能です。

ですが、ある企業ではそういったものもなく、

 ①新人教育では、外部セミナーを利用して説明を受ける
 ②配属した部署の上司ごとにルールが違うし、①の内容とも合致しない
 ③先輩と話すと「所詮1年目だけだから、その辺は適当でいいよ」と言われた

なんて感じで好き勝手に決められていたらどうでしょう。

当然ですが、解釈する新人によっては注意力散漫になって単純ミスを犯すかもしれませんし、こうした社会人基礎力不足によって30代、40代になってもロクに電話応対のノウハウを知らず、部下や後輩に説明することもままならない大人が出来上がったりするわけです。

このように、動機的原因とは「人の思考や、判断・決断に依存し、明確なプロセス(ルール、基準、手順等)を設けないことによって起きた問題に対して「なぜ?」を問いただし、より問題の本質的な部分を特定するために用います。


原因①「単純ミス」

ソフトウェア開発におけるQAやQMは、定量的に整理したら次に傾向分析を行います。もちろん一つひとつの問題に対しても向き合っていくことになりますが、傾向的に偏りがある場合、それはそれで

 プロジェクト全体の弱点

であることは間違いないので、これ以上問題が拡大するのを防ぐため、優先度を引き上げて対策に取り掛かるようになります。

実際には技術的原因一つひとつに対して内訳をみていかなければなりませんが、ここでは一例としてざっと動機的原因だけで確認してみます。

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