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要領が悪い原因

「要領が悪い」と、人から言われたことはありますか?

私はあまりありません。
「要領が良い」とも言われたことはあまりありませんが。

というのも、基本(抽象的な)部分をある程度押さえてしまったら、それ以上は修得の努力をしないので、周囲からは評価しづらいのかもしれません。具体的過ぎるノウハウは、時に選択肢を大幅に限定してしまいます。それはそれで使えるスキルではあるのでしょうが、応用が利かないのでは意味がないと考えています。

ですが、抽象的な概念や枠組みを、具体的な手法に落とし込むスキルは、時間をかけて色々とトライ&エラーを繰り返し、知識だけでなく、経験則として活かせるレベルにまでブラッシュアップしていかなければなかなか身につきません。

私は普段あえて難関ルートに飛び込むようなやり方でやってきたので、多くの人にとってはあまり参考にならないかもしれません。


ですが、「要領の良さ」と言うのは、間違いなく行動プロセスにおいては大事な要素となります。その良し悪し1つで、パフォーマンスが大きく変わってくるからです。

「要領が悪い」と何に影響が出るか。
それは、ひとことで言うと

 仕事そのもの

です。仕事のありとあらゆるシーンに影響が出てきます。まず、要領が悪いと言うことは、要領のいい人に比べて、仕事のスピードが遅くなります。どんなに頭の中で仕事としてすべきことがわかっていても、その仕方に何の工夫もなければ、工夫している人より遅くなるのは当然です。

仕事のスピードが遅いと言っても、一般的なスピードならいいのです。ですが、もしも周囲の人たちが何かしら工夫をしていて、自分以外の人たちがみんなスピードが早かったらどうでしょう。平均値が底上げされると、どんなに普通でも「遅い」とみられます。

また、仕事のスピードの平均値があがると、その速度を元にしてスケジュールが設定されていくようになります。そうすると、自分だけがスケジュールを守れないと言う状況になります。評価が落ちるだけならまだしも、焦って手を抜くようなことがあれば、品質まで損ねることになり、

 仕事は遅い
 出てきたアウトプットの質は悪い
 何やらせてもダメダメ

と言われるようになってしまいかねません。変なレッテルが固定化されてしまうと、それだけで多くのチャンスを失い、成長する機会すら失ってしまいかねません。実は、「要領が悪い」「工夫が足りない」人と言うのは、それだけでとてつもないハンデを背負っているようなものなのです。

要領が悪いと作業に時間をかけ過ぎてしまったり、仕事ができないイメージを周囲に与えてしまうなど、何かと損をしてしまいがちです。

ですが、「要領が悪い」理由というのは、至極簡単です。

 物事の捉え方や進め方のなかに、
 手際を悪くしている原因がある

というだけなのです。

要領の悪さを改善したり、工夫したり、克服することは努力次第で、誰にでも、どうとでも出来ること。それができない人は、「プライドが高すぎる」「偏見が強い」「他人の助言より、自分の意見を優先する」「過去の実績に固執する」といったバイアスのために、適切な変化をしようとしないだけです。あまり今までの自分のやり方に拘らず、まずはその認識を持つようにしましょう。

環境を整える

要領が悪い人は、ひょっとすると仕事場の環境が仕事に適した状況になっていない場合…すなわち、段取り・準備ができていない場合が、非常に多いのではないでしょうか。「落ち着きがない」と言われやすい人かも知れません。

たとえば、机や引き出しの中が散らかったままの状況になっており、はさみやクリップが必要になった場合でもどこに置いたかがわからないため、道具を探す無駄な作業時間が頻繁に発生します。「要領の悪い人」の第一候補には大抵の場合、

 整理整頓ができていない
 環境に無頓着

という傾向がついてまわります。

要領が良い人は、まず仕事をしやすい環境を整えます。いきなり盲目的に仕事に入るなんてことはしません。頭の中でグチャグチャしている情報群をきれいに整理します。そのためにノートにまとめていたりしているかもしれません。物を探したりする無駄な時間が発生しないため、効率よく仕事を進めることができるのです。準備力と言ってもいいかも知れません。

要領が悪い人は、まずは環境も頭の中も、身の回りをすべて綺麗に整理して仕事に集中できる環境を整えることから始めましょう。仕事場の清掃や整理整頓は、要領を良くする上での第一歩なのです。

5Sなどで、「整理」「整頓」などが掲げられているのは、労働安全の確保と言う以外にも、業務の効率化と言う目的もあります。


手を動かす前に頭で考える

要領が悪い人は、仕事の指示を受けると、何も考えず手を付けようとしてしまいます。これも先ほどの「準備(事前に環境を整える)」が足りていないために起きてしまう事象です。

たとえるなら、設計書を満足に確認しないまま、プログラムの実装作業に着手しているようなものです。それで設計書通りに、どうやってプログラミングするというのでしょうか。

段取りを考えることなく仕事をスタートさせてしまうと、無駄な作業に時間を費やしたり、「非効率に作業を進めて修正に時間を要する」「納期に間に合わない」などトラブルを引き起こす可能性も高まります。

仕事に取り掛かる前に全体の流れを整理し、タイムスケジュールを設定する習慣を身につけましょう。

これはマルチタスクに限らず、単純作業であったとしても同様です。仕事に着手する前に仕事の進め方や段取りについて考える時間を設けて、慎重に段取りを検討してから仕事を始めるようにすることです。

とは言え、無計画に「悩む」のはダメです。

悩む作業は何一つ前に進みません。いきなり行動しないからと言って、不毛なことを始めていては意味がありません。あくまでもすべきなのは「準備」であり、頭の中を整理し、物理的な環境、人的な環境、情報共有などを整えるためだけに頭を使うべきです。

もしも、それ以外のことに費やすようであれば、それは時間の無駄遣いです。


具体的プロセスや方法に固執しない

要領が悪い人に限って仕事の進め方やプロセスに対し、自分のやり方にこだわってしまって、目の前の状況に対し適切性を欠いている可能性があります。

たしかにあらかじめ「プロセス」を明確化することは仕事の大前提です。ですが、それはプロセスがわからずに困ってしまう人のため、あるいは仕事の足並みをそろえる統一感を引き出すためにするものです。その目的が果たせるようなシーンに対して、プロセスを明確化することの意味・意義が出てきます。

にもかかわらず、兎にも角にも「盲目的」「思考停止」によってプロセスをありがたがるようになったり、固執するようになるようでは、適切な運用なんてできるわけがありません。

最初に私が言った、私流のやりかたはこれに近いかもしれません。

仮にプロジェクトでプロセス(手順)などを明確化したからと言って、本質的な目的さえ果たせていれば、テーラリング(仕立て直し)するのは問題ありません。ですが、固執したがる人は、このテーラリングができないのです。

たとえば、A→B→Cという順序で作業行うことが最も効率が良い場合でも、

 「自分はCから始めたい」
 「いつもBから始めている」
 「以前はBでやって大丈夫だった」
 「〇〇さんはCからやれって言った」

といった具合に作業効率を無視して自分流にこだわってしまいます。結果として、融通が利かなくて、上手く進行できる選択肢が減ってしまうのです。そういう人たちがカオスを生み出せば、それだけでチーム効率はグンと下がってしまうことでしょう。

逆に、要領の良い人はこだわりよりも「効率」を優先します。

というか、「効率(費用対効果)」「品質(顧客満足度)」以上に重要視するべきものなんてのは、この地球上のどこを探しても存在しません。意地になって存在させようとする権力者はいるかもしれませんが、実際には存在しません。

要領の良い人は、それがなんとなくでも理解できているのか、仕事の進め方を柔軟に変化させ、

 「どうすれば最も効率的に仕事を進めることができるのか」

考えることができるようになっています。
これを『創意工夫』と言います。

プライドがあり、こだわりを持つのはとても大事なことですが、それは己に対して持つものではなく、成果やその先にある満足に対して持つべきではありませんか?


優先順位を付ける

仕事は、すべてが並行で進められるわけではありません。基本的には順序性があって、その順番通りに進めていかなくてはならなくなっています。順番が間違っていると、進めている作業を途中で中断させざるを得なくなってしまったり、手戻りが発生してもう一度やり直さざるを得なくなってしまったりします。

そのため、本当に仕事を効率よく進めようと思ったら、どうしても優先順位をつけて着手していくしかないのですが、要領の悪い人は思い出した順番、気に入った順番、興味がある順番、etc.…といったように、論理的ではない理由で仕事を進めようとしてしまいます。

一方、要領が良い人は、複数の業務を抱えたときは優先順位をしっかり考えます。どうすることが最も成功に近いのか、真剣に考えます。

また、途中で新たに仕事が加わった場合などは、その仕事の優先度が高いと判断した時には、優先順位を入れ替えて現在の仕事を中断し、優先度の高い仕事を先に取り組むなど柔軟にも対応したり、常に最適な状態を作り出そうとします。

要領が悪い人は、毎朝出社したらTO DOリストにタスクを全て書き出し、

 「今日やるべきこと」
 「やらないでもいいこと」

に分類することから始めましょう。そして「今日やるべきこと」は、取り組む順番(優先順位)を決め、タイムスケジュールを設定するのです。

私は、1日分程度であれば、いちいちメモを取る必要もないので、朝の通勤時に電車の中で整理します。

 「午前中にアレやってー、
  おそらく少し時間が余るから、次の作業にも着手しておいて…
  ひょっとすると午後から分からなくて手が止まるかも知れないから、
  午前中には、わからない単語一覧作っておこうかな。
  じゃあ、昼飯はコンビニ…片手で食べられるおにぎりにして、
  片手間でわからない単語を調べておこう。
  午後からは、本格的に着手して…3時頃に一旦、中間報告しておくか。
  定時には終わらないと思うから、+30分やってみて、
  終わりが見えなかったら明日の午前中まで使おう。
  見えるようなら、そのままやり切ってしまうかな」

なんて、5分くらいでざっと整理します。
たったそれだけで自分の仕事を漏れなく管理できるようになります。

要領の悪い人と良い人の差はちょっとした工夫ができるかどうかでしかありません。天性のものでもなければ、才能と呼べるもののほどでもありません。習慣化さえすれば克服するのも時間の問題といえるでしょう。

当然ですが、行動に移さず、言い訳ばかり言っているような人には、一生工夫する機会は訪れません。


他者が仕事を協力しやすい方法を考える

要領が良い人はその立ち回りの良さを発揮して、みんなを味方に付けて協力を仰ぐこともできます。そもそも自分だけが効率よく動けても、チーム全体、組織全体が効率的でなければ、結局仕事は終わりません。「自分の分はやったんだから関係ない」は通じません。チームとして、組織として結果が残せなければ、お客さまに対価を支払う価値がないからです。

容量のいい人はそれがわかっているので、自分個人の成果ばかりに固執しません。そして、関係者全体を見据えて立ち回ろうとします。これを巻き込み力と言います。

METI/経済産業省が、職場や地域社会などで仕事をしていく上で重要となる基礎的な能力として定義している「社会人基礎力」の中にある

 働きかけ力

と同義です。得手不得手はあれど、本来であれば社会人なら誰でも持っている基礎力の1つとして定義されています。

人に仕事の協力を依頼する場合、協力して欲しい仕事の内容や領域、納期、すすめ方、留意点、予想される作業時間等を予め明らかにした上で依頼する必要があります。こうした情報の整理も「準備」の1要素でしかありません。

ところが、要領が悪い人は項目を整理することなく、一方的に協力してもらうことだけを求めようとするため、協力者に対して誠実な行動がとれません。結果、サポートする方も何をどう協力すれば良いかわからず困惑してしまい、十分に力を発揮できなくなってしまいます。

要領の悪い人が改善すべき点は、協力者に対し、『協力してもらう最低限の礼儀』として、協力依頼する仕事内容を明確にした上で、協力者がいつまでに、何を、どこまで、どのように行えば良いかを依頼内容に沿って伝えることです。たったそれだけのことで、お互いに気持ちよく、効率的に仕事が遂行できるようになります。

だからですかね。

「丸投げ」しかできない人の周りでは、よほど優秀な人が布陣していない限り、仕事はうまく進まないようになっているはずです。仮に優秀な人がいたとしても、相当ストレスを抱え込んでいることでしょう。


取捨選択をする

要領が良い人は、「やるべきこと」と「やるべきではないこと」の線引きがしっかりできています。

線引きの基準は

 「今」やるべきかどうか時間軸で考える視点
 (他のタスクと比較し、評価する考え方)

と、

 「自分が」やるべきかどうか役割を軸として考える視点
 (自分の役割と抱えている作業(責任)を元に判断する考え方)

を持ち合わせていることです。それがが正しく機能しているため、本来成果を上げるべき業務に集中して取り組むことができるのです。

けれども、要領が悪い人は引き受けた仕事を依頼された順番に進めようとします。また全て自分が一人でやらないといけない業務だと思い込んでおり、いつも業務に追われる毎日を過ごしています。

そんな状況を改善するのはとても簡単です。
難しくするのは、いつも自分の中の「こだわり」だけ。

自分が引き受けるべき仕事が何なのかを明確に定義づけすることと、引き受けた全ての仕事を書き出して優先順位をつけるとともに、業務の重要度の高・中・低を書き込むだけ。それだけでやるべき業務の取捨選択が可視化されるのです。


期待をほんの少し上回る

要領が良い人は、依頼者の期待値を越える成果物を提出します。つまり、自分の持ちうる、あるいは提供しうる"最大限"を考えます。「そのためにできることは何か?」を常に考えています。

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以前もお伝えしましたが、プロフェッショナルと呼ばれる人たちは、常に時間効率を有効に活用して、相手の期待を「品質(=満足)」や「スピード」のどちらかで(いい意味で)裏切ってきます。

依頼された仕事に取り掛かる際、効率化を追求するだけでなく、依頼者の求める内容よりも少し上の内容を目指して取り組むことで、周囲からの信頼が高まります。

一方で要領が悪い人は、成果物を提出することが業務の目的になっています。「ここまでしか求められていない」「これだけやったらいいだろう」と言った感じで、相手の望む"必要最低限"ギリギリまでしか考えていないからです。

そのため、ほんの少し気が緩むと、ケアレスミスが多発したり、成果物の精度が低かったりと、上司に怒られたりトラブルの原因を引き起こしてしまうのです。


最後に

要領が悪い人は不器用で雑なイメージを周囲から持たれがちですが、まず誰よりも自分自身が、目の前の仕事に対して「やりにくさ」を感じているのではないでしょうか。

 「どうすれば要領の良い人と同じようにうまくできるのか」
 「なぜ同じように取り組んでも自分だけうまくできないのか」

ひとつずつ実践していくことで、要領良く行動ができるようになり、自身の精神的な負担が軽くなって周囲ともうまく溶け込んでいけるようになるのではないかと思います。

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