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0.3%運動

以前、何度かそう言うテーマで生産性向上活動を促進しようとしたことがあります。当然、

 失敗

しました。所詮一部署の管理職ですし、経営者は「いいね、やれば?」みたいなノリで丸投げだし、同じ管理職層はなんていうかこう…「アイツのいいなりになるのもなー」みたいな感じで足を引っ張りあうような感じでしたから。まぁ「社員一丸となって」的な運動でしたので、一人手を抜き、二人手を抜き…結局形骸化しました。勿体ない。

これは何かと言いますと、

 「一人ひとりが、たったの0.3%でいいから、
  日々の業務を改善し、効率的に仕事を進めよう」

というものです。なんかもう、あまりにレベルが低すぎて、全くやる気が起きない…と言う人も出てきそうですが、逆に状況も見ずに「10%改善しろ」と言われた方が非現実的で、それこそやる気以前の問題になってしまいます。

"0.3%"がどの程度かを具体的に言うと、

1時間(3,600秒)あたり、10.8秒の改善
1日8時間(28,800秒)あたり、108秒…すなわち1.8分の業務効率改善

をしようと言うものです。キリのいいところで従業者を500人とし、また1年間の平均営業日数を200日と仮定しましょう。すると、年間で

 (1.8分 × 200日) × 500人 = 375人日 = 18.75人月

の業務改善ひいては経費改善が見込める…と言うことです。

1人あたりの平均単価を75万と仮定すれば、売上はそのままに

 18.75人月 × 単価75万 = 14,062,500円
           ≒ 1400万

の利益改善ができる、と言う計算になります。ちょっとした設備投資や教育予算、あるいはそこそこの福利厚生などにも使えそうな額ですよね。

どうでしょう。みなさんは本当にたった0.3%の改善を鼻で笑っていいレベルだと思いますか?

実際、1%も改善してしまったら、毎年ボーナスに大幅増額してもいいレベルの利益改善になるでしょう。一人ひとりが、1時間あたりたったの36秒改善するだけで、です。

ほんの少しの自己改善、ほんの少しの生産性向上が、どれだけ組織や企業に大きな影響を与えるかについて、すこしは実感できたでしょうか。

そうは言っても具体的に何をすれば

私がデスクワークを中心に活動しているので、デスクワーク系のサンプルしか伝えられないのが残念ですが、PCを日頃使っているのであれば、たとえば…

 IMEの「単語の登録」機能

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を活用するのはどうでしょうか。要するに「変換」のショートカットを作ると言うことです。たとえば

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こんな感じで登録してしまえば、「t」と一文字打っただけで「東京特許許可局」と言う文章が変換できるようになります。

私は、メール冒頭の「挨拶文」、締め括りの「挨拶文」を筆頭に、一般的によく使う文章や固有名詞は大抵登録しています。これのいいところは、辞書データのエクスポート/インポートができるので、PCを交換したり、チーム内で共有したい場合に配布したりできる点です。

ちなみに、ちょっとコツを使えば、改行文字も登録できるようなので、プログラムのブロック文などを登録しておくと、圧倒的に効率が上がります。

たとえば

if () {
    // 条件一致時

} else {
    // 上記以外

}

といったテンプレートを「i」一文字で変換出来たら、いったいどれだけの生産性向上になると思いますか?40文字以上のキータッチを1文字で済ませるわけですから、単純計算で40倍以上ということです。

ブラインドタッチやこうした辞書登録は、シンプルながら生産性を数十~数百倍に向上してくれます。当然、1時間で10.8秒程度の生産性向上なんて新人だってできるレベルの改善活動になるでしょう。


でも、やんない

なぜなんでしょうね。

まぁ会社とかけあって実際にそれだけ改善出来たら、賞与に反映させてやるとか言質を取ればよかったのかもしれませんが、正直、生産性がどれだけ改善されたかなんて、簡単に見える化できる術がないので、何が原因でコストセンターの改善ができているかなんてわかんないんですよね。

結局、一人ひとりのやる気次第…と言うことでしょうか。

収入に還元される可能性もあって、定時時間内のタイムコントロールが自分の手にあって、しかも日頃残業が当たり前になってた人にとっては、定時後の選択権も自分でコントロールしやすくなるはずなのに、それらを捨ててまで現状維持にこだわる人たちが多いんです。

少なくとも、今いる会社ではそうでした。

ので、私自身は色々簡単にできる時短術を考案し、自分の中だけで恩恵にあずかっていますが、布教活動は諦めました。


メリットしかないよ?

ですが、こうした技術的には何一つ難しくもない、個人のアイデア次第でどこまでも「楽ができる」生産性向上活動は、当然ながら、個人にも色々と還元されます。

その一つが、

 突き詰めると、無駄な残業を減らせるようになる

です。他にもいくつかありますが、今回はこれに焦点をあてておきます。

生活残業を行って残業代を稼ぎたい人はまた別の話ですが、中には定時後に「同期や友人と飲みに行く予定が入っているのに」とか「アフター5は彼女とデートの予定が」「早く家に帰って子供の顔が見たい」「今日発売のゲーム買いに行きたい」とか、まぁ色々あると思います。

そういった時に、今までの仕事のやり方をただただ踏襲しているだけでは、いつまで経っても帰る状態になれません。

もし、毎日「前日の0.3%改善する」を繰り返し、とことん生産性を上げて、時間的余裕を作ることができれば、

 ①残業代が欲しければ、別の仕事をもらう
 ②帰りたければ、早々に帰る

どちらでも、自分自身に選択権を持つことができるようになります。②の場合であれば、先ほどのような定時後のコントロールに自由な選択肢が増やせます。①の場合は、元々割り当てられていた仕事以上のことをし、時には他人の仕事をフォローしたりもできるわけですから、社内やユーザーからの評価もうなぎのぼりになる可能性が高いわけです。

「他人(上司等)に利用される可能性がある」と言うリスクを除けば、ほぼメリットしかありません。そこは、それぞれの組織や人間関係次第なところがあるので、私にはなんともできません…。

どちらにしても、ほんの些細な取り組みで生産性を向上することは可能であると言うことは知っておいてください。

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