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「○○さんしかできません」と言う仕事があればあるほど、組織は破綻している

「組織」とは、元来

 共通の目標を有し、目標達成のために協働を行う、
 何らかの手段で統制された複数の人々の行為や
 コミュニケーションによって構成されるシステムのこと

を指します。

その強みは、「個では獲得できない利益」が得られる点にあります。人間がその昔、集団をつくり、大人数で狩りをすることで、1人では決して狩れないマンモスも狩ることができるようになったように、「1人ではできない」目標を達成するために組織やチームと言うのが存在します。

裏を返せば、そういう目的が無ければチームや組織というものは必要ないわけです。それでもチームや組織を作るのだとしたら、おそらくは上に立つ人が下に就く人から搾取する構図を作りたいからなんでしょう。

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縦のラインは"責務"の役割が、横のラインは"業務"の役割が異なります。役割毎にすべき仕事や職責、およびその行使のための権限が大きく異なります(状況に応じて、縦横全体を組織という言い方をするところや、縦の組織横の組織という言い方をするところもあります)。

同じ組織であっても役割ごとに、仕事の内容が変わるのは致し方ありません。課長なのに担当と同じことをしている、担当なのに部長の仕事をしている、と言うのでは既にその組織は「組織」ではありません。

たとえば、以前、世の中をにぎわせた神戸製鋼の度重なるデータ改ざんにおいて、管理職ぐるみで行っていた…といった話は、

 果たすべき役割を全うする責任を負った管理職が、
 その役割に与えられた職責を果たさなかった

と言う事例の1つとして挙げられます。これはもう「組織」ではありません。組織的活動が困難な企業は当然、「自浄作用が一切はたらかない組織である」と判断され、信用を失います。これは「組織の信用」を担保に株式発行と言う形で投資家から資金を募る上場企業であれば、致命的な事件となりかねません。

これらのことからも、組織が有機的な連携をもって一体的に処理することは非常に大切です。

 "有機的な連携をもって一体的に処理する"とは、
 "有機的な連携"は、「お互いプラスになるように」
 "一体的に"は「全体として(=個別的にではなく)」

と言う意味を持ちます。その結果として得られるアウトプット(=成果)を提供することで、支払いが生じ、その支払いを受領することで『売上』があがるのです。

先述の通り、個の力では為し得ない目標を達成するために存在している組織が、「組織」としての機能を、あるいは責任を果たさなくなった時点で、目標を達成することは困難になると言うことです。

営業利益も、営業キャッシュフローも、すべては売上があがらないことには、何一つ語ることはできません。


組織的な活動とは、複数人で構成された集団のなかで有機的に連携した活動となっていなくてはなりません。言い換えるなら、"○○さんしかできません"と言う仕事が多数存在していると、組織がボトルネックとなる部分が多く存在し、結果として有機的となりにくく、属人的で且つ一方的であることを意味することになります。

そうしてしまう背景には

 ・(めんどくさい/自信がないから)自分はやりたくない
 ・(発言権を確保したいから)自分の仕事はとられたくない

といった主観的(感情的)な想いがあるのかもしれませんが、そうした主観的な理由を優先して、それを仕事に混同する、または混同する人間が上に立つと、組織としての力量の「積」が低下し、いずれ先細っていくことになります。

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こんな状況下でも、「売上」や「利益」にばかり固執する管理職や経営者っていますよね。「カネ」が最上位で大事なんでしょう。ですが、そんな会社はいずれ滅びます。黒字だったとしても、です。

なぜなら、会社とは「概念」であって、会社が運営しているわけでもないし、会社が仕事をしているわけでもないからです。あくまで、会社に所属している社員(=個人)が働いているおかげで、会社に売上や利益が入っているにすぎないからです。「ヒト」や「モノ」を最上位にしない会社は、どんなに黒字を出しても長続きしません。ビジネスとしては二流です。

こうした問題を回避するためには、

 ・今までできていなかった従業員には、
  「教えていただければやってみます」と言う風土を醸成させる
 ・今まで個人主義でしかやってこなかった従業員には、
  記録や手順などをつけさせ、いつでも引継ぎができるよう準備させる

と言うことが必要です。そして、最終的には互いが互いを補完しあえる組織であるようにすることが、上司の最大のテーマとなることでしょう(これを「相互補完組織」という)。

補いあうためには、『自分にしかできない仕事』『○○さんにしかできない仕事』『誰かにやらせておけばいい仕事』というものが極力少なくならなくてはなりません。個人に依存した仕事が多ければ多いほど、他人任せにするだけの仕事が多ければ多いほど、相互補完には程遠い組織ということになります。

そもそも、こうした相互補完が当たり前にできるようにならなければ、開発チーム内でもギクシャクしてしまい、まともなチーム連携はできません。開発プロジェクト内でコミュニケーションやマネジメントに歪みが生じるきっかけになりかねないのです。


だからと言って「カネ」を疎かにしていいわけではありません。

もっとも正しいのは、「カネ」の必達条件を満たせる範囲内で、最大限「ヒト」と「モノ」の価値を向上させることです。そうすることで、巡り巡って必ず「カネ」に還元されるようになります。常に、「ヒト」と「モノ」の価値や行動によって「カネ」が比例するようになっているからであり、そうなるような事業や仕組みでなければ、ビジネスとは呼べないからです。

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