見出し画像

優秀な社員に共通する特徴とは

優秀な社員の特徴となる要素はたくさんありますが、その中でも今日から注意して変えていけるのが、

 「情報を上手に取扱う能力」

です。「情報を取扱う能力」というと、情報処理能力を想像する人は多いと思いますが、実はそうではありません。なぜならIT化が進み、単に情報を処理するだけの能力はコンピュータに取って代わられてしまうからです。ですので「情報の処理力」を鍛えるのではなく、「情報の編集力」を磨くことができる人が、今後優秀な社員、優秀な社会人として生き残っていくためには、求められていくことになります。

"情報の編集"について説明する前に、若干この"情報"についてもおさらいしておきます。

私は新人教育等でもよく触れるのですが、日本語における『情報』とは非常にあいまいな言葉で、しかもこれに類する言葉がほかに存在しないため、情報を取り扱うことを生業とする私たちITサービス産業においては若干困惑することがしばしばあります。

しかし、英語圏の国々ではこの『情報』に相当する単語が、少なくとも3種に分類されており、ITと言う分野を生み出しただけあって、きちんと意味分けされて使われています。

まず、事象・現象をそのまま扱う情報、これを"Data"と言います。日本語では原データと呼ぶことがありますけど、これはまさにそうです。日々生成される数字や文字列、特徴や出来事に関わる記述などを収集したもののことですね。

それらだけをみても、そこにどのような意味があるのか分からない状態の素材に当たります。データベースの「データ」はここからきています。ゆえに、データベース設計においてインプット情報を加工すること自体がナンセンスで、可能な限り原データのまま蓄積しないと意味がなくなるわけです。



次に、蓄積されたデータを最適な状態で選択・抽出した情報、これを"Information"と言います。なんらかの基準に基づき構造や体系を与え整理したものです。

Dataのままでは、必要/不要に関係なく、素材としてすべての情報を蓄積することになります。しかし、実際にその情報を利用しようと思ったときには、必要な情報のみ抜粋して使うはずです。

たとえば「お名前は?」と聞いたら、

「私の名前は〇〇太郎。49歳、独身。好きな食べ物は…」

とマシンガントークが始まっても困るでしょう。コンピュータを相手にしたときも、必要な情報が欲しいだけなのに何百万件、何億件ものデータを渡されても利用者は当然困ってしまいます。

必要な情報を、必要な時に、必要に応じて取り扱う、そのための技術だからこそのIT(Information Technology)なわけです。人としてここまでできる能力のことを一般的に「情報の処理能力」と言います。


最後に、与えられたInformationを必要性に基づき取捨選択し、内容を分析し、価値判断を与えられた情報、これを"Intelligence"と言います。

アメリカ大統領の国家的、国際的判断を下すための様々な『情報』を収集、編集し、提供する組織として存在する中央情報局(通称、CIA)が、Central Intelligence Agency と言うように、Informationではなく、"情報=Intelligence" と名付けられているのは、そのためです。

BIアプリケーションは、これまで、DataからInformationを創り出すための手段として使われてきました。そこに、最適化された将来計画を示してくれるBA(Business Analytics)が加わり、Intelligenceをもカバーするようになりました。さらに人工知能の適用が拡がれば、いずれ、より高度なIntelligenceをシステムが提供してくれることになるでしょう。

画像1

話は元に戻りますが、こうした『情報』と言う言葉の背景を知ると、情報を情報のままで扱うのではなく、手に入れた情報からまったく価値の異なる"別の情報へ編集"する能力が非常に高度な技術であるかのように見えることがわかると思います。

事象・現象を知り、収集し、
必要に応じて適宜抽出できるように準備し、
さらにその情報を編集・分析して、
新たな価値創造あるいは価値創造するための支援ができる

ところまで余すことなく情報を使いこなせれば、それは確かに優秀な社員、優秀な社会人であるということができるでしょう。全員が納得できる答えを導き、判断させ、周りを納得させるだけの論理力が主な「情報の編集力」が今後重要となってくるのです。


これまでの「情報の処理力」だけで生き延びることができる時代は、とても単純でした。何か問題が起きている時でも、そこから得られる情報は少なく(また、影響の及ぶ範囲も限定的で)、全員のコンセンサスを取るのは容易だったからです。

しかし、現代は違います。

グローバル化が進み、国内だけで完結するマーケットはほぼなくなってきました。東芝やSHARP、タカタなどを代表するように、会社も合併や倒産が相次ぎ、「少数精鋭」が求められ、生き残る時代となっています。

そうなると、なにか問題が起きている際でもその場の全員が全く違うものを見ています。それぞれが独自に情報を収集できる時代ですので、たくさんの情報を収集するだけでなく、そこから事実を導き、方向性を考える、という編集のプロセスが求められるのです。

つまり、「言われたことだけをやる(=言われるまでやらない)」というスタンスの受け身社員は、今後の成長が見込めないのです。"取り入れた情報をしっかり自分の中で噛み砕き、考え、編集できる"というのが、目指すべき"優秀な"社員の特徴なのです。

本来、システム開発とは、

「大量のデータをデータベースに蓄積し、
 そのデータをどのように抽出、編集すれば
 ユーザの業務はより改善できるのか?」

という観点で行っているサービス提供業務でしたので、

 「言われたことを言われたとおりに作ってます(根拠を持たない)」
 「こっちの方がいいと思ったので、こう作った(根拠がない)」

といった、他人依存、自分本位な考え方さえ抑えることができれば、この業界にいる私たちは後天的に「編集力」を育成することが容易な条件が整っているといっても過言ではありません。

しかしそのためには、

 "考えること"をやめない
 "思い込み"をしない
 価値を勝手に"1つしかない"と限定しない
 常に"改善"を意識する

 そしてなにより、考えたことを現実に"行動"として表現する

といったことが必要になります。優秀になるかどうかは、才能ではなく「自分がどう考えるか」「その考えを行動に移せるか」「どう行動に移すのか」で決まるという、これだけに絞られてきているということです。

いただいたサポートは、全額本noteへの執筆…記載活動、およびそのための情報収集活動に使わせていただきます。