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ネガティブに準備し複雑には考えない

ここで言うネガティブとは悪い意味でとらえるものではなく、「悪い事態を想定し、悪い結果にならないため」の慎重さのことを指していると考えてください。

 「成功するため」「失敗しないため」

はどちらも同じ意味を指しますが、後者の方がより成功率は安定して高い状態を維持します。なぜなら、「失敗」する可能性をすべて想定し、塗りつぶしてしまえば、残ったものは『成功』しか存在しないからです。

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「成功するため」に行動しても、もちろん成功はしますが、この成功は"ある特定の条件下において"のみ成功するものであって、まったく同じ条件が整わなかった時点で、同じ成功を踏襲することができなくなってしまいます。

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私はこれを、以前から「攻めのネガティブ」と呼んでいます。ネガティブであるからこそ、大成するのだと思っています。

しかし、ネガティブも度を過ぎれば毒となります。少なくとも「時間」を多く使ってしまいがちになるのは、ネガティブの唯一のデメリットかも知れません。それゆえに、あまり複雑に考えすぎることを私は推奨しません。「失敗」を恐れるからこそ、失敗確率が上がるような複雑なものの考え方をしません。できるだけシンプルに考えられるように思考を巡らせます。

たとえば、トップ営業マンは一つひとつのお客さまへの提案が一期一会のようなものと考え、安易に失敗なんてして失望させないようにネガティブに準備はしますが、だからといってわざわざ複雑に考えてはいません。

わかりやすいところで例に挙げるなら、初回面談のトークは“まずは警戒心を解くことだけに集中する”と言ったように、目的を1つに絞り込むなど、シンプルに考えることを心掛けます。お客さまは営業マンがどんなに美人やイケメンでも、心の中では「営業マンは油断できない」と思っているのですから。デキる営業マンほど、「大丈夫、話を聞いてくれるはずだ」なんて、楽観的…すなわちポジティブには考えません。

楽観的と言うのは、裏を返せば、事前準備もほどほどに出たとこ勝負で何とかしようとしているのと同じです。リスクを必要以上に考えようとしないから、細心の注意というのにも無縁ですし、時には必要十分な努力や準備が欠けてしまうこともあります。それで結果が常に出せるのであれば、その人の才能が溢れているだけで、普通に考えれば「相手は警戒して、話を聞いてくれない可能性がある」くらいは想像がつきます。相手(お客さま)の時間を奪ってまで付き合わせるわけですから、決して「大丈夫、やり始めれば何とかなる」なんて不誠実な考え方はしません。

では、何のために警戒心を解くのか?

ある営業マンは「そりゃぁ、こちらの話を聞いてもらうためでしょ」と答えていました。一部は正解ですが、本当の目的とは違います。通常、ビジネスの目的は

 お客さまの問題や課題を解決する

ことなのですから、営業がその起点として活動する目的とは、“お客さまの抱える悩み(課題や問題)を聞く”ということです。その結果、ビジネスが開始されれば、相手の要望をかなえたり、悩みを解決していくわけです。それは、農業であっても、製造業であっても、サービス業であっても変わりません。わたしたちITサービス産業においては、

 ITの力を使って(現在、実現できていない)何かを実現したい

というニ-ズがあるからこそ、ビジネスとして成立しているわけですね。逆に言えば、ニーズがこの世の中から無くなれば、この業界は消滅します。

知人のある生保のトップ営業マンは「お客様の悩みが聞ければ、契約を取ったも同然」と話していました。非常に「シンプルな考え方」ではありますが、これは真実だと思います。「お客様の問題点」を聞けさえすれば、後はその問題を解決すればいいのですから、そこからは生産部門の直接的な腕の見せ所です。もし、問題を解決できるスキルが足りなければ、ビジネスに繋がらないだけです。

営業的な活動であれば、“警戒心を解いて悩みを聞く”とシンプルに考えてみましょう。そうすることで苦手だった営業という仕事に明るい「兆し」が見え、成績も徐々に向上してくるでしょう。

こうした考え方は、営業的なものでなくても、よろずに精通する考え方です。

PMBOKの中に「リスク・マネジメント」が定義されていたり、金商法の中で「リスク・コンプライアンス」が重要視されていることにも代表されるように、ネガティブな発想から、それが実現に起こらないようにするための準備につなげるというのは、ありとあらゆる勝ち組の個人・組織が必ず実践してきていることなのです。

 ネガティブに考えること
 ネガティブな状況が実現しないように準備すること
 そして、シンプルに考えること

が重要です。

なにより、ネガティブ思考を備えた人は、その本質が、危険から逃げたい、危険な目に逢いたくないと言う「リスク回避」にある以上、様々なことに対して

 リスク回避能力が圧倒的に高い

わけですから、ひいては失敗する可能性が低くなることに他ならないわけです。こういう考え方は、将来降りかかるであろう失敗や危険を予測した上でそれを回避しようとする、人間に基本的に備わっている能力です。

 「リスクを取らないと本当に欲しいものは得られない」

という意見もありますが、なにも全てのリスクを取らないといけない決まりはどこにもありません。本当に欲しいものができた場合は、いくらネガティブ思考でもきっちりリスクを冒すことはできます。

そもそもネガティブ思考の人は、基本的に「正面突破は無理」と思っていますので、そういう人が本当にリスクを冒す場合は

 「極力リスクは低く、だけど成功確率は少しでも高く」

と考えます。なので、必然的に目標を少しずらしたところに置いてみたり、目標を達成するために遠回りをしてみたりということを考えることが多くなります。

結果として

 「正面突破」以外の攻略法を立てるのが上手くなる

わけです。その回り道が正しいかどうかは置いておいて、正攻法で行ってもダメなことが目に見えているのであれば、何か別のルートを探そうと考える習慣が、既に普段から身についているわけです。

これはある意味物事を多面的に見る能力とも言えます。優れた人は、どのような業界でもどのような業種でも似たような傾向を持っているのです。


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