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3日連続スーダントークリレーの振り返り2020年12月①

みなさん、こんにちは。スーダン在住のリヤード齊木です。
いかがお過ごしでしょうか。

2020年12月オールアバウトアフリカさんと3日間連続のトークリレーをさせていただきました。
3日間の合計スライド枚数が120枚、リサーチと制作に1ヵ月を費やし今の自分の知識をフル動員した力作。

そんな力作が多くの人の目に触れずに埋もれていくのは悔しいということで備忘録として3回に分けて残しておきます。

トークリレー1日目の要点

トークリレー1日目は、スーダンの産業・産品を紹介しました。
流通が発達した現世界では、日本の市場にもアフリカからの産品が並びます。有名どころでは南アフリカのワインやモーリタニアのタコなどは日本でも市民権を得ています。

日本でのスーダンのイメージは、内戦や飢餓などのマイナスな印象が強く不毛な地だと思われる節があります。しかし、スーダンは農業分野での高いポテンシャルを持っている国なのです。国の真ん中を流れるナイル川は取水を行うだけでなく、定期的に氾濫することで土壌を肥沃にしてくれます。スーダンの70%の人が農業に従事し、GDPの約半分が農業となっていますが、可耕地は2割程度しか使われていないと言われています。今後、機械化が進んでいけばさらなる発展の可能性を秘めています。

このスーダンの肥沃な大地は「アラブのパンかご」と呼ばれています。水資源の少ないアラビア半島はスーダンで生産された農産物を輸入し、生命線としています。サウジアラビアやエジプトなどは先行投資としてスーダンの土地の買収を行っています。

イベントの前半ではスーダンで生み出される豊かな産品として以下のものを紹介しました。
スーダンの産品で紹介したもの一覧
・ゴマ
・アラビアガム
・さとうきび
・綿花
・落花生
・ひまわり
・夏野菜
・果物

・羊
・ラクダ
・魚

スーダンは天然資源にも恵まれており、特に金と原油は外貨を獲得でき、スーダンの経済を支えています。

イベント後半では一見すると豊かなスーダンだが、なぜ長年後発開発途上国のままなのかを解説しました。スーダンには発達を阻害する要因が積み重なっておりそれに対する日本政府のODAをみていきました。
発達を阻害する要因で紹介したもの
①気候・地理的問題
②生産・流通の問題
③医療の問題
④政治・制度的問題

①②③については実際にスーダンで使われたODAを紹介しながら、どんな問題があるのかをみていきました。④についてが一番スーダンの発展を阻害する要因ですが、外交問題はセンシティブな問題でなかなか口出しができないことを話しました。

1日目のまとは以下の通りです。

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ゴマ

ナイル川の下流はゴマの発祥の地とされています。世界三大美女の一人とされるクレオパトラも美容のためにゴマを食べたり、ゴマの油を体に塗っていたとされています。
ローマのカエサルを魅了したクレオパトラの美貌はゴマのおかげといっても過言ではないかもしれません。スーダン女性に美人が多いこともそれを裏付け証明してくれているのではないでしょうか。

ゴマ油を体に塗ると聞くと「えっ、臭くないの?」と思われるかもしれませんがスーダンのゴマ油は日本の製品と製法に違いがあります。日本のゴマ油は圧搾する前にゴマを炒って香りを引き立たせますが、スーダンのゴマ油は炒る作業を行わないので香りが薄くベタつきもありません。
日本は料理への香りづけに使用しますが、スーダンでは料理に直接かけて食べます。油の料理への使い方が全然違うのですね。
香りも少なくサラサラしているので体に塗っても大丈夫です。

2018年のFAOのデータによるとゴマの生産ランキングでスーダンは世界トップとされています(非公式データ)。データが非公式で曖昧なのは、統計を取る機関が信頼性がないのとアメリカの経済制裁の影響が考えられます。

アメリカの経済制裁によってスーダンとの貿易取引は制限がかけられていました(2020年12月解除)。スーダン産のゴマは、自由な取引を行うために一度隣国のエジプトに送られてエジプト産と偽装され全世界に運ばれていました。そのため統計が信用できませんが、収穫量が多いのは間違いありません。

日本は年間11トン程度しかゴマの収穫がなく、自給率は0.1%以下でほとんどを輸入に頼っています。一時期、残留農薬の問題で輸入が停止されたこともありますが、スーダン産のゴマがブランドとして認知される日も遠くはないのではないでしょうか。

アラビアガム

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