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星の王子さまミュージアム 箱根

費やした時間がそのものを大切なものにする

箱根には世界で唯一「星の王子さまミュージアム」が存在する。サン・テグジュペリ生誕100年を祝した世界的記念事業の一環として作られ、1999年にオープンした。

星の王子さまが筆者のどのような経験を基に生まれたのかを知ることが出来、とてもおもしろかったので紹介したい。

※ここかからはネタバレを含むので気をつけてください。


フランス・リヨンの伯爵の子としてサンテックス(サン=テグジュペリの愛称)が生まれる。飛行機に強いあこがれを持つサンテックスは、飛行機事故で大怪我を負ってしまう。婚約者がいたのだが、飛行機乗りは危険な仕事だからと結婚破棄されてしまう。
大怪我の後、転職するもなれない営業の仕事に就き、1年半でトラック一台しか売れず辛い日々を送る。

自分の不得意な仕事を1年半を続けざるを得ない状況だったのかと想像すると苦しくなる。

さらに、仲の良かった弟の死が重なり、サンテックスは絶望を味わう。友人たちの結婚の知らせなど幸せな話を聞き、うらやむ手紙を書く。

大怪我をし、婚約破棄され、仕事もうまくいかず、弟も失くしたサンはどんなに落ち込んだことやろう。

モロッコの遊牧民が非友好的で、サンテックスの外交的手腕を期待して、タルファヤ(現在のモロッコ辺り)で飛行場長に任命される。甘えん坊な性格だった彼は砂漠の厳しい風土によって心身ともに鍛えられた。砂漠は真実の自己へと向かい合わせる。人懐っこさと手品で遊牧民の信頼を勝ち取る。

これまで辛かった人生。サンテックスに合っている仕事に巡り合えて日々楽しかったんやろな~。だけど、良い環境も長く続かず…

財政危機によって、社長と対立していたサンテックスも不利な立場に置かれ、不遇な浪人時代へ。水上飛行機のテストパイロットで溺死しかけたり、リビア砂漠に不時着して死にかけた。
祖国のために身を犠牲にすることによって、祖国が愛の対象として心の目ではっきりと見えてきたのです。
祖国にあって迫害される人びと。特にユダヤ人で親友のレオン・ヴェルトのために戦う決意をする。

冒頭でも紹介した「費やした時間がそのものを大切なものにする。」

これは「星の王子さま」でも語られている。

きつね「もしきみがぼくを飼いならしてくれたら、ぼくの人生はとっても輝くと思うんだ。ぼくは、他のだれの足音でもない、きみの足音を知ることができる。他の足音がしたら、ぼくは巣穴に隠れてしまうよ。だけど、もしきみの足音がしたら、それはまるで音楽のように、ぼくを巣穴からつれだしてくれる。」

私達はひとつのバラやほんのちょっとの水からでも本当に大切なものは見つける事ができるかもしれない。

サンテックスの人生を知った上で、星の王子さまを読んでみると改めて感じる部分。大切なものを見つけるためにある程度の苦しみは必要なものかもしれない。

最後まで読んでもらえて嬉しいです