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多店舗展開において大事なこと

宇宙一外食産業が好きな須田です。

さて、今回は多店舗展開についてのお話しをさせていただきます。

多店舗展開のお話しと言っても、展開するにはスタッフ育成が大事とか、資金余力はどれくらいだとか、そういったお話しは沢山の方がなさっているので、今更私が言うまでもないことと思います。

それらの件は、全く違った視点から何れかの機会にお伝えさせていただきます。
スタッフ育成も大事です。
資金余力も大事です。

そんなことは当たり前のことですが、それ以前のもっと大事なお話しをさせて頂きます。

そもそも、何故店舗展開をなさいますか?
逆に何故店舗展開をやらないのですか?

初めから店舗展開をすることをイメージして、起業なさいましたか?
店舗展開をすると決めて起業したのなら、起業時にはきちんとした計画がありましたか?
もしくは、展開など全く考えていない、したくないと考えていらっしゃいましたか?

いかがでしょか。

今日お伝えしたいことの本質は、起業時には既に店舗展開をイメージしておいてくださいというお話しです。

結果的に展開するかしないかは別の問題として、当初より展開をイメージして起業をして下さいということです。


「金持父さん、貧乏父さん」で有名なロバートキヨサキ氏は、ネットワークビジネスは21世紀型のビジネスモデルだと、著書に書いておりますが、ネットワーク化とは具体的には店舗展開のことを言います。

このネットワーク化ですが、ネットワーク化には2種類あります。

直営店で出店する方法と、加盟店方式の2種類です。
加盟店方式は、一般的にはフランチャイズチェーンシステムが最も多いシステムです。
他のコンサルタントの方々が店舗展開を話題にする場合、ほとんどの方が直営店での店舗展開を軸に話します。

ですから、スタッフ育成とか資金余力とかを話題にしてきます。

しかし、そもそものことを言うならば、何故店舗を増やす必要が有るのかをほとんどの方がお話ししていません。
展開する根本的な理由と意図を掘り下げないで、対処的な手法のみを話しますが、それ以前に店舗展開の重要性を理解しないまま、展開するから不幸がやってきます。

その現象が蔓延しているから、スタッフ育成とか資金余力の話題が出てきて、展開のためのスタッフ育成とそれに耐えられるだけの資金余力をという話になります。

それ以前に、何故店舗展開の必要性が高いかを、ほぼ誰もお話ししません。

では、ここで、大事な質問を。

1. あなたは、いつまでお店に立ち続けますか?
2. あなたのパートナーである右腕の方は、いつまでセカンドのポジションのままにしておきますか?
3. あなたは、そのセカンドの方もしくは主力メンバーがいつまでも自社のスタッフでいると本当に信じていますか?いつか独立して、ライバルになったらと考えたことは有りませんか?
4. あなたはより多くの方を幸せにしたいと思いませんか?
5. あなたは、起業家としてのゴールをどこに設定していますか?


さて、以上の5つの質問に真摯にお答えくださいますか。
いかがでしょうか?

今までに考えたことはございますか?

いつまでも、今の状態が続くとでも思っていましたか?

それとも、今はまだ大丈夫、もっと年をとってからでいいとお考えでしたか?
自分の体力の限界は触れたくない話題ですし、ましてやオーナーシェフや一人で切り盛りしている方なら、自分の才能の限界を知ると時が来ることなど、考えたくもありませんよね。


私は倒産を経験しております。

事業を強制終了した経験があります、ですから事業のゴール、仕舞い方を考えるように至りました。


いかがでしょうか、事業の終わり方を考えて起業しましたか?

スタートは簡単に出来ます。

結婚と一緒で若い時の勢いで行けますが、離婚が大変なように事業の終了も大変になります。

店舗展開する理由は、事業の継続を実現するためです。

我欲で店舗展開をしてしまってはダメです、と、言うかやってはいけません。
ほぼ間違いなく、潰されます、倒産してしまいます。


店舗展開に拒否感情がある方の多くは、過去のフランチャイズチェーンの在り様を観て、「展開なんかしなくていいよ、このままが一番」と、考えていませんか?

それこそが、我欲で展開してしまったFC本部の結果を見ているからです。

店舗展開は、利他のためにしなければなりません。
利他とは、他人の利益のためという考え方です。

結論を言いますと、飲食店は展開すべきです。
私はそう感じております。

では、その理由を質問の答えから、一つずつお伝えしていきます。


1. あなたは、いつまでお店に立ち続けますか?

これは大きな命題です。
現実問題として、いつまでも現場に立ち続けることは不可能です。
それもそうですが、あなたが病気になったらそこで収入源は閉ざされてしまいます。
あなたの大切な家族の生活の担保は無くなります。
そもそもですが、大切な家族を守る為にあなたは一生懸命に働いているのに、気付けば家族との距離が開いていませんか?

お子さんの運動会・学芸会・卒業式・入学式は出られましたか?
いかがですか、家族との距離が離れているようなら、本末転倒と思いませんか。
外食に携わる方には、離婚経験者が多いことは事実です。
色々理由はあると思いますが、離婚している方が多いのは事実です。

ご自分が抜けても大丈夫なシステムを作る必要があります。

2. あなたのパートナーである右腕の方は、いつまでセカンドのポジションのままにしておきますか?

これも1の質問の延長線上にあることです。
起業家であり経営者のあなたは、今やコルクの栓です。
ボトルの中には沢山の美味しいワインがあるのに、栓が空かないから誰もワインを楽しめません。
そうです、スタッフ育成を云々と語る以前に、今、目の前にいる最も大事な右腕の方は、これからもずーっと現場のセカンドのポジションに立ち続けるんですか?
栓を抜いて、現場の全権を委任して店舗運営をお任せして、何れ現場の第一線を退いて後進の育成をしていただき、その後は経営の一角を担って頂いて、何れは系列会社のトップになって頂く。
そのようなビジョンは、素晴らしいと思いませんか?
本人が望む、望まないもありますが、その方も体力的なこととクリエイターとしての限界から、何れ最前線には立っていられなくなります。
その時の対応を、受け入れ態勢をどうしますか?
最大の貢献者の功績に、どう報いるおつもりですか?

その体制を、当初より作る必要があります。

3. あなたは、そのセカンドの方もしくは主力メンバーがいつまでも自社のスタッフでいると本当に信じていますか?いつか独立して、ライバルになったらと考えたことは有りませんか?

仮に、その大事な大事な右腕の方と、仲たがいしてしまったらどうしますか?
経営を長年していると、方針の違いや意見の相違も出て来ます。
そういった場合、“話し愛”で解決できれば良いですが、最悪、そうならない場合もあります。
すると、その方は退職して起業をすると、その瞬間からライバルになります。
あなたのお店の実情を知っているので、最悪な場合は他のスタッフを引き連れて辞めて行き、あなたのお店のすぐ近くに新規出店します。
あなたのお店の商品はクオリティが下がり離客して、その離れたお客様は全て右腕の方の店に取られてしまいます。

そうならない為に、普段から“話し愛”を行うことも大事ですが、右腕の方の次の成長ステージを用意して、その結果、もっと多くのお客様に楽しんで頂くためには、と、いうことを考えてもよろしいと思いませんか?

そのためのルールを作る必要があります。

4. あなたはより多くの方を幸せにしたいと思いませんか?

あなたは、どれぐらいの方を幸せにしたいと思いますか?
ご家族だけでしょうか?
スタッフも含めた身内だけでしょうか?
「お客様の幸せのため」と、社是や社訓、企業理念にも書いていますでしょうか?
それは本心で、心底お客様の幸せをと考えていますか?
そう書いた方が良いという教え込みで書いていませんか?
より多くの方を幸せにする方が、あなたはもっと豊かになります。
そのためには、あなたのお店で幸せになる人が、月間3,000人で良いのか、月間30,000人の方がいいのか、感じて考えてみてください。

より多くの人を幸せにしたいと思うなら、それを実現させる具体的な計画が必要です。

5. あなたは、起業家としてのゴールをどこに設定していますか

さきほどもお伝えしましたが、起業することはたやすいです。
維持が最も難しいことです。
起業して1年以内の倒産率は34.5%という数値も出ています。
真贋の程はさておき、私には50%程度ではないかという肌感覚もあります。
倒産はしていなくても、閉店しているお店は沢山あります。
大手のチェーン展開しているお店は、会社は存続していますが、ある意味、店舗は倒産している状況で、一挙に50店舗閉店とか、とんでもないことになっています。
さて、あなたは、起業のゴールを決めていますか?
多くの方は、スタートを切る段階で、ゴールを決めていません。
ゴールの決まっていないレースを始めてしまいます。
なので、途中でへこたれてしまいます。

ゴール設定の大切さは、起業家ならば必ず知っていることなのに、起業をするというゴールは決めているが、その後のゴールが無い、そんな状態です。

余談ですが、若者は大学に入ることが目的になって、社会に出てからは何をするというゴールが無く、卒業と共にどこかの会社に入社をする、だから入社先を条件で選ぶ、将来性で選ぶ、そこには損得の考えしかなくなってしまうわけです。
そして、疲弊したサラリーマンが出来上がってしまいます。

入社はしますが、就職はしません。

若者は、組織に加わる“入社”はしますが、職に就く“就職”をしないので、疲弊してしまいます。

自分の人生のゴールを、組織に入ることとしてしまい、職に就いてプロとしての高みを目指すということをしないので、人生にへこたれてしまい、損得の感情で人生を消費してしまう消費者となってしまいます。

ですから、起業家は率先してプロを育てましょう、若者を職に就かせましょう。
ある意味、起業家の使命とも言えます。

起業家は、明確なゴールを決めていないと、流される経営になります。

明確にゴールを決めて、あなたの起業後の卒業のあり方を決めることが、起業する段階で最も大事なことです。

店舗展開をすることは、この5つの質問に対する最も効果の高い答えです。
そして、もう一つ大きな理由があります。


その大きな理由が種で、起業後に成功するか、残念な結果を引き寄せるかが決まると言っても過言ではありません。


次回は、その大きな理由と店舗展開をすることの、大切な本質的な意図をお伝えしたいと思います。


むやみに店舗展開をすると、必ず強制終了が待っていますので展開は必要ですが、大きな危険もあるので、その回避法をお伝えします。

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