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温泉紀行(緑の風リゾートきたゆざわ)

どうも、ゆるラクゴプロデューサーのイエモトです。
毎週、落研出身の二人がゆるい落語みたいなショートストーリーを作って遊ぶPodcast番組を配信しています。

最新回、まだの方はぜひ聴いてみて下さい!


この土日で妻と温泉に泊まってきました。北海道があまりにも寒過ぎるということで、家族会議の末、急遽予定を組み込んだのでした。

↓このときに組み込んでました。note書いてるとちゃんと形跡が残っててオモロいですね。

で、今回訪れたのは「緑の風リゾートきたゆざわ」。

前職の観楓会(年に一度、全社員で旅行に行く会合が行われていました。ところで観楓会って方言なのね)で宿泊して以来なので、たぶん7、8年ぶりでの再訪。奇しくも、この間記事にした歯医者と同じくらいのご無沙汰ぶり。全体的にとても良いホテルという印象で、特に温泉がむちゃくちゃ広かったという記憶が朧げながらに残っていました。

札幌駅から無料送迎バスに揺られることおよそ2時間半。ほぼ寝ていたので体感では30分。緑の風リゾートに到着。「あれ?おま、久しぶりじゃん」と言いたげな建物の面構えに多少の懐かしさを覚えつつ、あの頃の仕事の辛さだとか、プライベートで足を運べるようになったことへの喜びだとか、いろんな記憶やら感情やらが押し寄せて来るようでした。これがエモいってやつか。

私は、温泉がある宿泊施設では、基本的に3回は温泉に入りたいと思っています。着いてからすぐ1回、夕食後に1回、朝起きてから1回の計3回。なんとなく、それで元が取れるという感覚があります。ただ、あまり温泉が狭かったり魅力的じゃなかったりすると億劫になってしまうこともしばしばあり、最近は、部屋に着いてからベッドから動けずに機会を逸するケースが増えてしまっていました。

しかし、ここの温泉はそんな心配一切ご無用。今回も当たり前のようにしっかり3回温泉に入らせてもらいました。帰りのバスの時間がもう少し遅ければ最後にもう1回突撃するところでした。何せ露天風呂の大風呂だけでも150坪ですって。ダブルのテニスコート2面分くらい?他にもいろいろ浴槽があって、私の入ってきた温泉の中で間違いなく一番広いです。あ、ユネッサンとかは別で。アレはプール。

広さもさることながら、改めて感じた魅力は、そのお風呂の造りにあります。もはやアクションRPGの世界に迷い込んだかのごとく、楽しみながら風呂に入ることができるような、そんな造りなんです。いや、これは私が勝手に楽しんだ節もなくはないですが。

2階には屋内大浴場があり、そこから階段を下ると中2階のような形でまた浴場があります。そこからさらに下ると、テニス大会が開けるほどの広さの露天風呂へと繋がるわけですが、まず中2階の浴場が非常に良いんです。そこにはお湯の違う2つのミニ風呂やプールに入る前の消毒ゾーンを思い出させるような立ち湯があるのですが、
「今後、こういう風呂がいくつかあるからこうやって入るんだよ?」
「露天風呂では、こうやって風呂の中を歩いて進んだりしないといけないよ?」
みたいなことを伝えられているような、自分身体の操作確認も含めてさせられているような感じで、まさにゲーム本編に入る前のチュートリアルを想起させられます。しかも、その日のミニ風呂のひとつが「だいこんの湯」と書いてあり、浴槽の中に束になっただいこんが沈んでいました。なんかすっごい序盤っぽい気がする。ゲームの後半に「だいこん」はあんまり出てこないと思うので、これ絶対序盤ですよね。あと、中2階には本編である露天風呂のマップも掲示してあるのですが、そのマップがまたダンジョン感が半端じゃないんです。ここに宝箱とかあるんかな?とか思わされるようなマップにワクワクが止まらないです。そういうのも含めて丁寧なチュートリアルをさせてくれるゾーンとしての中2階。ちなみに、ちょっと長居しましたが、誰とも居合わせなかったのもポイント高めです。

その状態から露天風呂に降り立つのに、なんとエレベーターで行けます。全裸で乗ったことありますか?エレベーター。その時点ででなんかもう非日常です。温かみのある中2階の風呂場から外気を帯びてひんやりとしたエレベーターの床へと足を運び、無機質なグオングオンという機械音を響かせながら扉を開くとそこは、真冬の北海道。丸腰で氷点下の世界にいきなり放り出されるわけです。本編始まったー!ここからゲームスタートじゃー!というテンションにならざるを得ない状況。そうならないとやってられないくらい寒いんですが。エレベーターから降りると、そこは雪国でした。バタヤンもびっくりの書き出しが生まれるくらいには気持ちを切り替えて挑まねばならぬ露天風呂ゾーンのスタート。足元にチョロチョロとお湯らしき水分が流れているとはいえ、雪降ってるし積もってもいる状態なので、もはやそんなの気休めにしかならないというガチの極寒の中、まずは湯船を目指します。目の前に広がるのが、これまで散々書いてきた150坪の大風呂。もはやデカめの池です。不忍池から湯気が立っているという不条理な世界。「クッうゥ」という声を漏らしながらなんとか湯気池にボッチャン。ここで一旦温まります。まさに命の泉。HPが回復していくのが分かります。

さてさて、ここからが本番です。この大風呂兼テニスコート兼デカめの湯気池兼命の泉を横断もしくは縦断した先に、セカンドステージがあるのです。中2階にあった立ち湯よりはずいぶん低い位置にしかお湯が張られていないため、立ち上がって進もうとすると、膝上が全て凍てつきます。膝下だけ寒そうな女子高生とかはよく見ますが、その瞬間、逆に膝上だけ寒そうな全裸中年(34歳)が出来上がります。社会的に抹殺されそうなので、急いで進みつつ途中しゃがみ込みHP回復する行程を繰り返しながら少しずつ向う岸へ近づいていきます。最後の方になると慣れてきて、気づいたらしゃがみ込みながら歩みを進めることに成功していましたが、どういう原理で前に進めていたのかは今となっては藪の中です。

やっとのことで150坪を渡りきり、セカンドステージに到着。ここからは、さらに険しいゾーンとなります。正直、何で誰か転んで問題になってないの?というくらいには雪や氷が張っている小道がいくつかあり、ところどころに二人くらいが入ることのできる大きさのお椀型の湯船が点在しています。確か10種類とか書いてあったような。その10種類の湯船は、「ラベンダー」とか「檜」とか、それぞれお湯の種類が異なります。色や香りがぜんぜん違うので、結構テンション上がります。本来であればいくつか入って戻ろうね、でも良いのですが、こちとらアクションRPGの主人公(全裸)のつもりでここまで来ているので、全種類入らないとクリアできないと思い込んでしまっています。なので、一個一個湯船に入っていくわけですが、これがまたゲーム性が発生して面白い。まず、中2階にマップがあったとはいえ明確に覚えているわけじゃない且つ見通しが悪いため、この道の先にちゃんと湯船があるんだろうか?というドキドキ感が味わえる点。行った先に湯船が無いイコールHPの回復が出来ないわけですから、引き返す途中で力尽きる可能性もあります。次に進むにはなかなかの覚悟を要します。そして、湯船の絶妙なサイズ感により、見ず知らずの男性が二人で入るにはちょい気まずいので、なるべく誰かが入ってしまっている湯船には入りたくないという心理が働く点もなかなかの面白要素です。それにより、もし仮に湯船があっても湯船をスルーせざるを得ない状況が生まれます。近くにもう一つ空きの湯船があればまだ良いのですが、無い場合はその場で凍てついてゲームオーバーとなる可能性があります。そこはいかに戦略性をもって挑めるかが鍵です。
「このエリアに湯船が二つあるということは、あっちの道にも二つある可能性があって、今一人だけあっちに向かったということは、先客がいなければ湯船は一つ空いているはず、、?しかし、最悪の場合を想定して、その先のエリアの湯船を見据えた上で向かった方が切り抜けられるか、、?あ、いや!今もう一人あっちに向かった!?ということは今動くのはよろしくないか、、!?」
など、時が経つごとに変化する戦況を注意深く見つめながら先へ先へと進んでいくのです。また、10種類の湯船というのも、ゲームでよくある「クリアする度に能力を身に付けてパワーアップできる」みたいな要素にも感じられ、新しい湯船に浸かる毎にレベルが上がっているような感覚になれます。実際、すべての湯船に浸かり切ってひとまわりした末、元の大風呂に戻ってきた頃には、なんだか身体も温まっており、凍てつく寒さにもちょっと耐えられるようになっているので、本当に強くなっているように思えるのがまた楽しいです。最初の村に出るモンスターが弱すぎるみたいな。あの頃はあんなに苦戦していたのにみたいな。

ちなみに、夜にチャレンジしたときは無事クリア出来たのですが、朝にチャレンジしたときは難関にぶつかりタイムアウトでクリアならずでした。難関とは、一つの湯船で話し込む若めの男三人組でした。一旦はそこだけスルーして他を片付け、改めてそこに戻ってみてもまだ話し込んでいる。いや、決して彼らは悪くない。なんなら社員旅行で来たとき、私もそんな感じで一つの湯船を占領していたことがある気もします。ていうか全部湯船に入ったらクリアって何?と、一瞬冷静になりそうになりながら、何度かウロウロして粘ったものの、敢えなく朝食の時間となり断念したのでした。もちろん、朝食をすっ飛ばして粘ることも視野に入れました。しかし、その場合の妻への説明がむず過ぎるので、やはり諦めることができました。
「湯船が空くのを待っててさー、それでクリアだったからさー」
なんて言って朝食すっぽかした日にはいろいろ終わりますよね。良かった。終わらなくて。ほんと良かった。

てなわけで、最後の最後で悔しい思いをしたものの、今までの温泉の中で一番楽しい経験ができました。もし北海道にお立ち寄りの際には、ぜひ「緑の風リゾートきたゆざわ」の温泉で、ゲームチャレンジしてみてくださいね。

では、また。

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