【須田亜香里さんの軌跡】◆M18 神7の光と影


 とうとう「神7」入りした須田亜香里さんは,AKB45thシングル「LOVE TRIP」の7番目のポジションを得ました。ちょうど良かったことに,この歌を歌うAKB48選抜メンバーの姿は,各地上波放送局の夏の特別番組で何度も放送され,その都度,須田さんは,地上波のテレビに何度も登場しました。

 加えて,須田さんは,フジテレビ「スカッとジャパン」の寸劇に登場し,その演技は,レギュラー陣に好評を得ました。

 さらに,須田さんがAKB選抜入りしたことは,AKB選抜の他のメンバーにも好印象を与えたようです。

 例えば,指原莉乃さんと柏木由紀さんは,インタビューで,こう語ってくれました。【1】

「――まずは6月の選抜総選挙、お疲れ様でした! 今回の総選挙でここが新鮮だった、ということがあれば教えてください。

指原莉乃さん(以下、指原) 総選挙後は上位のメンバーで撮影するお仕事が多くなるんですけど、だーすー(須田亜香里)が入ったことが新鮮ですね。

柏木由紀さん(以下、柏木) だーすーが明るいから、すごい現場が明るくなりました。

指原 私たちだけだと、しっぽりした雰囲気になるんです。同じようなメンバーだと現場でわーきゃー騒ぐことってそんなにないから。だーすーがいることによって、華やかになりましたね。ぱるる(島崎遥香)もいっつもだーすーとしゃべってるよね。

柏木 たしかに、いつも仲いいねふたり。

指原 だーすーの誰とでも話せるところが、選抜に必要な存在だなって思いますね。」

 このように,須田さんのAKB選抜入りは,ファンもメンバーも喜んでくれました。
 それだけではなく,「神7」入りは,須田さん自身の心境に,確実に変化を与えたようです。

 たとえば,10月9日放送のNHKラジオ「らじらー!サンデー」に出演した須田さんは,司会のオリエンタルラジオの2人から,2016年6月(総選挙開票前)の出演時と比べて,「自由にやれるようになり,本来の良さが出てきた」,「はつらつとして自信に溢れた表情」と評され,須田さん自身も「これでいいんだよ,というのを結果で頂いてから,自信持ってひとつひとつの仕事をできるようになりました。」と語りました。【3】

 しかし,現実は,甘くはありませんでした。

 須田さんが,AKB選抜入り,しかも神7入りした,「LOVE TRIP」のPVへの登場は,合計してもほんの数秒にすぎませんでした。

 それに加えて,須田さんは,AKB46thシングル(11月発売「ハイテンション」)の選抜メンバーには,選ばれませんでした。

 この選抜メンバーの発表は,9月,総選挙にランクインしたメンバーだけのコンサートで発表されました。須田さんはこの日のことについて,こう語っています。

 「選抜が発表されたコンサートを,両親が見に来ていたんです。だから,泣いているところを見られたくなかった。ホテルに帰ってから,ビャービャー泣きました。私より,私を応援してくれるファンの方が認められてないって思われるのが嫌だった。私は夢を売らないといけないのに,何を売っているんだろうって。」【1a】

 総選挙で頑張った須田ファンは,当然,落胆しました。しかし,AKBグループメンバーの中でも,須田さんの選抜落ちは,衝撃として受け止められたようです。

 たとえば,兒玉遙さんは,

「そして、新曲の選抜発表。実は私の心の中でずっと大きくなっていたこと。
総選挙選抜入りしたからと言って次、新曲選抜に入れるのか?
妹グループからは2人と思っていたから、、、
だから、本当に嬉しかったです。

でも、それよりも大きく感情をうごかされたこと。
いつも笑顔で、どんな時も明るく元気で、ファン思いなところや、人一倍感謝を忘れない姿勢に刺激を受けた人。
もっとお話してみたいと思っていた先輩と
近くで活動できなくなるのは寂しいです。

どうして?って思いました。

ずっと笑顔でいるなんて本当は無理。
それでも笑顔でいる人に、私は元気づけられているし
これからもついていきたいです。」【2】

 兒玉さんは,その「先輩」が誰であるかを明かしていません。しかし,48グループのファンの誰もが,「ずっと笑顔でいることは本当は無理」でも「それでも笑顔でいる人」とは,”「須田亜香里」である”という確信を持ち,それは揺らぐことはありませんでした。

 そのような確信ができた理由は,おそらく,須田さんがSKE加入以来,「ダスノート」でファンの名前を覚えて握手会で「神対応」しようとした努力を重ね,さらに,公演やブログなどでファンのひとりひとりと絆を作ろうと努力を重ねた人が,AKBグループ内では,他にいないと,48グループのファンのなかで,共通認識が成立しているからでしょう。

 須田さん本人は,「AKB選抜落ち」という厳しい状況に追い込まれても,ブログやモバイルメールではその辛さに言及するのは最小限にとどめました。
 それどころか,須田さんは,厳しい状況から逃げなければきっとこの先にファンと一緒に見られる笑顔があるはず,と信じて,ファンを楽しませようとしました。

 そして,須田さんは,選抜落ちの涙の末に,ひとつの決意をしました。
 それは,

 「 「須田を外しちゃいけない」と思われるようになるということでした。いないと(AKB48)グループに響くと思われるぐらいになればいいって。」【1a】

 しかし,この時期の須田さんは,こうした辛い思いをファンに対しては隠していました。あるインタビューにこう答えています。【4】

記者「(平成28年の)下半期はちょっと嫌な時期が続いていたんですね。」

須田「「7位なのに」ってファンの方に感じさせてしまったのが,自分的にはすごくつらかったです。本の出版を発表するまでは悩んでばかりでしたね。3日に1日は泣いていました」

記者「そうでしたか・・・」

須田「ファンの方に幸せを届けられていないのが,私としては・・・。前に進めている感覚がありませんでしたし,少し負のオーラが出ていたかも知れません。いや,出さないようにしていたんですけど,3日に1回噴火していました。」

 選抜の光と影・・・須田さんはその両方の間で揺れながらも,変わらぬ努力を続けたのです。 

 しかし・・・

 夢である写真集の企画も持ち上がらないそうした辛い時期に,須田さんに,少しずつオファーが舞い込んできます。

(「M19 向き合う」に続く)

<ソースノート>
【1】AKB48選抜メンバー5人に聞く“理想の告白シチュエーション”妄想トーク「LINEでの告白は既読がついてからの待ち時間が怖い!」
http://lineblog.me/official/archives/1060496830.html

【1a】月刊AKB48グループ新聞平成28年12月号
「月刊AKBグループ新聞アワード2016 カムバック賞」インタビュー
【2】兒玉遙 グーグルプラス 2016年9月16日
https://plus.google.com/111907069956262615426/posts/RKjnWrU9p1A
なお,同じく総選挙選抜メンバーの岡田奈々さんは,須田さんの誕生日に

「お仕事現場に
須田さんがいると
凄く嬉しい岡田奈々です☺️

須田さんの
元気な姿を見ると
凄く嬉しい岡田奈々です☺️」

とツィートしてくれました。
https://twitter.com/okadanana_1107/status/792775585541951488
【3】NHK第一ラジオ「らじらー!サンデー」2016/10/09放送
https://twitter.com/nhk_radirer/status/785112195893907457
【4】グラビア・ザ・テレビジョン49号須田亜香里インタビュー

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